1の4 自我の入った魂が一杯来た
私の担当の星に、とうとう自我の種が入った小さな魂達が送り込まれてきた。
大きさは、まちまち、色もまちまちだけど全部浄化されている。総て記憶はクリアされて、まっさらな状態だ。これからこの星を賑やかにして行ってくれるだろう。
とても大変な仕事だったけど、12人の弟子達もよくやってくれたと思う。他の星と、何となく違う変化もあったけど許容範囲だ。皆をそれぞれ、元いた場所に返せば、暫く私はこの星の中でゆっくり休むことにする。起きたときには、素晴らしい星になっていることだろう。
本当は起きて見て居たいけれど、私はまだまだ未熟だ。下手に手を出して仕舞うかも知れない。
この星を見守って、じっと観察するだけが私に許された、範囲なのだから。
第八七の神様は、其れで心を壊されたのだ。あの神は、心配性で何時も見て居たらしい。手を出したくても手を出せず、その葛藤で苦しんで自閉気味になられてしまったのだ。
先人の轍を踏まず、賢明に対応していこう。
☆
僕の島には何故魂の種が来ないのだろう。
待てど暮らせど、一向に来る気配がない。他の陸地にはもう沢山の生き物たちが自我を持って、独自の発展をして行っているのに、僕の島だけが、初めの状態を繰り返している。
あの、龍も其の儘そこで眠っている。
他の神様の弟子の気配は何処にも無くなっていた。
若しかして、僕は忘れられていたのだろうか?
僕は気配が薄いと、よく言われていたが、真逆神様にも忘れられていたのか。悲しい。
そして、僕の大事なこの島はどうなってしまうのか。
せめて、あの龍に魂をあげたい。
こうなったら僕の魂をあげよう。其れしか方法はないようだ。
僕はこれから、神様の弟子の龍としてこの島を見守っていこう。
もっと魂を他から集めてこなければ。
黄泉の国まで行って、引っ張ってこようか。未だ、浄化されていない魂達が一杯いるはずだ。
万が一、皆に迷惑が掛からないように、ルールを敷き直さなければならない。
どのようにしようか。
そうだ彼等を、ここから出さなければ迷惑は掛からないはずだ。
此処に結界を張ろう。
大きく海から切り取って、丸い僕だけの世界を作ろう。龍の姿になって仕舞えば、神様も僕を分らなくなってしまうけど、僕の気配は薄いので、端から覚えて貰っていないかも知れない。悲しい。