二章 十話 暗躍するモノ達
二章 十話目です。
今話は一旦学園でのお話を止めて別視点でのお話です。
それでは今話もよろしくお願いいたします。
ソフィアがレギルス学園に転入した頃、遠く離れたとある場所で一人の人間の死体を抱えるモノがいた。
夜空よりも暗く、深い闇の中で・・・人間が生きていられない場所で、そのモノは確かに生きていた。
モノは抱えている人間の死体に目をむける。死体は既にかなり腐敗が進んでおり、辺りに死臭が立ちこめている。そんな空間の中そのモノは嫌な顔一つせずにただ死体を見つめる。
ジッと・・・何もすることなく、ただジッとそのモノは死体を見て顔を喜びで歪ませる。
「ケケッ・・ケケケケ」
不気味な声がそのモノから発せられた。
実際には声ではない、そのモノは発したものはただの笑いだった。おぞましい程の歓喜が籠った笑いが暗闇に溶けて消えていく。
「ナニヲ・・・ソンナニ・・・ワラッテ・・・イル?」
暗闇に別のモノの声が聞こえてくる、死体を抱えるモノは赤黒く光る眼を話しかけてきたモノに向ける。
暗闇浮かぶ二対の赤黒い眼が交差しぶつかる。
「ソレハ・・・ナンダ?・・・マタ・・・オモチャデモ・・・ヒロッテ・・・キタノカ?」
「アア。マァ、ソンナトコロサ。デモコイツハイママデノオモチャトハ、クラベヨウモナイクライ、ジョウモノダ」
抱えた死体を愛おしそうに撫でながらそのモノは言う。
「ツイサッキナ、チジョウデショクジヲシテタラ、ゾウオニミチタコレヲミツケテナァ。オモシロイコトヲオモイツイタンデ、モッテカエッテキタノサ」
「オモシロイ・・・コト?」
「アア・・・トッテモ、オモシロイコトサ。ケケケッ!」
そう話したそのモノは抱えていた死体を大事そうに横たえると魔法を使い始める。
「オレタチハ、シンゲツノヨルノホンノヒトトキシカ、チジョウニデルコトハデキナイ。ダガ、コイツヲツカエバ・・・」
「ナルホド・・・」
死体に手を加えるそのモノを、別のモノは静かに見守る。
この後人間の死体がどうなるのか、かけている魔法を見れば一目瞭然だ。
「オマエノスルコトヲ・・・トメハシナイ・・・ダガ・・・ヨクオボエテオケヨ」
「ナニヲダ?」
「ニンゲンハ・・・シンヨウデキナイ・・・タトエ・・・ソレガ・・・シガイデアッテモダ」
「ワカッテイルサ」
「ナライイ・・・ソレトナ・・・アマリムリハスルナ・・・ガヴァ」
魔法を使っているガヴァの体は既にボロボロだということは見守っているモノには直ぐに分かった。
恐らく無理に地上に出た為に負った怪我なのだろう。
「オマエノチカラハ・・・ワレラニトッテヒツヨウナモノダ・・・オモチャアソビモイイガ・・・ハンギャクノトキニハ・・・タイチョウハ・・・バンゼンニシテオケヨ」
そう言って見守っていたモノはその場から消え去る。
暗闇に光る眼が一対になり静かになった暗闇にガヴァの声が響く。
「モチロンソノツモリサ、コレハタダノヒマツブシ。コイツデオソエルノハ、コイツガセイゼン、ゾウオシテイタニンゲント、ソノシュウイノヤツラダケ。ソレデモイイ、コノニクシミヲスコシデモハラスコトガデキルナラ・・・ケケケケッ!!」
暗闇にガヴァの不気味な笑い声が木霊した。
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