第004話 居酒屋にて(1) 〜今後について〜
私は彼に言われて困った顔をした。
『 実は親戚なんだよね笑 』
『 え?そうなん?
ってか、お前自身も知ってたの?
アイドル活動してる事を』と彼に問われたので…
『 ハハハハハハ。
実は今日握手会あってそこで知った。
コイツとは20年ぶりの再会になる事になる。』
『 20年ぶりの再会?
お前はそれまで知らなかったんわけか!』
『 そうなるな… 』
彩香は{てへぇペロ。}と舌を少し出し笑った。
『 彩香さん!写真撮ってもらえませんか? 』
『 彩香さん。写真集買いました!』
『 写真撮って下さい!写真撮って下さい! 』
と従業員たちが彩香に押し掛けてきた。
『 おい!お前ら駄目やぞ!
他のお客様の迷惑!静かにしろ! 』
『 プライベートなんで、すいません。
(店主)○○さん。色紙なら大丈夫ですけど… 』
彼は慌てて、裏の事務所に行き…
色紙が無いか探しに走って行った。
『 色紙は無いんですが、これで良ければ… 』
とこのお店のオリジナルTシャツを渡した。
後… マジックも渡した。
彩香はTシャツに…
「 魚嵐船さんへ!
美味しいものを頂きました。ご馳走様!
2000年2月19日(土) GRT48 teamG 山本彩香 」
『 はい!描きました!』
店主は震えた手でそのTシャツを受け取った。
『 あ… ありがとうございます!
大事にします!家宝にします! 』
『 Tシャツ何枚かありますか?
ここに居る人だけ私のサイン入りでプレゼントします。1人2着。
えーーっと。
今ここに居る人だけ特別ですよ! 』
彩香さんは店内に居るお客さん一人一人数えた。
『 はーい。全員で10人ね!
転売とかしたら駄目ですよ!分かりましたね! 』
二人組の男子高校生に…
『 ありがとうございます!いつも応援してます!』
『 これからも頑張って下さい。ずっとファンです!』
9or10歳ぐらいの女の子。母親と一緒に…
『 さやか。大好きです!応援してます!』
『 ありがとうございます!家宝にします!』
『 家宝にして頂いても構いませんが…
是非、来て下さい!着てたら私声掛けるかもよ!』
そして、この店の従業員3人にも。
『 ありがとうございまーす!』
『 今まで生きてて一番良い思い出になりました!』
『 死んでも構いませんわ!』
『 死んだら駄目だよ笑沢山の思い出作って下さい!
私が側から応援してますよ!』と彼女は言った。
そして、私にも…
『 はい!おじさん。おじさんも是非着てね!』
お客さんはそれぞれの席に座り食事を摂った。
すると… 居酒屋の社長が呟いた。
『 ねぇ… 彩香ちゃん。今後について聞かせて!
将来こう言う事をしたいとかある?』
『 将来ですか… 結婚したい人なら居ます。』
『 ほう… でも君達のグループって恋愛禁止のはずじゃなかった? 』
『 そうですけど… 好きな人が居るんです!』
『 それなら、身近に居るの?』と店主が聞いたので…
『 はい!』と彼女は私に抱きついて言った。
店主は驚いた顔をし…
『 お前か!』と周りに聞こえない小さな声で言った。
『 へぇー驚いた。
で彩香ちゃん。キッカケはなんなの?』
『 キッカケは無いんです。
ただ、おじさんと結婚したいと小学生の時に約束したんです。』
『 で… 返事は貰ったの?』と私の方を見て聞いた。
『 それがまだなんです… 』としょんぼりした。
『 はよー返事しろよ!待ってるんだから… 』
『 いやぁー。そんな事言われてもな!
アイドルって恋愛禁止ってのは聞いた事あるから
もし、破ったら引退するってのが規則だろ?
それを私のせいで彼女に傷を付けたくないし…… 』
それを聞いた 店主が私に言った。
『 ならさ、隠せば良いじゃん。
その方が効率良くない?それで良くないか?』
『 そう言われてもね… 』頭を掻いた。
『 彩香ちゃんは、コイツと結婚したらアイドル辞める覚悟あるの? 』
『 はい。続けたい気持ちもあります。
でも、おじさんと結婚出来ればあとは何もないです。』
『 ほう!羨ましいなぁ〜!』
と焼き鳥をひっくり返しながら話を聞いた。
『 でも、あとはお二人さんの気持ち次第やね!』
と店主は仕事に戻って行った。
私と彼女は湯豆腐や枝豆、オレンジジュースを飲んだ。
そして、会計をしようと席を立ち… レジに向かった。
店主は私達2人に…
『 良い報告期待してるよ!』と小さい声で呟いた。
そして、居酒屋を出た。
そして歩いていると… 母親から電話が掛かってきた。
『 もしもし、明日の夕方(頃)から時間ある?』
『 なんで?』
『 家族で集まらない?久々に…
妹の家族も集まるらしいよ!』と彼女の方を見た。
『 分かった。明日の夕方頃ね!』
と私は電話を切ると、彩香が私の服を引っ張った。
『 なんだって? 』
『 明日の夕方、家族集まるらしい!』
『 あ、おばさん(私の母親)から
久々におばさんにも会ってみたいなぁ! 』
彩香はスキップした状態で自身のアパートに向かうかと思ったが、私の後ろに付いてきた。
結局、私の今住んでいる家まで一緒に付いてきた。
『 おい!パパラッチでもあったらどうするんだよ!』
『 え?そんなの大丈夫!
私の親戚のおじさんだって言えば世の中通るし… 』
『 いやいや通らねぇーんだよ!』と言いつつも…
結局は2人で夜を共に過ごしたのだ。
次の日になり… 外は晴天なり。
私は朝早く起き、ランニングをしに行った。
朝7時から8時を回った頃に家に帰宅。
すると彼女は寝巻姿で…
『 おはよう!』と… 髪の毛はぐちゃぐちゃだった。
" これが総選挙1位の私生活かぁ… “ と私は心の中で思った。
私はシャワー浴びて朝御飯を作った。
そして、テーブルに料理を置こうとしたら椅子に座っていたのだ。