二章 十三話 出し物準備
二章 十三話目です。
相変わらず投稿間隔がバラバラで申し訳ございません。
それでは今話もよろしくお願いいたします。
「さて。出し物が決まった以上、急いで準備に取り掛かるわよ!!」
結局、アランの教室の出し物はクレープ屋に決まった。
ソフィアからの提案だったということをヤチルがクラスメイト全員に伝えると、あっという間に決まってしまった。
そんなクラスメイト達を見てソフィアは少し複雑な表情をしていた。そんな彼女をアランは横目で見る。
リーフレットが転入してきた彼女を紹介する時に¨彼女は王族だからと特別扱いをしてもらいたくないそうです¨と、そう言った。
しかし、そうは言われてもなかなかそうはいかない。
どうしても転入してきて一日では知らない相手への特別扱いをなくすことには無理がある。それは転入してきたソフィアも受け入れる生徒もどちらも何一つ悪くはない。
時間をかけて解決していくしか方法はない。
それが分かっているからソフィアは何も言わないのだろう。
「男子連中は機材の確保。女子は必要な材料と量の計算、あとメニューも今日中に決めちゃいましょう」
ヤチルがクラスメイトに的確に指示を出していく。
「それと・・・アラン?」
「ん?」
ヤチルが一枚の紙をアランに渡してくる。確認してみると、出店の申請書のようだ。
「これ持ってソフィア様と一緒に出し物の申請してきて?」
「え?」
そう言うとヤチルは顔を近づける小さな声でアランに囁いてきた。
「あと・・・ソフィア様のフォローもお願い。今日彼女と接した感じだと、今のところクラスでアランが一番ソフィア様と仲良さそうだから」
「お前・・・」
流石はヤチル、周囲をよく観察している。ソフィアの様子を見てアランと同じく悟ったらしい。
「朝のやり取りを見た限りお互い知らない間柄ではないんでしょ?私も出来る限り協力するから、私も含めた在校生がソフィア様に慣れるまでは気にかけてあげて?」
「分かったよ。じゃあさっさとこれ、出してきちまうな」
「よろしく。あ、それとねアラン」
「なに?」
「今まで貴方を避けてきてごめんなさい。勝手かもしれないけど、これからは仲良くしていきたいと思ってる」
ヤチルが頭を下げてくる。
「ヤチル・・・」
「謝罪を受け入れてくれなんて今の私には言えない。だから貴方の言うとおり、これからは行動で示していくつもりよ。だからこれは私の身勝手な謝罪、それでも謝っておきたかったの。ただ、それだけ」
そこまで言ってヤチルは背を向け離れていく、再びクラスメイトに指示を出しにでも向かうのだろう。
アランはそれを無言で見送る。今のヤチルの言葉が嘘ではないと信じて。
ヤチルと別れたアランはソフィアを誘いに行こうと教室内を見渡す。
ソフィアは調理担当の女の子達にクレープの作り方を教えているようだった。
でもソフィアから話を聞いている女の子達はどこかよそよそしい。
(やはり転入してきて一日目では無理そうだな)
そんなことを考えながら彼女と話す女の子達に話を付け、ソフィアを連れて出し物の申請へと向かった。
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