第002話 とある握手会にて 〜 再会 〜 ②
『 お願いします。』
『 こんにちは!初めてですね! あー!』
彼女は唖然とした顔で私の方を見た。
彼女は何か慌てた動作をしてスタッフに耳打ちした。
『 あ、ごめんなさいね!
初めてですね!お願いします! 』
『 お願いします! 』
『 なんかお客さん。暗いですよ!表情が!
元気出して!元気!なんか好きなポーズとかありますか? 』
『 いや、無いです。
初めてなので、分からないんです。
すいません。』と私は謝った。
『 良いんですよ!大丈夫です!
謝らなくても、さぁ元気出して! 』
と私は彼女と少し世間話とか家族の事とかを話してしまったのだ。
そして時間になり、彼女が…
『 なら、後でね!話があるから! 』
と彼女は私に突拍子も無い言葉を言ってきた。
するとスタッフの人が…
『 握手会が終わるまで… 待っててもらえませんか?』
私は何か悪い事をしたのか…
なんかやっては行けない事をしたのかと怖くなった。
そして、友人2人がやってきた。
智『 どうだった?彩香ちゃんは… 』
悟『 可愛かったやろ! なんてったって総選挙1位。』
智『 そりゃ!歌も踊りも上手いし… 』
悟『 それに女子大生。頭も良い。』
2人とも揃って… 一緒に言った。
『 かつ美人で女優も兼業。それにスタイル抜群。』
『 で、お前どうするんだ?この後… 』
私は言おうか迷った。
『 いや、実は… 』と事情を説明した。
『 へぇー彼女が話あるって? 』悟が…
『 なんだろう?もしかして親戚だったりして… 』
と智がまさかの発言をした。
『 いや、それは無いやろ…
親戚にアイドルしてるって話題来てないし… 』
『 いや、誰かが嘘ついてるんじゃ無いのか?
そんところは知らないからなんとも言えないが… 』
と私は2人の推しのメンバーの話に時間を費やされ、夕焼けが見える時間帯まで話をしていた。
そして、彩香のマネージャーらしき人が…
『 あの!すいませんが… 時間宜しいですか? 』
私の肩を叩いて話してきた。
『 呼ばれたから、帰るわ! 』
『 おう!』『 また後でな!』
『 なんだったか教えてくれよな! 』
と友人2人とさよならをした。
そして、私はマネージャーらしき人に聞いた。
『 あの… 私に話ってなんでしょうか? 』
『 私も良くは知らないのですが…
彼女曰く、あなたは親戚の方じゃないかと言ってるんです、分からないので本人に聞いてみて下さい。』
私は驚いた。
いや、まさかの彼女が親戚の子?
誰の子供なんだろう!
デタラメだったら帰ろう。と思った…
そして、彼女の楽屋の前に…
マネージャーが入ります!と言った。
そして、彼女の声がした。
ドアを開けると目の前に彼女が立っていた。
彼女は目を輝かせながら私の所に抱きついて来た。
『 あ!やっぱり!
おじさんだぁー私の知ってるおじさんだぁー 』
私はおじさんって言葉に何かを勘付いた。
おじさんと言ったら…
私の父親の弟か兄?それとも母親の姉の子供?
それともどっかの誰かと勘違いしてるんじゃないか…
私は頭を掻きながら彼女に抱きつかれたまま硬直していた。
彼女は私を見上げながらこう言った。
『 おじさん!私との約束覚えていないの? 』