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第二話 「少女との出会い」

 ともかく、近くに村があり、人がいるというのなら、

「すぐにでも助けを求めたいところだけど…」

この格好はまずいよなあ、と心の中で呟く。


 僕が身にまとっているのは制服だ。これ自体が変というわけではなく、

西洋風と見えたあの村の人たちにとって、変わった格好だということである。


 現地の人と、言葉が通じる可能性は限りなく低い。

最悪捕らえられたりでもしたら、弁明する(すべ)がない。


 ただでさえ森から出てくる時点で怪しいというのに、

これ以上不安要素は増やすのは不味い。かなり不味い。


「うーん、やっぱり脱ぐべきかなあ」

無地である黒いズボン――スラックスはともかく、

ベストとワイシャツは不自然だろう。上裸は流石に……しかし、決断を迫られる。


 数分後――『僕』にも思うところがあって、脱ぐのはベストだけにしていた。

せめてもの抵抗として、全身を葉や土で汚し、髪も無造作に荒らすことを選び、

「どうも、遭難者です」と言わんばかりに偽装していた。


 もう、日の入りも近い。覚悟を決める。

いい人たちであってくれ――あと言葉も通じてくれ……

 そう願いつつ、僕は一歩踏み出した。


「すいませーん! 助けてくださーい!」


 しまった。せめて英語で声をかけるんだったと、気付いたころにはもう遅い。

石造りの家、その一軒のドアが開く。


「あら、あなたも襲われたのですか? 見知らぬお方」


 年は十五歳ほどだろうか。金髪碧眼の少女だ。

まさに村娘、といった服装で、容姿はとても整っている。それはまるで……

 いや、それよりも。西洋風の見た目に反して、彼女の言葉は()()()だった。


 驚きと喜びが混ざりあう中、彼女の言葉に意識を向ける。

()()()()()()()()() まるで他にも僕のような人がいるという口ぶりだ。

 ひとまず、話を合わせる。


「そうなんです。森の中で突然襲われて……」

少し厳しいだろうか。いたいけな少女よ。どうか騙されてくれ。


「やはり人食い狼に…… どうぞ入ってください」


 人食い狼だって……?

現実味のない言葉が僕の心を揺らす。

 でも、今はお言葉に甘えることにしよう。


「ありがとうございます」

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