一章 四十話 閑話 王と娘とハリセン
四十話目です。
カスミの性格についてですが、今話に上手くまとめられなかった為、後書きにて追記しております。
それでは今話もよろしくお願いいたします。
「紹介しよう、彼女は私の娘の一人。カスミ・フォン・ファーネリアだ」
「・・・・・」
衝撃の事実をクライブの頭は飲み込めないでいた。病院で出会った時に孤児院を夫と共に経営していると聞いていた為一般市民だと勝手に思っていたが、まさかアランの母親が王族だったとは夢にも思わなかった。
「その顔・・・やっぱり驚いているみたいですね、ですが私が王族の一人であるのは事実です。一般市民として孤児院を手伝っているのには訳があるのですよ」
(王族の女性が一市民として生活している理由・・・それがなんなのかさっぱり分からないが、国王が緘口令を敷く意味は理解できた。さすがにこれは公にはできないな・・・)
クライブが顔を伏せたままそんなことを考えていると、国王が大きな溜息をしながら話しかけてきた。
「・・・クライブよ、ワシが緘口令を敷くといったのは、別にカスミが一市民として街で生活しとることをお主が知ったからではないぞ?勿論このことは国民には秘匿にしてはいるが、それでも知っている者もかなりおるしな」
「え?・・・そ、それはいったいどういうことでしょうか?」
「私があの孤児院を手伝っているのは、ケイン・・・夫が院長を務めているからです。妻が夫を手伝う、なにもおかしくはないでしょう?」
「何を言っとる!普通は王族が街で暮らすなどありえんわ!いきなり好きな人ができたと言って勝手に結婚し、そのままケインの元に転がりこみおって!あの頃からお前のせいでワシは年中胃痛に悩まさとるんじゃぞ!」
「し、仕方ないじゃないですか!一目見て彼に惚れてしまったんですもの!好きな人の傍にいたいと思うのは女性として当たり前のことでしょう?」
「惚れてしまったんですもの!・・・ではないわ!各国や家臣達に問題にならないよう、上手い説明を考えるのはワシなんじゃぞ!しかも、久しぶりに帰ってきたと思ったら問題を持ち込みおって!」
茫然としているクライブを放置して、父娘の口喧嘩が始まった。二人の喧嘩はそのままエスカレートしていく、完全にクライブは蚊帳の外な状態だった。王族の喧嘩にクライブが割って入るわけにもいかず、喧嘩の成行きを見守っていると・・・宰相が二人の後ろに周り、手に持った白いものを振りかぶった。
スパァァァァァァン!!!
謁見の間に乾いた音が響き渡る、宰相が持っているのは大きなハリセンだった。頭を叩かれた王族の二人が頭を押さえて黙り込む。
「・・・お二人とも、喧嘩は他でやってください。騎士団団長殿が茫然としておりますぞ?」
「さ、宰相・・・ハリセンはやり過ぎだといつもいっておるだろう」
「痛ったた・・・宰相さん、一応私たち王族ですよ?もう少し加減してください」
「私自身王族を叩くなどしたくはないですが、しなければ話が進まないでしょう?早く話を進めてください。じゃないともう一発お見舞いしますよ」
「「・・・はい」」
宰相の言葉に二人が肩を落として返事をした。王族を宰相が窘めている中、クライブは未だに茫然としている。
「・・・騎士団団長すまない、家族の内輪揉めで恥ずかしいところを見せたな」
「え?・・・あっはい!」
国王の言葉にクライブは我に返った、改めてクライブは顔を真剣な表情へと戻す。
「・・・話を戻そう。貴殿を招集した理由はカスミの息子アランと、そのアランが戦った魔物の件についてだ」
カスミの性格
普段は落ち着いた大人の女性。
ただ、家族などの信頼のおける人に対しては子供っぽい振る舞いもする時もある。
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