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最弱零鉄の使い手  作者: 綾地才人
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一章 四十五話  素晴らしい戦い

四十五話目です。

今話はかなり長くなってしまいました。会話シーンがほぼない話をここまで長く書いたのは初めてな気がします。

それでは今話もよろしくお願いいたします。

アラン、クライブ、二人の特訓は休憩を挟む事なく続き、昼ごろに終了した。終了と同時にいつの間にかできていたギャラリーから歓声が起こる、ギャラリーは騎士団のメンバーたちだった。



二人の特訓が始まった当初は早朝ということもあり修練場には他の人はいなかったが、日が昇るにつれ騎士達が仕事をするために詰所に集まってきた。

詰所に来た騎士達は自分達がいつも訓練に使う修練場で団長と戦う一人の少年を見つけると、一人また一人と面白半分で見物を始めたのだ。なにせ自分達にいつも優しく訓練をつけてくれている団長が、たった一人の少年に殺気を剥き出しにして攻撃をしていたのだから。

見物を始めた騎士達の誰もが団長と戦う少年を憐みの目で見つめてこう考えた、『可哀想に・・・あの少年は今の団長には絶対に勝てない、一方的に殺られる』と。団長の放つ殺気は本物だ、離れた所から見物をしている騎士達も恐怖で足が震えるくらいに。

だがギャラリーのそんな考えはあっさりと覆される。二人の特訓を観ている全ての者が団長の一方的な攻撃で直ぐに決着が着くと思っている中、その時は一向に訪れなかった。少年は団長の攻撃で何度も吹き飛ばされ、地面に叩きつけられ、床を転げまわりながらも、その都度立ち上がり自らを殺しにかかる団長に向かっていく。勝てる可能性など元からなく、まともに攻撃を受ければ大怪我は避けられない状況の中で只々真っ直ぐに団長に向かっていく姿を、少年を憐れんでいた騎士たちは言葉を忘れ目で追い続ける。


二人の戦いは休む事無く続き、既に三時間以上戦い続けていた。依然として団長は圧倒的に優位ではあるが、それでも少年は変わらず何度も立ち上がり向かっていく、しかも最初の頃と比べて地面を転がる回数は減って来ており、少年は物凄いスピードで成長していた。今の団長が繰り出す攻撃はベテランの騎士でも躱したり受けることはかなり難しいものばかりだ。それを少年は上手く捌き、受けるダメージを最小限に抑えて戦い続ける。

呼吸は乱れ、全身汗まみれになりながらそれでも目の前の相手・・・団長から目を離さない。少年は今、団長しか見ていない・・・いや見ようとしていないのだろう。周囲に意識を割くのを止め、只々目の前の相手に集中し続ける。それは騎士を職とする者にとっては基礎中の基礎であり、生涯磨き続けていかなければならないものだ。それをまだ学園に通っているような少年が・・・騎士でもない子供が必死になって行い挑み続ける姿を観て、見物していた騎士は驚愕し、そして少年を応援し始める。その応援は声に出すものではなく、心中での祈り似たようなものだった。声を出した応援なんてすれば必死に戦う少年の邪魔にしかならない。なにより純粋に、真っ直ぐに、強敵に挑み続ける少年の戦いをこの場で見物している全ての騎士が見ていたかった。


「・・・そろそろ時間だな、ここまでにしよう。アラン君」


「・・・はい・・・ありがとう・・・ございました」


だが終わりは突然に訪れた、団長の言葉に少年はその場に崩れ落ちる。結局少年は団長に一撃も与えることは無かったが、その戦いを観ていた騎士たちは惜しむことのない拍手を少年に送った。それ程素晴らしい戦いだったのだから。

少年は拍手をされるととてもびっくりしていたが、それが自身に向けられたものであると理解すると照れ笑いしながら会釈し、団長に促されて共に修練場を後にする。恐らく、シャワー室にでも案内するのだろう。

騎士たちの少年に送る拍手は修練場から当人が居なくなっても暫く続いていた。二人の戦いが、少年・・・アランの戦いぶりがそれ程素晴らしいものだったことを知らしめるように。




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