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最弱零鉄の使い手  作者: 綾地才人
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一章 三十七話 手にした力

三十七話目です。

時間がゆっくりと取れた為、今話はいつもより少し長めです。

それでは今話もよろしくお願いいたします。

「なんだこの光景は・・・これが、あの『零鉄』の本当の力なのか?」


クライブの目の前で、自身の考えを遥かに凌駕した力が振るわれている。そこには片膝をつき息を切らすフレアと蒼い炎を身に纏い、背中から大きな炎の片翼を靡かせて立つアランがいた。



アランとフレア、二人の戦いが始まった直後はフレアが炎魔法で圧倒し、アランは躱すことしかできていなかった。そんな様子を見てクライブは、アランが魔熊を倒したという話を疑い始めたのだが、戦いが長引くにつれ、その疑いも消えていった。攻撃を躱し続けていたアランが、手に持つ黒刀で炎を()()()()()のだ。炎は本来物体ではない為、刀等の武器で斬るなんてことは絶対にできない。しかしアランの黒刀はそれを見事にやってのけてみせた、斬られた炎はそのまま黒刀に取り込まれるように消えていく。始めのうちは威力が弱い火玉(スフィアフレイム)等を使っていたフレアだが、アランが炎を斬り始めた辺りから威力の高い魔法へと切り替え始めた。

その魔法すら変わらずに斬って消し去っていくアランの黒刀を見て、クライブは目を疑った。

あの『零鉄』が、少しの衝撃で壊れるはずのあの『零鉄』があれだけの威力の魔法を何回も受けて、傷一つ見当たらない。それどころかフレアの炎を斬る度に、黒かった刀身の色が徐々に変化し、赤白くなっていく。


「ハァ・・・ハァ・・・」


息を整えるように呼吸する音が聞こえる、その声の主はアランではなく、フレアのものだった。対するアランの呼吸は何もなかったかのように安定している。フレアの炎を斬りながら縦横無尽に動き続けていたはずなのに、息を切らしているのはアランではなく、ほぼ動かずに攻撃していたフレアの方だ。


「フレア、まだいけるか?」


アランがフレアに声を掛けると、フレアは息を切らしながらそれに答える。


「ええ・・・まだまだこれからよ!・・・それに、私の感だと今のアランには更に上があるんじゃない?・・・それこそ魔熊を倒した何かとてつもない力が・・・私に見せてよ、アランが手に入れた力を!」


「ああ、見せてやるよ・・・これが魔熊を倒した力・・・俺の、『零鉄』の本当の力、その一部だ」


アランは手に持つ黒刀を正眼に構えて言葉を紡ぐ。


「・・・炎魔 装着(インストール)


赤白く変色した黒刀から蒼炎が吹き出しアランを包み込む。蒼炎は徐々にその形を変化させ鎧を形成し、背中から炎の片翼が現れる。その姿を見てフレアは目を見開き、クライブ達は茫然とする。魔法が使えないと思っていた『零鉄』のアランが桁違いの魔力を纏い完全に制御している。


「なんだこの光景は・・・これが、あの『零鉄』の本当の力なのか?」


クライブの口から零れた言葉に反論する者はいない、この場にいる誰もが今のアランに釘付けになっていてその言葉は聞こえていない。いつの間にか病室の窓からこちらを覗き込んでいた患者や医者達までもがアランを見て言葉失っていた。


「団長さん・・・」


未だに茫然としているクライブにアランが声を掛ける。


「今の状態でこの場所で力を使えば、周囲に被害を出してしまうかもしれません。ここまでにしてはくれませんか?・・・魔熊を倒したことは十分証明はできたと俺は思っているんですが・・・」


「あ、ああ・・・確かにその力なら魔熊を倒したのも納得だ。君の言葉を信じよう」


クライブのその言葉を聞くとアランは刀から手を放し、炎の鎧を解除する。

こうしてアランの力を確認する戦いは幕を閉じた。





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