一章 六十一話 ライフィール国王
六十一話目です。
次回の投稿は23日になる予定です。
それでは今話もよろしくお願いいたします。
「お久しぶりです。お父様」
「・・・・・」
光の枠内にライフィール国王、ソフィアの父の姿が映し出される。
しかし、ソフィアの声がけにライフィール国王は反応を見せない。執務机に視線をおとし、何やら仕事をしている最中のようだ。
「お父様?聞こえていますか?」
「ん?・・・」
再度父を呼ぶソフィアの声にライフィール国王が顔を上げる、どうやらソフィアに気が付いたようだ。
仕事をしていた時に見せていた厳つい顔が一気に笑顔に変わっていく。
「おお、ソフィア!!久しいなぁ!!元気にしておったか?」
「え、ええ・・・この通り息災ですわ」
父のあまりに急な表情の変化にソフィアは顔を引きつらせる。
ライフィール王国国王、エリック・ランド・ライフィール。
王としての才能は他国の王に引けを取らない若王だが、家族に対しては超が付く過保護な男として有名な王だ。
最も、その理由を知っているソフィアにとってはとても大事な父であることに変わりはない。
「そうか、そうか・・・それは何よりだ。しかし他国への初めての留学はやはり大変だろう?何か困ったことはなかったかい?もしなにかあったらすぐにいってくれ、事の次第によってはソフィアを困らせたゴミは直ぐに片付けてファーネリア王国とは即座に国交断絶するから。もし嫌なことがあったらすぐに帰ってくるんだよ?」
「まだ私がファーネリア王国に来てから三日程しか経っていませんよ?それに国交断絶なんて物騒なこと言わないでください!それと私の住む屋敷・・・これは一体どういうことなのですか!」
ソフィアは父に問い質す。
「私一人が生活するのにこんなに立派な屋敷は要りません!しかもなんなんですか、このやり過ぎなまでの警備体制は!これでは落ち着いて生活なんてできませんわ!」
「仕方ないであろう!私の大切なソフィアに何かがあってからでは遅いのだ、これでも最低限の警備に抑えておるのだぞ!それに留学する条件に警備を強化するのは入っていただろう!」
「それがやり過ぎだと言っているのです!自分の身は自分で守れるだけの実力はあると自負しています!」
父娘の喧嘩が始まる。その声は部屋の外で待機しているジルやメイド達にも聞こえていたが、彼らはそれを笑顔で流していた。
二人のことを知らない赤の他人が見れば止めに入るべきだと思うかもしれないが、ソフィアに仕えてきた彼らの誰もが知っている。
国王がどれだけソフィアを心配しているかを、そのソフィアが国王の思いをどれだけ分かっているかを。
暫く続いていた喧嘩はやがて止まる、だがどちらかが折れたというわけではない。
どちらもが相手を大切に思っているからこその衝突だ、そう簡単に決着はつかない。
だが、それでいい。この父娘にとって、これは家族の語らいの一つなのだから。
「それで?・・・お父様から私に何かお話があるとの事でしたが、一体どういった内容でしょうか?」
「あ、ああ・・・そういえばそうだったな」
そう言うとライフィール国王エリックは少し間をおいて話だした。
「私もファーネリア王国に向かう」
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