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最弱零鉄の使い手  作者: 綾地才人
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一章 四十二話 特訓の合間のデート

四十二話目です。

今話はデート回となります。何気に今作で初めてのデートがメインの回です。

それでは今話もよろしくお願いいたします。

「アラン早く早く!急がないと公演が始まっちゃうわ!」


「お、おい引っ張るなって!開演までまだ時間はたっぷりあるぞ!ゆっくり行こうぜ」


「ダメよ!早く行って、いい場所を確保しておきたいんだから。アランだってせっかく観るならそのほうがいいでしょ?」


アランとフレアは街に遊びに出ていた。デムジとの『決闘』まであと四日、本当ならアランは特訓を続けていたかったのだが・・・フレアに止められてしまった。もう『決闘』まで時間は少ない、『零鉄』の力には目覚めはしたが、その全てを理解できている訳ではない。だからアランは特訓を続けてデムジに勝てる確証を少しでも掴みたかった。


「・・・なぁフレア、俺はやっぱり戻って特訓を・・・」


「・・・仲直りの時に約束した私の出した条件その一、『一度私とデートすること』。忘れていないでしょ?」


「ぐっ・・・・・」


そう、アランが退院した後フレアに謝罪した時にフレアはアランを許す代わりにいくつかの条件を出してきたのだ。その一つがデートをすることだった訳だ、でもまさか『決闘』の日時が迫っているこのタイミングでデートする事になるとは思わなかった。いったいフレアは何を考えているのだろう?とアランは思ったが、謝罪の時に出された条件を呑んだ以上アランに拒否権はない。


「・・・分かった、今日は特訓を忘れて楽しもう。でも明日からはまた特訓を再開するからな」


「ええ、それでいいわ。じゃあ劇場に急ぎましょ!・・・それと、公演が終わったら服を買いに行くから荷物持ちよろしくね♪」


「・・・・・はい」


その時アランは気がついていなかった。フレアの・・・女性の買い物は、自分の考えている程簡単なものではないということを。




「ねぇねぇアラン、これと・・・こっちだと私にはどっちが似合う?」


フレアが二つの服を手に持ちアランに聞いてくる。


「・・・・・赤い方かな・・・・・」


(迂闊だった・・・フレアの買い物がこんなにかかるなんて予想していなかった。しかも服を選ばされるとは・・・)


アランは現在進行形で苦戦していた。魔熊と戦った時よりもある意味辛い戦いかもしれない。アランは男だ、女性の服なんて見てもよくわからない。どれもこれも色が違うだけに見えてくる、しかもフレアは何回も聞いてくるのだ、どちらが似合うかと。今選んだ服も少し前に似たようなものを選ばされている気がする、そんな状態が二時間以上続いているにも関わらず、フレアが買うことを決めた服は一着もない。もう日も暮れはじめているし、さっさと決めて買ってほしいものだ。


「あ・・・もうこんな時間。外も暗くなってきたし、そろそろ帰りましょう?アラン」


「え?・・・・・服買わないの?」


「??・・・ええ、今日は手持ちが少ないし見るだけよ?」


「あ、はい・・・そうですか・・・」


(えぇ・・・あれだけ時間かけて選んでおいて、一着も買わないのかよ!?やっぱりフレアって・・・女の子ってよくわからねぇ!?)


そんなことを考えていたアランだったが、フレアが帰り道で「今日は楽しかったね♪」と笑顔でいう姿を見て、偶にはこんな日があってもいいかなと思ってしまう単純なアランであった。



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