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最弱零鉄の使い手  作者: 綾地才人
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一章 四十九話  『決闘』前日の来客

四十九話目です。

今話は少し長くなってしまったので一旦区切ります。

それでは今話もよろしくお願いいたします。

偶然にも街の外でデムジに会ってから二日。『決闘』まで残り一日と迫り、アランはこれまでの特訓の最終調整に入っていた。自宅兼孤児院に併設されている空き地に腰を下ろし入念に柔軟をする。

今の時間は朝の八時すぎ、明日のこの時間にはレギルス学園の第一闘技場でデムジとの『決闘』に挑んでいるだろう。

『決闘』が決まってからこの二週間、色々な事があった。フレアとの喧嘩、魔熊との遭遇と戦闘、シュバルツ兄妹と騎士団との出会い、そして『零鉄』の力の目覚め・・・アランが今まで生きてきた中で、この二週間は本当に充実したものだった。特訓を始める前と比べれば、間違いないなく自分は強くなっているとアランには確かな実感を持っていた。


それでも今のアランがデムジ相手に勝てる確率はかなり少ない、だがそれでいいのだとアランは笑顔を作る。

戦う以上は勿論デムジ勝ちたい気持ちもあるし、それを目指してこの二週間過ごしてきたことに間違いはない、負ければ当然悔しい思いもするだろう。でも負けたからといって何かを失う訳ではない、努力してきた今までの時間と経験は全てアランの中に蓄積されている。デムジの強さの前では二週間の努力など微々たるものかもしれないが、『決闘』前に出来ることは精一杯やってきた。後はそれをデムジにぶつけるだけ・・・


(明日の『決闘』には他の生徒もかなりの人数が観戦に来るだろう・・・恐らく俺は完全にアウェーで戦うことになる。だけどあくまで戦うのは俺とデムジの二人だ、観客が何を言おうとデムジとの戦いに集中していれば気にならないはず)


柔軟をしながら明日の戦いを頭の中でイメージする、『決闘』を明日に控えた今日はいつものような特訓はせずに柔軟と軽い運動だけして体を休めるつもりだ。これはフレアとの話し合いで彼女に言われた事だが、たまには体を休めることも大切らしい。


(まぁ明日にはデムジと戦うことになるし、今ごろ焦って特訓して怪我でもしたら目も当てられないからな)


「あの~・・・すみません」


「はい?」


柔軟を終え軽いランニングでもしようとアランが立ち上がると、後ろから誰かが声を掛けてきた。振り向いて確認すると白い帽子を頭に乗せた蒼髪の少女がじっとアランを見ていた、歳はアランと同じくらいだろうか。少女はウェーブのかかった髪を腰のあたりまで伸ばし、高級そうなカーディガンを羽織っている。


「運動中にすいません・・・少しお時間よろしいでしょうか」


「え、ええ・・・大丈夫ですよ」


「実は私はライフィールからこちらにやってきたのですが、道に迷ってしまって・・・ホーク孤児院ってどちらにあるかご存知でしょうか?もし知っているのでしたら教えて頂きたいのですが・・・」


どうやらこの少女はアランの家に用があるらしい、アランはこの少女に見覚えがないので父さんか母さんのお客さんだろう。


「知ってます・・・というか俺の自宅ですよ、ホーク孤児院は」


「・・・え?そ、そうなんですか?」


「はい・・・どうぞこちらへ、案内しますよ」



アランは驚いている少女を連れて隣の孤児院へと案内する。

空き地から歩いて僅か数十歩、孤児院の前に連れてきた少女は目の前の建物をみて呆然としていた。


「あの~・・・ここが本当に孤児院なんですか?どう見ても貴族が住んでいるようなお屋敷にしか見えないのですが・・・」


(そういえばこの子はライフィールから来たって言ってたな、ならこの反応は当然だな)


「ええ、間違いなくここがホーク孤児院ですよ。ほら、そこに大きな看板が立てられているでしょ?ファーネリア王国では孤児院経営で必要な資金は全て国が出してくれるので、どこの孤児院もこんな感じの建物なんです。なんでも国王様が『子供は我が国の大事な資産である。失えば遠くない未来、我が国の損害に繋がるだろう』といって始めた政策らしいです」


「・・・やっぱりファーネリア王国はすごいですねぇ~私の国でもその政策は導入してほしいです」


そういって呆然と立ち尽くす少女を連れてアランは孤児院に入っていく。














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