一章 二十五話 容体把握
二十五話目です。
何だかアランが危険な状態ですが何とかなるでしょう。・・・一応主人公ですし。
それと累計PVが1000を超えました。読者様のおかげです、ありがとうございます。
それでは今話もよろしくお願いいたします。
「兄様!!!」
シルヴィアが馬を飛び降りて倒れたクライブの元へ駆け寄る。意識はないが、命に別条はなさそうだ。
「泡沫冷装がまだ・・・兄様、流石です・・・」
気を失って尚、クライブは泡沫冷装を纏っていた。それだけ背負っている少年を助けたかったのだろう。そんな兄を見てシルヴィアは優しく微笑みながら頭を撫でる。
「お疲れ様でした、兄様・・・後は私にお任せください」
シルヴィアが暫く兄を撫で続けていると、泡沫冷装が徐々に消えていく。
「・・・シルヴィア殿、団長と少年の具合を診てもよろしいですか?」
シルヴィアの後ろから、一人の騎士が声をかける。シルヴィアと共に馬で駆け寄ってきた男だ。
「・・・頼みます。ハンス医師」
「お任せを!」
ハンスと呼ばれた男はクライブとアランの横にしゃがみ込むと、自身の左足とクライブの体を自分の両手で触り、鉱石武具を呼び出した。左足が緑に光輝く。
ハンスの鉱石武具はエメラルドのグリーブだった。そのグリーブを使ってハンスが鉱石魔法を使い始める。
「・・・翡翠の初療域」
地面に現れた新緑の結界がハンスと二人を覆う。
翡翠の初療域、この魔法は一人一回までしか効果がない。
そのかわりにこの魔法は使った相手の病気や怪我などの症状を大まかに確認することができる。
確認するだけの魔法のため一切の治療はこの魔法では行えないが、患者の症状が詳しくわかることでその後のスムーズな治療を行うことができる。
ハンスの使う翡翠の初療域はとても強力で、患者の症状をほぼ完璧に確認できる為、ファーネリア騎士団では重宝されていた。
「こっ・・・これは!!!」
「ハンス医師?どうかしましたか?」
「いますぐ二人を馬に乗せてください!街へ帰還します!」
ハンスが血相を変えて話し出す。
「いったいどうしたんですか?見る限り二人とも重度の怪我ではないようにみえますが・・・」
「馬鹿いっちゃいけません!団長は長時間の魔法の酷使で疲労が溜まっているだけですが、この少年は危険な状態だ!」
「なッ!!!」
「胃と肝臓は破裂、肋骨が数本折れて一本が肺を貫通、おまけに内出血で他の臓器も危険な状態だ!一刻も早く街で処置をしなければ命はない!」
「了解した!なら少年は私の馬に乗せろ!この中では私の馬が一番早い!」
「私も馬で並走しながら少しでも治療します!」
「頼む!!!」
アランを馬に乗せると、シルヴィアは街に向け全速力で駆けだす。
シルヴィアが街に帰還したのは日が昇り始めた頃だった。
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