第010話 彩香、買物(ショッピング)(1)
千夏が手を振りながらこっちに向かって走って来た。
『 姉ちゃん!お待たせ!』
千夏は2人の友達を一緒に連れて来ていた。摩耶ちゃんも一緒。
高校のクラスメイト。2人は彩香を見て唖然とした。
『 え!本当にあの人気アイドルの彩香さんですか!?』
『 うわぁー!(◎_◎;) 本当だ!』
1人は頭の賢そうな眼鏡女子。高校生でありながら女流棋士だ!
もう1人は178cmと背の高いスタイルの良い女の子。
部活動はバスケ部エース。
『 私の妹がお世話になっております。』
「 お世話なんてとんでもない。仲良くして貰ってます。」
『 千夏の事宜しくお願いしますね!』
「 はい。こちらこそ!」と女流棋士の子。
「 千夏とは親友みたいなものです! 」とバスケ部の子。
千夏と 彩香は姓が同じなのに、数人しか知らないのだ。
何せ… 山本と言う姓は約110万人と日本で7番目に多い名字だ。
『 お姉ちゃん!お姉ちゃんが行きたい所どっかある?』
と千夏が彩香に言ってきたので…
『 お前が行きたいところだったら何処でも良いぞ!』と私は千夏に言った。
千夏は彩香の腕を掴んだ、
すると彩香の右後の耳から声がした。
「 いつも、応援してます!」と…
千夏のクラスメイトの女流棋士さんだ。
『 あなたの噂も存じでいます。
高校生で初の女流棋士になったんですよね?凄いです!』
「 そんな… 私はまだ入って2年ぐらいです。
まだ、他の棋士達には敵いませんが… 努力真っ最中です。」
『 でも、2年目で女流(二段)棋士になるなんて滅多にない事ですよ!頑張られたんですね。』
「 あは… そう言って貰えるだけで嬉しいです。」
彩香は彼女(=女流棋士)と握手を交わした。
すると… 向こうの建物の入り口付近で見かけた事のある4人が手を振っていた。
『 え! 』
『 嘘! 』
1人目は… 小説家でもありながら地元ではきりたんぽ娘と言われている秋田県出身 生駒麗奈。26歳。
2人目は… 韓国出身日本生まれ 母親が韓国人で父が日本人。背が低いが歌と踊りが上手い 韓美里 24歳。
3人目は… 中国出身 留学生で大学で医学部の勉強中。アイドルと医師勉強最中。 朱桜雪 25歳。
4人目は… 香椎結衣 25歳。神奈川県横須賀市出身。趣味はスカジャン。ファンからスカジャン娘と愛称。
その友達2人は驚いた。
「 うわぁ!本物や!身近にアイドルに会えるって私達って特別なの!? 」
「 それ!特別し過ぎて… え!私達で良いのってなる。」
「 テレビで見るより、実物綺麗!」
信号が青になり渡り… 合流した。
『 お待たせです!』と彩香さんは4人に言った。
『 生駒さんですか?ファンです!
あなたの小説何冊か読みました。感動しました。
特にこの部分…
"あの子の気持ちに素直に慣れないのは、好きだからって証拠。もし… 告ってみて駄目だとしても、またやり直せれば良い。"って所、私はキュンとしました。
私も同じような経験があります。その時も駄目でした。この一文を読んで、また新しい恋始めようと思いました。』
「 あ、ありがとうございます。」と麗奈さん。
『 生駒さんもこのような経験があるんですか?
今の時代、恋愛禁止じゃないですか…
小学生の頃ですか?中学生の頃ですか? 』
『 小学生の頃です。』と生駒さんは彼女(=女流棋士)に言った。
『 小学生かぁー。羨ましいです。
私も実は幼馴染の事が好きだったんです。
でも、幼馴染には好きな子が居たんです。
結果振られてしまったんです。』と彼女(=女流棋士)。
『 それは辛いでしょうね!
でも、チャンスはきっと来るはずです。』と生駒さんはそう言って握手した。
摩耶がみんなに聞いた。
『 皆さん… 行きたい所とかありますか? 』
『 んー。そうですね!お洒落なカフェとか良いんじゃない?』と結衣さんが言うと…
『 なら、私。パンケーキが美味しい店行きたい。』と韓さんが言った。
『 パンケーキ専門店か… 都内にも幾つか店舗はあるんだけど、おすすめって何処なんだろう…?』と2人は悩んだ。
黄金は仕事を終え…
彩香の電話来るのを待つまで、外歩きをしていた。
ただ… ブラブラしていてもやる事が無い。
また、旅行にも行きたいなぁと思った。
そんな時に、一本の電話が掛かってきた。
『 もしもし… 』女性の声だった。
『 はい。どなたでしょうか?』
『 あの、こちら龍雷神社長の携帯でお間違いないでしょうか? 』と30代女性の秘書らしき人の声だ。
『 はい、そうですが… 』
『 申し遅れました。私株式会社 湊川ホールディングス社長秘書をしている○○○と申します。今お時間宜しいですか?仕事中でしたら、また御都合の宜しい時間帯に折り返しお電話致しますが…… 』
と秘書が電話越しで言ったので…
『 仕事は終わりましたが… 今は外でウロウロしています。御用件はなんですか?』
『 あ、お外でしたか……
実は私の社長がお会いしたいとの事です。
日程と時間帯は早めにとの事です。
申し訳ありませんが、今月で空いている日にちとか御座いますか?』と秘書さんが言ったので私は手帳を開いた。
今日は2000年2月21日(月)。
『 それでしたら、2000年3月3日(金)とかは如何ですか?それでしたら、いつの時間帯でも大丈夫です。』
『 あ、そうですか… 分かりました。
社長に聞いてみます。』と秘書は言って、
エドワード・エルガーの"愛の挨拶"のオルゴールが鳴り始めた。
私はスタバに寄って、2〜3月季節限定の[桜の形をした八つ橋]ラテを注文し… 席に座っていた。
オルゴールが止まり…
『 その日は偶々予定が埋まっているとの事です。
申し訳ございません。』と秘書が行った。
私は、"日程についてはご連絡します。" と伝え、電話を切った。
スタバの中にはワイワイと話をしている女子大生や女子高生。
モンストをマルチプレイしている男子高校生4人組。
医学書を見ながらイヤホンを付け勉強してる男の子。
2組のカップルが何やら楽しそうに話していた。
また… 列には30歳と12歳の親子や3人兄弟が仲良くメニューを選んでいた。
彩香達は東京駅周辺を探索していた。
八重洲地下街。KITTE丸の内。東京スクエアガーデン。
エキュート東京。グランスタ。丸の内オアゾ。
何処に行こうか… 彩香も含め迷っていた。
周りは驚いた。中にはファンも何人か…
写真を無断で撮る女子高生。
写真を撮ってそれをSNSに載っける人達。
1組のカップルがこっちに来た。
『 私、ファンなんです!握手してください!』
『 彩香さんですか!?』と彩香に言い寄ってきた。
そして、他の人とかも続々とやってきた。
『 結衣さんですか?私ファンです!
今私的に流行のスカジャン着てきました!』と。
1人の女の子が結衣さんに着てるスカジャンを見せた。
『 桜雪さん。好きな韓国の女優とか俳優とかいらっしゃいますか? 』と。韓国ドラマや映画を欠かさず観ていると言う女の子。