一章 三十六話 話の続きとその証明
三十六話目です。
大変お待たせしました!無事に帰宅できたので投稿を再開します。引き続き本作をお楽しみください。
それでは今話もよろしくお願いいたします。
魔熊と対峙した後の話をアランは話していく。
魔熊がとてつもない威力の炎弾を無数に作り出し攻撃してきたこと、最初のうちは躱すことで精一杯だったこと、そして戦いの最中に『零鉄』の本来の力に気づき、魔熊を倒せたことをアランは順を追って話した。
アランの話を聞き終えた五人の反応は芳しくないものだった、無理もない。『零鉄』は脆く、魔法を全く使用できないものだというのは基本中の基本、誰もが知っている常識だ。なにより今のアランの話が本当だと証明できるものは何一つありはしない。今の話を誰かにしても、『零鉄』のアランが魔物を倒したなんて信じてもらえないのは目に見えている。
「正直に言おう。・・・私は『零鉄』の力で魔熊が倒せたという君の言葉を鵜呑みにはできない、ありえないと思っている」
クライブがそう話すとシルヴィアも同意見とばかりに大きく頷いた。フレアとアランの両親は目立った反応は見せなかったが根本的な考えは同じなようで、黙っていた。
「しかし話をしている時の君の瞳には曇りはなかった。君が嘘を言っていないと信じたい私が、心中にいるのも確かだ。・・・君の話が本当だと、証明できる何かがあるのなら見せてほしい」
「――俺一人では証明は出来ませんが、他の人の協力があればすぐにでも証明は出来ると思います。なにせ、『零鉄』は魔法を受けなければ皆さんの知っている通りの性質のままなので、誰かに魔法を使ってもらう必要があります」
「じゃあ私が協力するわ。アランが戦った魔物・・・魔熊と同じ炎魔法を使えるから丁度いいでしょ?」
「・・・頼む、フレア」
「では病院の中庭を使わせて貰おう、病室では流石に炎魔法は使えないからね。シルヴィア、病院側に中庭の使用許可を取ってきてくれ。何かあった時の責任は私が負う」
◇
アラン達は中庭へとやって来ていた。庭といっても木なんかは植えられてはおらず、広い空間があるだけの場所だ。ここなら火はもちろん、他の属性魔法を使っても問題なさそうだ。
アランとフレアの二人は少し離れて向き合い、それぞれ鉱石武具である黒刀と赤いレイピアを自身の刻印石より作り出し構える。
「アラン君、怪我は完治したとのことだが、病み上がりであることに違いはないんだ。決して無理はしないように。フレアちゃんはアラン君の話を再現する為、炎魔法での攻撃を頼む」
「「はい!」」
「では二人とも、準備が出来次第いつでも始めてくれ」
「いくわよ!アラン!火玉!」
フレアがまずは小手調べと言わんばかりに弱めの炎魔法で攻撃を開始した。
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