愛する人とは結ばれることはできない。だからお前で我慢してやると言われた侯爵令嬢が、婚約者の王太子に復讐を決意するまで
「私が愛する令嬢とは結ばれることは永遠にない」
「はい」
「だからお前で我慢してやる!」
私は王太子の婚約者に選ばれて開口一番こういわれました。
…私、馬鹿の婚約者になったみたいです。
「私で我慢ですか」
私は伯爵令嬢である私が急遽、婚約者に選ばれた理由を聞きましたがこの殿下、釣り書きの一番上の人間でいいといってあたったのが私だったのです。
「お前みたいな胸なしでも名目上の婚約者としてはいいんだ」
「はあ」
私は胸なしといわれることは慣れていました。みんなそう言ってましたから。
でもねえ…。
「釣り書きではわからなかったのがな…」
私は殿下にそうため息をつかれ、そして離れに追いやられそこで生活することになりました。
胸なしはあまり目に入れたくないそうで。
そして殿下はいつも王妃様の部屋にご機嫌伺いとやらにいくのです。マザコンと聞いていましたが…。
「おい胸なし!」
「私にはレイリという名前がありますわ殿下」
「胸なしで十分だ。おい、お前とは婚約破棄する。ここから出ていけ!」
私は離れにやってきた殿下にまたいきなり宣言され、離れすら放り出されました。
私は殿下が抱きしめている女性、お胸が立派ですわねを見て、驚きました。
王妃様付の侍女で殿下より一回り上の人だったからです。
「真実愛するメリアと僕は一緒になることになった。とうとう母上を説得できたんだ!」
「……」
「おい、胸なし聞いているのか!」
私はもう何も言えず呆然と馬鹿がイチャイチャするのを見ていました。
そして…私はカバン一つ持って家に帰ることになったのです。
馬鹿にされて引き下がるわけにはいかず、私は隣国へ向かったのです。
ええ、隣国の王太子がまだ独身だったことを聞いていたからです。
…特殊趣味には特殊趣味ですわ。私の欠点が武器になるのなら使ってやりますわよ。
「お前!」
「あらごきげんよう殿下」
私はにっこりと元婚約者に笑いかけました。
「へえこれが君の元婚約者、思ったより短足だし背が低いね」
「でしょう殿下」
私は隣国の王太子とともに我が国に舞い戻りました。ええ殿下は私の胸を見てすばらしいまったいらだと嬉しそうに笑います。
ええ正反対の趣味を持つ二人でしたわ。
「ああすばらしい…」
「おい、レイリこれは!」
「私、隣国の王太子殿下の婚約者に選ばれましたの。うふ、あなたみたいな背が低い短足と違って、背が高くてハンサムで優しい殿下に選ばれましたのよ!」
「…すばらしいレイリの魅力がわからないなんて最低な男だな」
顔だって頭だって、財力だって、元婚約者より上ですわ! ええ、私はにまりと笑いました。
だって胸なしといわれるのがとても嫌だったのですが、その趣味のせいで婚約者が決まらない隣国の王太子の噂を聞いて賭けてみることにして、私は賭けに勝ったのですわ。
そして悔しがる元婚約者と今の婚約者相手に私は笑顔を向けました。
これからが本当の復讐ですわ。隣国があなたたちの国を狙っているのを知らないのも間抜けですわ。
私の情報をもとにもう攻め入る準備だってしてますのよ。見てなさい!
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