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爆炎の魔術師  作者: 宇万殊儀知錦
プロローグ
1/7

1話 幼き頃の夢

 日が沈み、満天の星空が広がる。私は幼馴染の男の子に手を引かれ、手元のランタンの明かりを頼りに、暗い草原を進む。


 私は、胸が高鳴っていた。生まれて初めて、日没後に村の外を出歩いたからだ。こっそり家を抜け出して、村の外まで走った。とても悪いことをしているみたいで、罪悪感もあったけど、それ以上の高揚があった。


「ねえ、フラム。どこまでいくの?」


 私の問いに「いいから、いいから」と答え、フラムは私の手を引いて歩き続ける。


「夜じゃないと駄目だったの?」


「うん。こんな天気の良い夜に、エリカに見せたかったんだ」


「そっか」


 ならもう何も言わない。あとでお父さんに見つかったら、二人で怒られよう。だから今は、この胸のドキドキに身を任せる。


「ついたよ」


 フラムが歩みをとめた。


 辺り一面、真っ暗だ。見上げれば星空。だがそれ以外に何も無い。


「一体ここに何があるの?」


「良いから見てて」

 

 フラムは私にランタンを渡すと、何かブツブツと喋り始めた。聞き取れるが、聞いたことの無い言葉だ。


「空を見て!」


 フラムが勢いよく人差し指を天に向かって突き出す。


 そして数秒後。


「わっ!」


 お腹に響く音と共に、空に色鮮やかな光りが広がり、散っていった。


「すごい……」


「でしょ。炸裂魔法って、こんなことも出来るんだよ」


「綺麗。まるで夜空にお花が咲いたみたい」


「花か……そうだね。花みたいだ」


 フラムは次々と魔法を打ち上げる。赤、黄色、緑と、様々な色の光りが咲き、散っていく。全然悲しくないのに、なぜだか涙が私の頬をつたった。


「エリカ。僕、大好きなんだ」


「えっ」


「炸裂魔法は、小さな爆発を起こすだけじゃない。こんなことも出来るんだから」


「ああ、炸裂魔法」


「うん。だからさ、僕、将来はこの炸裂魔法を研究したいんだ」


「……そっか」


「そしたら、これよりもっと凄いの、見せてあげる!」


 ランタンの明かりで微かに照らされた、フラムのあの笑顔を、私は忘れることは無い。私は、フラムと同じ、自分の出来る満点の笑みで答えた。


「うん、待ってる!」


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