一章 三十話 目を覚ました所は・・・
三十話目です。
来週辺りでまた出張で家を空けることになりそうです。その為投稿が遅れる可能性がありますのでご了承ください。
それでは今話もよろしくお願いいたします。
アランが目を開けると、ベットに寝かされていた。清潔感のある室内に消毒液の匂いが少しするところをみると、ここは病室のようだ。
(俺は確か・・・魔熊と戦った後、森で意識を失って・・・ベットで寝ていたってことは多分その後誰かに病院まで運ばれたみたいだな)
眠気が覚めるのと比例して、今現在の自分の置かれた状況が飲み込めてきたアランは体を動かしながら思考を続ける。
(手足は問題なく動くな・・・腹部も痛みはないし、やはりあの場所で怪我は完治したってことか・・・)
「・・・ん?・・・あの場所?・・・あの場所って何処だ?」
アランは自身の思考に違和感を覚えた、でもそれが何故なのかは分からない。
『あの場所』で怪我が治ったという結果は思い出せるのに、『あの場所』が何処なのか、そしてどういう過程を経て怪我が治ったのかが頭の中から出てこない。『あの場所』に関しての記憶だけ靄が掛かっているように全く思い出せない。でも感じた違和感はほんのわずかだ、そのままにしておけばいずれ忘れて消えてしまうだろう。
だが、アランは『その場所』をこのまま忘れてはいけない気がした、何故かは分からないが直感がそう告げていた。
アランはベットに寝たまま辺りを物色しペンを見つけると、自分の手のひらに『あの場所』と書いた。本当は紙とかがあればそれに書きたかったのだが寝たままの姿勢では見当たらなかった為、仕方がない。
(とりあえず起きて紙を探すか、病室なんだし探せば紙くらいあるだろ)
アランは自身の体の調子を確かめるようにゆっくりと体を起こし始める。痛みは感じない、やはりもう魔熊との戦いで負った怪我は大丈夫そうだ。
アランがベットから体を起こすと、すぐ横に人の気配を感じた。
その正体はベットの横で椅子に腰かけて眠るフレアだった。
椅子の背にもたれかかってすうすうと寝息を掻きながら眠るその顔には涙の跡が残っていた。きっとアランを心配して泣いた後なのだろう。
(フレアには迷惑かけちゃったな・・・)
フレアを起こさないように注意しながらベットを降りて紙を探すと、ベットの横の引き出しに紙を見つけた。その紙に手のひらと同じく『あの場所』と書きズボンのポケットにしまう。
(起きたらちゃんと謝らないとな、怪我して心配かけたことも・・・森で酷いこと言ったことも)
そんなことを考えながらアランはフレアに近づき、その頭を優しく撫でた。
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