一章 三十五話 アランが語る真実 その2
三十五話目です。
アランの回想?はもう少し続きます。さて、以前にも予告しましたが、今週末から暫く家をあけなければならない為、投稿が止まります。楽しみして頂いている皆様には申し訳ありませんが、お待ちいただけますようお願いいたします。なるべく早く投稿を再開できるようにします。
それでは今話もよろしくお願いいたします。
アランの話から魔物が特殊個体だと知ったクライブは険しい顔をして黙り込んでしまった。そんな兄を見て隣にいるシルヴィアは悲しそうに俯く。
そんな二人の仕草からアランは悟った。この二人は特殊個体に対して何か辛い経験があるのだと。詳しいことは全く分からないが、もし自分と同じように特殊個体と相対し、戦闘になったのだとすれば、その時の恐怖は言葉にできないものだと言う事は戦ったアラン自身もよく理解している。
昔のアランなら今の二人をみたら、心配して声を掛けていただろう。だが・・・
「特殊個体が使ってきたのは強力な炎魔法でした。奴は炎を身体に纏い、その巨腕を振るって攻撃をしてきたんです。」
アランは二人に声を掛けることなく話を続ける、クライブの顔は険しいままだ。クライブ、シルヴィア、二人が何を考えていようとも、アランにそれをどうにかすることなんて出来はしない。いくら慰めの言葉を掛けようと、励ましの言葉を掛けようと、結局は二人が自身の中で気持ちを整理して向き合うしかない。今ここで彼らに中途半端な言葉を掛けてもなんの意味もないし、かえってそれが逆効果になるかもしれないことを『零鉄』と蔑まれてきたアランはよく知っている。だからアランは話を続ける、今の二人が知りたい、教えてくれと聞いてきたあの森での出来事を。
「巨腕の攻撃は一撃一撃が強力かつ広範囲なものでした。一回の攻撃で数本の木がなぎ倒されるのではなく、切り倒されていきました。これは俺の予想ですが腕に纏った炎を操作して刃のようにしていたんだと思います、その攻撃を俺は森の木々に隠れながら躱していました」
「・・・だがそれではいずれ隠れる場所はなくなってしまう」
「ええ・・・団長さんの言うとおり、最終的には隠れる場所はなくなってしまいました。隠れる場所を失った俺が生き残るにはもう、戦うしかなかったんです」
「その時の戦いで腹に大怪我を負ったんだね?」
「いえ、この怪我は奴が魔法を使う前、突進してきたのを躱したときに負ったものです。直撃は何とか避けましたが、突進で発生した暴風をもろに受けて負ったものです」
「つまり、特殊個体と戦う前にはもうその怪我をしていたってことか・・・よくそんな体で動けたものだな・・・」
クライブは心底驚いていたが、アランは「死ぬほど痛かったけど、何とか動けました」と苦笑していた。
「俺と対峙した魔熊は周囲を巨大な炎の壁で覆ってきました。・・・俺を逃がさない為にだとおもいます。」
アランの話は更に続く。
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