一章 四十七話 久しぶりの対峙
四十七話目です。
今は難しいですが、時間があったら序盤の話の加筆修正も行っていきたいと思っています。
それでは今話もよろしくお願いいたします。
フレアとの待ち合わせ場所にアランが到着するとフレアはおらず、代わりにアランを見つけたデムジが近寄ってきた。
『決闘』当日までなるべく会いたくなかった人物との急な遭遇にアランは顔を曇らせる。
「お前なんでこんなところにいるんだ?まさか・・・また特訓でもしてたのか?無駄なことが好きだなぁ~。お前がどんなに頑張っても強くなれるわけねぇってのによぉ!」
「・・・・・」
デムジはいつもと変わらずアランを見下し、上から目線で話しかけてくる。アランを見下すデムジの顔は丁度いい獲物を見つけた時の魔物のように何処か嬉しそうだった。
アランはデムジのその顔が嫌いだった、デムジがその顔を向けるのは彼が弱者と認証した相手だけなのだから。アランがどんなに否定しようともデムジの中ではアランが弱者であることに変化が起こることない。そしてデムジのその考えを変えさせない限り、アランが学園で蔑まれることがなくなることはないといってもいい。
アランはデムジを始めレギルス学園の生徒や教師から馬鹿にされているが、その原因といってもいいのがデムジの存在だ。性格は最悪なデムジだがその強さは学園トップクラス。デムジに対して反論できる強者は学園にほぼおらず、彼に目を付けられれればアランと同じように周囲から馬鹿にされる事になるのは必然だった。だからこそ生徒も教師もそうなることを恐れてデムジを擁護したり、一緒になってアランを馬鹿にすることで自分達がデムジの標的になるのを避けていた。
そこに追い打ちをかけたのがアランが『零鉄』だという事実だった、もしアランが『零鉄』ではなく他の多くの人達と同じように一般的な刻印石を持っていたのなら状況は少しは変わっていたのかも知れない。だがアランが『零鉄』あった為、デムジへの恐怖から自分を守る為にアランを馬鹿にする行為が「あいつは『零鉄』だから馬鹿にされて当然」という世間の常識を盾にする事で正当化出来るようになってしまっていた。
だからこそデムジに『決闘』を挑まれた時、アランはそれを敢えて受けることにしたのだ。もし仮にアランがデムジとの戦いに勝つことができたのなら、今のアランに対する誹謗中傷に少しでも変化が起こるかもと期待して。
「俺がどんな理由で特訓しようとお前には関係ないことだ。デムジ、お前も俺なんかに構っていないで少しでも特訓したらどうなんだ?『決闘』当日に後悔する事になるかもしれないぜ」
「ありえねぇんだよ!そんなこと!お前が俺様に勝つなんてな!」
「・・・だが俺が勝つ可能性は0じゃない、ならその可能性を少しでも上げる努力を俺は続いていくだけだ」
「・・・相変わらずムカつく奴だなお前、そんなに俺様を怒らせてぇのか?」
デムジが刻印石から『ルビー』の大剣を創り出し炎魔法を唱え始める。その様子をアランはなにもすることなく見つめている、何故なら・・・後ろから怒りで顔を真っ赤にしてフレアが走って来ていたのだから。
「魔法を使おうとしているところ悪いが・・・後ろ見た方がいいぞ?」
「あ゛ぁ?」
「デムジィィ!!!あんたまた性懲りもなくアランを・・・覚悟は出来ているんでしょうねぇ!?」
「げぇ、フレア!?・・・仕方ねぇ・・・アラン!!今日のところはこれで勘弁してやるよ!どうせ『決闘』ではあいつは手ぇ出せないからな・・・その時に思う存分痛めつけてやるから楽しみしてな!!」
そう言ってフレアの放つ魔法を何とか躱しながら、デムジは街の方に走っていった。
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