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最弱零鉄の使い手  作者: 綾地才人
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一章 五十八話『決闘』当日 決着後、一悶着

五十八話目です。

前話で投稿が遅れると言いましたが、今話は予定通りに投稿します。

次話の投稿は二日後の投稿が完全に出来ません、三日後の投稿となる予定です。

それでは今話もよろしくお願いいたします。

「ふざけんじゃねぇ!!」


デムジが叫ぶ。

内臓が焼けた痛みに藻掻きながら、血反吐を吐いて審判の宣言を否定する。


「俺はまだ負けちゃあいねぇ!!まだまだ戦える!!勝手に勝敗を決めてんじゃねぇ!!」


デムジはそう叫びながら何とかして自分がめり込んでいる壁から抜け出そうと体を動かす、しかし上手く力が入らないのかめり込んだまま藻掻くだけしか出来なかった。

誰の目にも明らかだった、もうデムジは限界だと。


「デムジ君・・・今の君ではもう戦えない。自身の体を上手く動かせないまで疲労し、そうやって壁から出れないのかその証拠だよ」


「黙れ!!このクソ教師が!!これは俺様とそこの無能との戦いなんだよ、邪魔してんじゃねぇ!!」


「なんだと?!」


「そもそも俺様がソイツに負けることなんて絶対にありはしねぇんだ!!俺様が今こんな無様な姿を晒しているのがおかしいんだ!!そうだ・・・きっとアランの奴はイカサマを使ったんだ、そうに違いない!!」


デムジがそう喚きだす。

アランは怒りを通り越して喚くデムジの事を哀れだと思いながら見つめる、コイツは二週間前と何も変わっていない。

自分の考えが絶対に正しいと信じきっている、アランがいつまでも自分より下にいると思っている。

本当に救えない奴だ、今のデムジに何を言ってもアランの言葉は本当の意味でデムジ届くことはない。


「アランッ!!てめぇイカサマを使って俺様に勝ってそんなにうれしいか?まぁ仕方ないよなぁ~そうまでしなきゃこの俺様にお前みたいな『零鉄』(無能)は勝てねえもんなぁ」


自分の都合しか考えず、自身の立場が悪くなることは弱者へと押し付けそれを正当化しようする。

・・・もう、こいつは救いようがない、救うことはできない、許すことは断じてできない。

アランが審判の教師の静止を無視してデムジに近づいていく、もう終わらせる・・・。

背中の翼はあと二枚ある、その翼を使って発動した魔法でデムジを攻撃すればそれで終わり。

魔力は刀を包む、峰部から蒼炎が噴き出す。あとはデムジに向けて魔法を放つだけ・・・。


「ダメェ!!アラン!!」


「ふ、フレア?!」


デムジのめり込んでいる壁のちょうど上、観客席の最前席のフェンスに身を乗り出しアランに叫ぶ。


「『決闘』は既にアランの勝利で決着がついたわ!!それ以上やったら貴方が嫌っていたデムジと同じよ!!」


「・・・ふぅ~・・・そうだな、分かったよフレア。君の言っていることは正しい」


フレアの叫びでアランは一度深呼吸すると、発動していた魔法を解除する。


「はっ!!所詮お前は無能だな!!フレアなんかに止められて、俺様にトドメをさす魔法を解除しちまうなんて、とんだ間抜けだよお前は!!」


魔法を解除したアランを見てデムジが笑いながら話す。

そんなデムジにアランは言葉をかけようと口を開きかけると


「いい加減にしろよデムジ!!」


そんな声が観客席から聞こえてきた、フレアの声ではない。

一人の男生徒が席から立ちあがってデムジを見つめ、話す。


「アラン君はイカサマなんて使っちゃいない!!そんなことはここで今の『決闘』を見ていた観客達全員が分かっていることだ!!」


「なっ、なんだとテメェ?!」


デムジが男生徒を睨み付ける。

そんな中で、男生徒の声に別の生徒が立ちあがって同じように話出す。


「お前だって本当は分かっているんだろ?!アラン君はイカサマなんて使わずにお前に勝ったんだよ・・・お前や、俺達観客に暴言を吐かれながらも、アラン君は全力で戦っていた。暴言を吐いていた俺が言うのもあれだけど、そんな彼をなんでそんな風に蔑むことが出来るんだよ?!」


次々と同じような声が観客達の中から上がり始める。

その声が観客席中から聞こえ出すと、デムジは狼狽えだす。


「黙れ!!黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ・・・黙れぇっ!!!俺様は間違っちゃいねぇ、雑魚共が俺様に意見してんじゃねぇ!!」


デムジは怒りで真っ赤にしていた顔で駄々をこねるように叫ぶ。

ボコッっと音をたてながらデムジが無理やり体を動かして壁抜け出した。


そして上手く立つことも出来ない体で黒炎星(ヘリオス)を発動させる。

アランは警戒して距離を取りデムジの魔法を取り込む準備をする、だがデムジのターゲットはアランではなかった。

デムジは作り上げた黒星を観客席めがけて放とうとしていた。


「観客の分際で・・・雑魚の分際で・・・俺様に説教なんてしてんじゃねぇ!!」


「ッ!!まずい!!」


アランはデムジが観客席を攻撃しようとしているのを見て、デムジに向かって走り出す。しかしもう間に合わない、てっきり黒星は自分に向かって放ってくると思い込んで観客席から離れてしまったのが仇となってしまった。


「ヒャッハハハハハ!!!死ねぇぇぇぇぇ!!」


「やめろッ!!デムジ!!」


黒星が放たれる、真っ直ぐに観客席へ向かって飛んでいく。

観客達の悲鳴が聞こえだす、もうアランには何もできない。そう()()()()()・・・


観客席に黒星がぶつかる、しかし観客達に被害が出ることはなかった。

黒星の正面に一人の女の子が立ち、魔法で作り上げた大木でそれを受け止める。

大木は黒星に燃やされていくが、燃やされるスピードよりも遥かに速い驚異的な再生力で黒星を押しとどめる。

アランはその女の子に見覚えがあった。

昨日、当然母を訪ねてきた蒼髪の少女。


「ソフィアさん?!」


「アラン君ッ!!早くその人を止めて!!この魔法はそう長くは持たないわ!!」


ソフィアの言葉を受けてアランが地面を駆けデムジに近づく、動けないデムジは近づいてくるアランを睨み付けることしか出来なかった。


「てめぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」


「デムジィィィィィィィ!!!!!」


アランは未だ蒼炎を纏う刀でデムジを斬り飛ばす、吹き飛ばされたデムジは再び壁にめり込み意識を失い動かなくなった。

デムジが意識を失うのと同時に黒星も跡形もなく消滅する。ソフィアは作り上げていた大木を魔法を解除し消すと、アランに向けて笑顔を見せた。



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