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お題シリーズ3

人間から離れてしまった迷子の影

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2022/05/20



 その人影は大きな迷路を歩いていく。


 たった一つきりで。


 本体は存在しない。


 その影は、人間から離れてしまった影だから。


 本体がどこにいるのかは分からない。


 だから、影は迷子になってしまった。


 しかしおそらく、本体は迷路から出たのだろう。


 本体は聡明だったからだ。


 それならば影も、はやくこの迷路から脱出して、本体にくっつかなければならない。


 そうしなければ、一つでは存在できない影は、じきに消滅してしまうだろう。


 影は焦っていた。


 いっその事、別の人間の影になろうかと思った事もあった。


 迷路の中で出会う人間の影に、なろうかと。


 影はいくつも持てるから。


 二つで存在する事もできるから。


 そうなる事も考えたのだ。


 それは人間にとってもメリットがあって。


 影を多く持つ事は、強くなる事でもあったから。

 

 だから。


 次の角、出会った人の影になろう。


 何度もそう思った。


 しかし。


 影はその人の影にはならなかった。


 ずっと本体だけを探していた。


 本体だけに会いたかった。


 影はどうしてそうするのか分からない。


 そうしなければならないという思いがとても強かったので、それが正しい事だと考えていた。


 それは、影が誰かに教えてもらったわけではない。


 自分で導き出した答えだった。


 やがて影は迷宮の出口を発見した。


 出口には、本体が立っていた。


 遠くにはいくつも影を従えた他の本体がいた。


 強くなって、炎をだしたり、水をだしたり、他の人から影を奪ったりしている。


 けれど、心は惹かれなかった。


 迷路の出口にいた本体は、「よく頑張ったね」とほほ笑んだ。


 影は、やはり自分は間違っていなかったのだと確信し、ほっとして本体にくっついた。


 これでもう影は消える事がないだろう。


 影と本体はずっと一緒。


 影の心は満たされていた。



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