第027話 活動復帰報告
活動復帰報告の前夜…
彩香は緊張していた。
『 今の気持ちはどう? 』
『 緊張してる。』
『 緊張してるのが、一番良い! でも、無理に震えたり打てなくなったら言えよ! 』
『 うん。』と彩香は私の腕を掴みながら携帯を持った。
蓮も紬も赤ちゃんベットで横になっていた。
『 明日だぞ!今日はゆっくり休んで… 明日報告しなさい。携帯置いて! 』
と彩香の右手に持ってる携帯をテーブルの上に置かせた。
その日は携帯だけ持つ事にし、彩香は自分の部屋へ。
私は仕事の資料を出来るだけ目を通して次の日の朝を迎えた。
私は朝御飯の支度をしていた。
(私は彩香の部屋に行くと)ぐっすりと大の字で寝ていた。
数分して彩香が降り… 呟いた。
“ 今日の昼頃からTwitterで復帰報告する! ”
私は元気なニッコリ笑った彩香の頭をくしゃくしゃにした。
『 おう!それで良いぞ! 』
彩香は笑顔で頷いた!
10時頃に千夏ちゃんと摩耶が家にやってきた。
千夏「 お姉ちゃん!復帰報告するの? 」
『 うん!するよ! 』
摩耶「 彩香さん!配信するの?それともTwitterで報告するの?」
『 Twitterで報告かな… 配信だとなんか怖いから。』
千夏「 報告はお姉ちゃんに任せる!お兄ちゃん達にも知らせておくね!両親にも伝えとくよ! 」
摩耶「 私も伝えておきます。球児兄ちゃんと翔兄ちゃんにも… あと茉美さんにも伝えておくね! 」
『 いや、茉美は関係無いやろ!』
「 黄金!まだ登場してないから教える必要ないってのは大間違い!伝えとくね! 」
摩耶と千夏ちゃんは自分の携帯で知らせた。
『 千夏ちゃんに摩耶。この事家族だけ報告しといてな!お前らの友達とかにはまだ言うなよ! 』
「 えーー!なんでなん? 」
「 そうだよ!復帰するんだから良いでしょ!報告しても… 」
『 いや、そこは彩香の意見聞かないとね! 』
「 姉ちゃん!友達に報告していい? 」
『 私、自分で報告するから、千夏は、翼さんや将暉さんに千恵美姉さんに報告して!』
「 分かったよ! 」
「 私は茉美姉さんや球児兄さん、翔兄さんに連絡しておくね! 」
『 うん!摩耶ちゃん。お願いね! 』
「 はぁーい! 」と摩耶ちゃんは彩香の答えに笑顔で手を挙げて答えた。
「 黄金。明日仕事とかは? 」
『 ん?明日か… 仕事やな。』
「 仕事なら、私達… 彩香と何処か出掛けてきて良い? 」
『 え?明日?復帰報告して初日だぞ。大騒ぎになる。ちなみにどこ出掛けるの? 』
「 んー…… まだ考えてない。でも富山の実家に行こうかなぁって考えてる。」
「 龍雷神家ですか… 私行ってみたいです。富山! 」
摩耶ちゃんが富山という言葉を出し…
千夏ちゃんも“ 富山行ってみたいです ” と手を挙げた。
『 車は誰が出すの? 』と私は摩耶に聞いた。
「 千恵美さんか翼兄ちゃん。翔兄ちゃんに頼むかな… 」
『 3人とも用事あったら? 』
「 その時は考える。彩香ちゃんは車も免許も持ってないから、」
「 無理に彩香さんに運転してと言っても無理だし… 」
『 馬鹿か!お前ら、無免許運転で逮捕されるやろが! 』
「 そうやね…… どうしよう…… 」摩耶は迷った。
『 それやったら、麗奈ちゃんとかに頼めば?麗奈ちゃん自体運転免許持ってるかどうかは知らないが… 涼華さんとかに頼んでみては?ついでに麗奈ちゃんも一緒に誘ってみたら? 』
「 あ!流石!黄金。その手があったね! 」
「 でも、誰に許可取るの? 」
『 隆之介さんに言っておこうか? 』と私は2人に聞いた。
2人は私に“ お願いします。 ” と大きい声で土下座した。
『 彩香はどう?富山行きたいか!? 』
『 はい… 行きたいです。黄金さんと一緒に… 』
私は頭を掻いた。
『 また、違う時だな… 』
「 もう昼の時間だね!御飯食べよ! 」
と千夏ちゃんが勝手に冷蔵庫から卵とベーコンにウインナーに菠薐草に納豆と豆腐を取り出した。
「 何作るの? 」と摩耶が千夏ちゃんに聞いた。
「 ん?簡単なもの… 」
「 目玉焼き?卵焼き?菠薐草とベーコンの炒め物? 」
「 ん?決めてない… なんか適当に作る。」
私はその間… 隆之介さんに娘達を明日借りれるか聞いてみた。涼華さんも麗奈ちゃんも大丈夫との事…
「 はい、出来たよぉ! 」
と食卓の上に置かれたのはベーコンの炒め物とウインター入りの玉子焼きだった。
『 千夏。あんた上手いね! 』
「 でへ!そうでしょ!お姉ちゃん。」
『 一人暮らししてたっけ? 』
「 いや、摩耶と2人で住んでる。」
『 家とかは? アパート?マンション? 』
「 一戸建て賃貸。」
『 賃貸料とか敷金礼金は幾らなの? 』
「 お姉ちゃん。今そういうのは良いから… ご飯食べようよ! 」
千夏ちゃんは姉ちゃんを椅子に座らせた。
『 旨いね! 』
「 黄金さんもどう?美味しい? 」
『 美味しいね!今後の将来が楽しみだな! 』
「 おじさん。褒め過ぎ!」と私の右腕を強く叩いた。
もぐもぐ白飯も一緒に口の中に入れた。
『 そういえば… さっき隆之介さんに頼んだら、涼華ちゃんと麗奈ちゃん連れてっても構わないってさ! 』
「 やったーぁーーー! 」と千夏は喜んだ。
「 姉ちゃん。これで富山一緒に行けるね! 」
“ 黄金さんと一緒に行きたい… ” と小さく連呼した。
「 なら、お兄ちゃん。彩香ちゃん借りるね! 」
『 おう!宜しく頼むね! 』と私は摩耶に言った。
[夕方3時… 3時半を過ぎていた。]
「 もうすぐ復帰報告の時間だね。」と摩耶が呟いた。
『 うん。』と彩香は小さく頷いた。
「 なら、私達は帰るね! 」
『 摩耶。もう帰るのか? 』
「 うん。明日の準備しないと… 」
『 なら、御土産代としてこれだけ渡しておくわ! 』
と私は摩耶に(財布から5.6万程)渡した。
「 え?おじさん。そんなに良いの? 」
『 おう!彩香の事を宜しく頼む! 』
「 任せといて! 」と摩耶は胸を張って言った。
「 分かりました。姉貴を他の子から守ります! 」
「 なら、姉ちゃん!明日ね! 」
「 彩香さん。復帰報告待ってるね! 明日の準備も忘れずにね! 」と言って2人(摩耶と千夏)は帰って行った。
夕方4時を過ぎていた頃… 彩香が私に言ってきた。
『 ねぇ、おじさん。Twitterする! 』
私は復帰報告をすると分かり… 彩香の隣に座った。
私の右腕を強く掴み、少し震えていた。
『 大丈夫だ!いつも通りに! 』
『 なんか、不安。』
『 なんで?不安なんだ? 』
『 なんとなく… 』と親指の爪を噛みそうになった。
『 俺がコメント考えるから、お前も付け加えたかったら、言えよ!俺のコメントだとファンの皆に思われそうだから、な! 』と彩香の頭を撫でた。
私は復帰報告のコメントを一緒に考えた。
そして出来上がった…
“ 皆さん… ご無沙汰してます!
活動休止中だったGRT48 山本彩香です!
長い間、休ませて頂きご迷惑をお掛けしました。
ようやく… 明日から活動復帰させて頂きたいと思い、このような形でコメントしております。
1年半?2年弱とどれぐらいの期間だったか分かりませんが、ゆっくり休ませて頂きました。まだ身体は順調ではありませんが、少しずつ皆さんにより良い笑顔を見せれたら良いと思ってます。
また握手会やイベント等声を掛けて下さい!
それと、総選挙6年連続1位とプレッシャーはありますが… 今後とも宜しく御願い致します。”
(※少しでも変だと思ったら直して頂いて構いません。)
『 良いコメントだな… 俺的には。』
『 本当? 』
『 うん。大丈夫だ! 』と私は彩香の頭を撫でた。
そして、彩香は送信のボタンを押した。
1回携帯を閉じ… 子供(蓮と紬)達の様子を見ていた。
すると、私のLINEからも彩香のLINEからも返事が来た。
「 今、復帰報告見ました! 」
「 私も、今見ました! 」
「 俺も今さっき確認しました! 」
「 Twitter見たよ! 」と家族のLINE通知。
彩香のLINEには… 奈緒子さんや奈緒美さんに奏音ちゃん。中学や高校の友達のLINEコメントが沢山。
Twitterを開くと… 50,000件。
30分後には100,000件。
1時間後には500,000件越えのコメントがずらりと。
2時間後は…100万件に到達していた。
(※件数は言い過ぎかもしれませんが… それぐらいの数)
9時頃… 夕御飯を食べようとテレビを付けた。
( 私はヨーグルトにナッツのサラダ 彩香はバナナ豆乳 )
ちょっと軽めの夕食となった。
『 NEWS Watch 9』略称は“NW9”
TOPニュースが彩香の活動復帰報告だった。
“ 今日の夕方4時過ぎに活動休止をしていたGRT48のメンバーである。山本彩香さんがTwitterにて活動復帰のコメントが投稿されました。1年半活動休止されていた彩香さん。まだ公の場での姿は確認されてませんが、元気の事です。何処かでお会いしたら、お帰りなさいと声を掛けましょう。” と男の放送員が言った。
『 ねぇ!私の事言ってるよ! 』
『 そうだね! これから頑張らないとね! 』
『 うん!おじさんも私のサポートとか宜しくね! 』
『 おう!育児は俺が積極的にやるから、お前はアイドル活動に専念な! 』
『 うん。分かってるけど… 私の子だから私も手伝う。無理しないから!』
『 了解! 』と私は彩香の口にキスをした。
彩香も自分の口を私の方に向かって長いキスをした。
『 明日の準備しないとな! 』
『 あれ?明日だっけ笑 忘れてた笑 』
『 お前、無理すんなよ!千夏や摩耶達に迷惑掛ける事はすんなよ!復帰したんだし… 』
『 分かってるよ! 』と彩香は自分の服や靴下、ズボンにパンツ、アイロンにドライヤー… 化粧水や化粧品を旅行鞄に入れた。
『 そういえば… 明日子供達は連れて行くの? 』
『 それはお前に任せる。』
『 私が抱っこしてると危ないから千夏と摩耶ちゃんに抱っこして貰うしかないね! 』
『 結果的にそれしかないね! 』
と彩香は自分が抱っこしてると怪しまれるのを承知の上で頷いた。
『 その間… おじさんはどうするの? 』
『 近況報告してくれれば、大丈夫かな? 』
『 朝食や昼飯、夕食は? 』
『 簡単な物にする。偶に魚嵐船も行けば良いし… 』
『 あ!魚嵐船… 久々に行きたいね! 』
『 今度一緒に行こうか! 』
『 うん!一緒に! 』
『 そういえば、智香さんに絢香ちゃんが一緒に飲みたいと言ってたぞ! 』
『 智香ちゃん。絢香ちゃん!久々に逢いたいね!
何年振りやろ… おじさんが握手会の後だったから1年半は過ぎてるね!名前覚えててくれたんだぁ〜!嬉しい。
それ、良いね!“ 一緒に飲みたい ” って言っといてね! 』と彩香は旅行鞄に入れた。
『 必要な物は全ていれたんね! 』
『 うん。大丈夫! 』
私は周りを探した。彩香の財布が落ちていた。
『 財布落ちてたぞ! 』
『 あー!ありがとう。』と鞄に入れようとした。
私は自分の財布から15万ぐらい彩香に手渡した。
『 彩香。これ渡しておく… 無くすなよ!
大事なお金を観光客とかに見せびらかすな! 』
『 うん。分かった!明日早いから寝るね! 』
彩香は風呂に入り、身体を流し、頭を洗った。
そして、ドライヤーで乾かし… アイロンを髪に当てた。
彩香の髪質はサラサラで艶々だった。
寝間を着て、自分の部屋で横になった。
私は会社の資料に少し目を通し、横になった。
たが… 寝れなかったので、深夜に軽くランニングした。