沈黙のクエスト
男の名はジャック・ラスキン。元ロンドン市警で、三年前に離婚。同時に退職し、警備員として細々と生活していた。
そんなある日、元妻から娘が行方不明になったと連絡が来る。
昔の伝手で娘を捜すも、手がかりは無く。
そしてジャックの前に現れた女が言った。
「貴方の娘は、もうこの世には居ないわ」
息を飲むジャックに女は続ける。
「貴方の娘は、異世界に勇者として召喚されたのよ!」
それを聞いたジャックは、娘を追って異世界へ渡る決意をした。
深い洞窟の奥、そんな場所には不釣り合いな豪華な扉の前、ジャックはゆっくりと扉に手を掛けた。
玉座の間。その奥で、男が歓迎するように両手を広げる。
「ようこそ、ラァァァスキン」
「ドレイクっ!」
その男は、かつてロンドンで暗躍していたマフィアのボスだった。ジャックによって組織は壊滅、本人も逮捕された筈だったが、
「お前の名前を聞いた時には耳を疑ったぞ、ドレイク!」
「私もだよラスキン。魔王として召喚された事にも驚いたが、その私を倒しに来た勇者がこれとはね」
指を鳴らすと、虚空から十字架に拘束された少女が現れる。
「メアリーっ!」
「パパ……? パパっ!」
「彼女を離せ、ドレイクッ!」
ドレイクは再び指を鳴らす。すると影の中から無数の骸骨騎士が現れた。
「死のダンスを楽しんでくれたまえ、ラァァァスキンっ!」
骸骨騎士達は、痛み知らずの疲れ知らず。無限にジャックを四方から襲う。
骸骨の剣に肩口を刺され、膝を突くジャック。
「パパ! 私の事はいいから、逃げてっ!」
「泣かせるじゃないかラスキンっ!」
「メアリー、パパを信じてくれ」
そして、
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
殺到する骸骨を一まとめに抱え、そのままドレイクに放り投げる。
それは見えない壁に弾かれ、骨が霧散し、
肉薄したジャックの腕が、ドレイクの腹に叩き込まれた。
だがそれも、障壁によって阻まれていた。
「残念だったなラァァァスキンっ!」
「メアリーっ!」
「パパっ!」
メアリーは直ぐに理解した。
ジャックの肩に刺さったままの剣。その柄を思いっ切り蹴り飛ばす。
「ぐあぁぁぁぁぁぁっ!?」
ジャックを貫通した切っ先がドレイクの胸に突き刺さり、
「今度こそお別れだ」
顔面に拳を叩き込まれ、玉座ごと吹き飛ぶドレイク。
程無くメアリーの拘束は消え、ジャックの腕の中に落ちて来て、
「さあ、一緒にママの所へ帰ろう」
愛しい我が子を抱きしめるため、やっとジャックは、その拳をほどいた。
ジャックのイメージはもちろんセ○ールです。
怒られますかね?
説明が必要かなと思うのは、冒頭の謎の女。あれは異世界の女神で、勇者が魔王に取っ捕まったので救援を送りにジャックの所へ。
あと魔王は勇者にしか倒せないので、メアリーの攻撃だけがドレイクの障壁を破れました。
なので、ジャックのトドメは決まっていないので、次回作では再びドレイクが魔王として現れます。
そんなもん無いけど。