表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編(ホラー)

ヤンデレ件が言う”本当”の事

作者: 御厨カイト


「……ちょいとそこの御方」


「えっ?」



ある日のバイト帰り、俺は何故か声を掛けられる。

声の方向へ顔を向けると、「占い」とデカデカと書かれた席に座りながら、こちらを見ている女性がいた。



「……えっと、俺ですか?」


「そう貴方。少し貴方の事を占って差し上げましょう」


「……いや、別に結構ですけど」


「まぁ、そう言わず是非是非」



……何か有無を言わさない勢いで席を俺の方へ引く。



「……あ、じゃ、じゃあ、お、お願いします」


「はい、それじゃあ、始めていきますね」



そう言い彼女は、ジーッと俺の顔を見つめてくる。

てっきり占いというのだから、手相などを見られると思っていたのだが……



少しして、結果が出たのか一度瞬きをして、俺に微笑んでくる。



「……ふむ、最近恋愛関係で悩んでいるようですね」


「……どうしてそれを?」


「見たら分かりますよ。私は占い師ですからね」



彼女はまた微笑む。



……確かに、最近彼女と喧嘩をしてしまって、仲が悪くなってしまったばかり。

だが、それをまさか初対面の人に言い当てられてしまうとは。


……まぁ、なら良い機会か。

どうすれば良いか聞いてみよう。



「……なら、これからどうすれば良いでしょうか。どうすれば彼女と仲直りできるでしょうか?」


「そうですね……仲直りすることは出来ないでしょう」


「……えっ?」


「私の占い的には貴方が彼女さんと仲直りすることは出来ません。何なら、そのまま別れてしまうと出ています」


「冗談ですよね?」


「冗談ではありません。私の占いではそう出ています」



そうキッパリ言う彼女。



「……中々失礼なことをおっしゃるんですね」


「それが占いの結果ですから」


「そうですか、でも所詮は占い、俺は信じないですよ」


「信じるかどうかはお任せします。ですが、私の占いは100%当たるという事だけは言っておきます」



そんな事を言い放つ彼女に対して、「チッ」と舌打ちしながら俺は財布を出す。



「あぁ、お代は結構です」



その言葉さえ、俺を苛立たせる。




何が占いだ。

仲直りできないだと?そのまま別れるだと?

無責任な事を言いやがる。


はぁ、まったく、時間を無駄にした……

そうだ、彼女が好きなスイーツでも買って帰ろう。

多分、少しは喜んでくれるだろう。



帰路に就きながら、俺はそう考えるのだった。













1か月後






結局俺は彼女と別れた。


喧嘩したまま、仲が悪くなったまま、良くなることは無くそのまま……


クッソ、結局あの占い通りの結果になってしまった。

はぁ、マジか……

あの時、あの占いを聞かなければ……



そんな事をグルグルと考えながら、バイト終わりの俺はトボトボと家へ向かう。



すると……いた。

前回と同じ場所にアイツがいた。


アイツも俺の事に気づいたようでニコッと微笑む。



「おや……またお会いしましたね。どうですか、私の占いは当たりましたか?」


「……あぁ、当たったよ。見事に当たったさ」


「そうですか、それは良かった」



そう言い、より一層笑みを深くする。

その様子に腹が立った俺は、アイツの胸ぐらをつかむ。



「お前、いい加減にしろよ。何が良かっただ、なんにも良くねえんだよ、こっちはよ!お前の占いなんて聞かなかったら――」



そこで言葉が止まる。

いや、止まざるを得なかった。


俺が胸ぐらをつかんだ勢いで、彼女のフードがとれる。

そして、そこで目を引いたのは綺麗な黒髪ではなく……



「……牛?」



そう、立派な牛の角だった。



「あぁ、バレてしまいましたか」


「……い、一体どういうことだ。そ、その牛の角、作り物か?」


「いえいえ、これは作り物なんかじゃありませんよ」



アイツは自分のその角を撫でながら、そう微笑む。



「作り物じゃない?じゃあ、なんだお前は人間じゃないとでもいうのか」


「えぇ、そうですよ。私は人間なんかじゃありません。私は(くだん)です」


「く、(くだん)?なんだソレ」


「おや、聞いたことがありませんか。(くだん)というのは妖怪でございます。妖怪と言っても別に何か悪さをする訳ではございません。ただ、言ったことが本当になるだけです」


「言ったことが本当に……ってことは、お前が別れると言ったから俺らは別れたっていう事か!」


「そうですよ。私が言ったことは本当になるのですからね」


「なっ……お前……」



俺は拳を握る力を強める。


こいつが言わなかったら、俺は彼女と……



「……何でこんなことをした」


「何でって……、勿論貴方の事が好きだからですよ。」


「……はっ?」



思ってのいなかった返答で固まってしまう。

……えっ?俺の事が好き、だと?



「貴方の事が好きだから、ただ邪魔な人を消したんです」


「……えっ?お前、何言って――」


「何って、ただ貴方の事が好きだからした事ですよ。これで貴方の周りの邪魔な人は消えました。後は貴方が私の事を好きになるだけ」


「……頭がおかしんじゃないか。そもそも、俺がお前の事を好きになるわけがないだろう!」


「……果たして本当にそうでしょうか」


「あん?」


「さっきも言いましたが、私は(くだん)ですよ。言ったことが本当になるんです」


「……それが一体どうした……ってお前まさか!?」


「フフフ、もうお分かりですね、私が次に何を言うか」



そう言いながら、さっきよりも一層笑みを深くする。











「貴方は私の事を好きになる」

















皆さんこんにちわ 御厨カイトです。

今回は「ヤンデレ件が言う”本当”の事」を読んでいただきありがとうございます。


読んで「面白い」とか思っていただけたら、感想とか評価のほどよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] これ件ってことはこの後すぐ死んじゃうのかなー。うわぁー。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ