表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/175

【 番外編 】彩香。卒業式と前日。



明日は彩香の大学院卒業式。

その前の話をしよう。


彩香の大学院経営学部の卒業式に向けて、

私と彩香は都内の高級な呉服屋さんに立ち寄った。



「 いらっしゃいませ! え!彩香さん? 」

女の(20代前半の新入社員)店員さんが彩香を見て驚いた。


呉服屋の女将は彩香の名前が聞こえて慌てて2階から降りてきた。


「 いらっしゃいませ!彩香さん。」


女将はきちっと背筋を伸ばして正座をし、彩香の方を見た。


「 今日はどういった用件で来られたんですか? 」


彩香は大学院の卒業式で着る為に試着しに来ましたと伝えた。


「 あ、そうなんですね!分かりました。

 その大学院の卒業式は明日ですか?明後日(あさって)ですか? 」


『 1週間後です。』


「 分かりました。なら、好きな着物を選んで下さい! 」と女将さんは色々な柄の着物が並んでいる所を案内した。


古典柄、花の柄、動物の柄、自然の柄、植物の柄、幾何学(きかがく)模様の6種類。


古典柄の中には… (まり)薬玉(くすだま)(たば)熨斗(のし)御所車(ごしょぐるま)源氏車(げんじぐるま)などなど幾つか。


花の柄は(さくら)(きく)(うめ)牡丹(ぼたん)撫子(なでしこ)など見た事のある柄。


動物の柄は(つる)(かめ)(うさぎ)に、蝶に鯉と言った見た事ある動物に鴛鴦(おしどり)鳳凰(ほうおう)蜻蛉(トンボ)と言った稀に見る動物の絵柄。


自然の柄は… 瑞雲(ずいうん)雲間(くもま)流水(りゅうすい)観世水(かんぜみず)、ヱ(えがすみ)蓬莱山(ほうらいさん)と聞いた事ない名前。


植物の柄は一般的に松や竹、楓や紅葉。

他にも葡萄(ぶどう)や桐、(たちばな)南天(なんてん)と難しい名前。


幾何学模様は彩香は何にも知らなくて…

私は知ってて… (あさ)()青海波(せいがいは)(うろこ)の3つ。


『 ねぇ?おじさん… どの柄が私に似合ってると思う? 』


彩香は私に尋ねてきた。


『 どれもカッコ良そうだけど… 彩香はどの柄が好きなのか? 』


彩香は迷いながらも… 5つ答えた。

“ 瑞雲… 鳳凰… 蓬莱山… あと鶴。鱗もカッコ良さそう ”


女将さんは5種類をご用意してくれた。


1つ着て確認するのに20分。それを5つで1時間掛かった。


『 私、鳳凰の柄にする! 』

と彩香は笑顔で私の方を見ながら言った。


女将さんも、そこに居た20代女の人も…

「 彩香さん。鳳凰と相性ピッタリですよ! 」

「 彩香さん!似合ってます!写真撮りたいほどお美しいです! 」


写真は駄目ですと彩香は眉をひそめて言った。


女将さんが呟いた。

「 彩香さんと貴方(=私)様はどういった御関係なんですか?付き合ってるとしたら、アイドルの規則(ルール)に違反してますよね? 」


私は女将さんに親戚関係だと伝えた。


「 あ!そうなんですね!失礼致しました。」


彩香が着る予定の鳳凰柄の着物が途中だけど、仕上がったみたいだ。


彩香は女の店員さんから着物を着るように言われ、着た。


「 着物は結構重たいです。ですが… 軽くして欲しいとか、腕の長さを短くして欲しいとか要望があれば仰って下さい!」


彩香は普通に歩いていた。

重たさとかは感じていないが…

『 ちょっとだけ軽くお願い出来ますか?あと腕を1cm長めにして貰えますか?』と注文した。


「 分かりました。以上で確認を終わらせて頂きますね!仕上がりは卒業式までに間に合わせます。連絡先と住所、お名前を記入お願いします!」


と彩香に言われたので、

私が代わりに自分の名前と住所を記載した

「 龍雷神さんって、もしかして株式会社龍雷神グループの社長さんですか? 」


私は “ はい。そうです! ” と頷いた。


「 これはこれは、失礼致しました。

 実は私の娘と息子が貴方様の会社で勤めております。今後とも宜しくお願い致します。」と名刺を渡された。


そして月日が経ち… 卒業式2日前に着物が届いた。

鳳凰柄の着物は私が見てもカッコ良かった。


綺麗と言うよりもカッコいいの方が強いかと…

彩香は記念に自分の着物姿を自撮りして、卒業式の時にTwitterで載っける準備をする為何十枚も自撮りした。


そして、卒業式前日。

来れたのが… 千夏と摩耶ちゃん。あと互いの母親の美和子さんと愛さんだった。


千夏も摩耶ちゃんも…

「 お姉ちゃん!カッコいい!! 」

「 彩香さん!カッコいいですよ! 」


『 千夏、摩耶ちゃん。綺麗ですは? 』


「 いや、綺麗ですと言うよりカッコいいの方がインパクト強いです。」

「 うん。姉ちゃん!綺麗は言えないなぁ〜 やっぱりカッコいいですよ! 」


千夏が家族のLINEに彩香の着物姿を載せていた。


翼さんも球児さんに翔さんも千恵美さんに将暉さんも…

“ 綺麗じゃなくカッコいい ” との返信が来た。


愛さんも…

「 私がアイドルの時だったら似合ってただろうなぁ〜 」


美和子さんも、彩香(むすめ)を見て…

「 私も、学生時代だったら似合ってたと思う。今はもうおばさんだから。私70過ぎてるんだよ?認知症も身体ぴんぴんでまだ動ける状態。でも彩香(むすめ)見てると学生時代に戻りたくなってきたわぁー!」


と母親同士は笑い合っていた。


「 そういえば… 彩香姉ちゃん。卒業式…だったよね?誰が行くの? 」と千夏が聞いてきた。


(彩香の)母の美和子さんが言った。

「 私、その日急に用事があって抜けれないんだよねぇ… 誰か代わりに言ってくれる人居ないかなぁ〜 」


と私の方を見た美和子さん。


愛さんが私に一言だけ言った。

「 卒業式の時… 彩香さんの事頼むね! 」


彩香もお願いしますね!と上から目線で私を見た。


卒業式当日…


彩香を車に乗せ、安田講堂に向かった。

彩香を降ろし… 私は駐車場に停めに言った。


すると40代男女の夫婦の人が声を掛けてきた。

「 龍雷神社長ですか!」

『 はい。そうですが… 貴方は? 』

「 当社(=私の会社)に勤めております。人事部に居ます。」

『 あ、遠藤さんですか? 』

「 そうです!遠藤(えんどう)(つかさ)です!こちらは妻の未来(みく)です。 」

 妻の未来さんは私にお辞儀をした。

「 今日はどうなさったんですか? 」

『 今日は従姉妹が卒業式で一緒に来てるんです。 』

「 あ、そうなんですね!ちなみにそれって彩香さんですか? 」

『 なんで知ってるんですか? 』

「 え?社内で何人か知ってますよ!社長と彩香さんとの関係を… 」


 それを聞いていた未来さんは驚いた。

「 え?それってアイドルの山本彩香ちゃん? 」

 司さんは妻の言葉に頷いた。


遠藤夫妻とお話をして、安田講堂に着いた。


だが…人数が多く、今世の中でこのような状況(=新型コロナウイルス)なので、彩香達の答辞や送辞など聞けず。


もうそろそろ良い時間になり…

彩香達が安田講堂から(遠藤夫妻の娘と一緒に)出て来た。


周りに居た人達も答辞をした彩香に驚いた。

“ まさか… 彩香ちゃんがあのGRT48のメンバーだったなんて。”

“ あの答辞をしていた彼女。GRT48の彩香ちゃんなの? ”


大学の時の医学部生時代に一緒に彩香の事を笑っていた人達も…

“ え?まさか、あれが人気アイドルグループGRT48の彩香ちゃん… 俺知らず知らずに笑っていたわ!謝れんかったわ ”


などと悔しがっていた。


経営学部の学長と私は(中学の)同級生(クラスメイト)

「 黄金!久方ぶり… 何十年ぶりだ!? 」

『 おう!お前か!お前が経営学部の学長とは知らなかったよ! 』

「 あと、彩香ちゃんの卒業おめでとう! 」

ThankYou(ありがとうな)! 』


私は学長の髙田(たかだ)政宗(まさむね)抱擁(ハグ)をした。


『 やっぱりおじさん達は友達だったんだ! 』


抱擁(ハグ)した状態で私は彩香を見て“ おう! ” と言った。


彩香の隣には(遠藤夫妻の娘)奏音(かのん)ちゃん。

彼女は音楽学科でピアノを専攻している。世界のピアノコンクールで賞を取っている実力者。

今日の卒業式で偶々近くにいて仲良くなったのだ。


「 ねえねえ… お父さん。」

「 なんだ?奏音。」

「 彩香ちゃんと今度一緒に遊んでも良いかなぁ? 」

「 ん…… 困ったなぁ〜 彩香さんはアイドルもされてるから無理にしない方が良いんだが… 」

「 連絡先ももう貰っちゃったし! 」


と司さんは私の方を頭を掻いて見た。


『 大丈夫ですよ!私は… 親代わりみたいなものですし、一応、彩香の両親には伝えておきますから。』


それを聞いた奏音ちゃんは喜んで彩香とハイタッチをした。


「 すいません… 何から何まで。」

「 本当に、奏音(むすめ)が危ない所があるので… そこだけは気をつけたいんですけどね。」

『 あー。彩香も同じような感じですよ… 偶にドジしたりおっちょこちょいの所もありますから。』


『 ちょっとおじさん。余計な事ペラペラ喋らないの。』

と彩香はその言葉を遠い所から、聞こえていたのだ。


そして、お別れ… の時間がやってきた。


司「 また、会社で分からない事あるかもしれませんが、ご指導の程宜しくお願い致します。」

未来「 主人の事宜しくお願いしますね! 」とお辞儀。


私は彩香を呼んだ。

『 彩香行くぞー! 』


彩香は小走り… 奏音ちゃんの方に手を振った。


車に乗り… 家に着き… 彩香は着物を脱ぎ捨てた。


そして、シャワーを浴びて、ドライヤーで髪を乾かし寝巻(パジャマ)になり、夕飯を食べずに… 横になった。


私もSUITS(スーツ)を脱ぎ、彩香の後に入った。

夕ご飯を軽く冷凍のご飯に卵を割り卵かけご飯にした。


そして、私は会社の仕事を少しやった後、寝室(ベット)で横になった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ