一章 二十四話 アラン発見!
二十四話目です。
アラン捜索編もあと一話くらいで終了となります。
それでは今話もよろしくお願いいたします。
「先程の場所からかなり離れたな・・・」
クライブは蒼炎によって出来た道を進んでいた、始めのうちは再び蒼炎が急に出てくるのではと道の端を警戒しながら進んでいたが、魔力酷使による疲労がピークに達してしまい、現在は体力温存も兼ねて道の真ん中を進んでいた。
暫く道なりに進んでいくと、森が開けて月明かりが差し込んでいる場所が見えてきた。
「ん?また森が開けているな・・・っ!!あ、あれは!!」
森が開けた場所の中心近くに誰かが倒れている。よくよく見れば、蒼炎によって出来た道はその人物の場所で終わっていた。クライブは倒れている人物に駆け寄る。
「おい、しっかりしろ!!大丈夫か!!」
倒れていた人物はほぼ裸の少年だった。黒い髪に黒い瞳、胸には黒い刻印石が確認できる。間違いない、この人物はクライブが救助にきたアラン・ホークだ。
「アラン・ホーク君!!しっかりするんだ!!助けに来たぞ!!」
「・・・・・うぅ」
アランが小さくうめき声を出した。生きているようだ。
クライブは救助者が生きていたことに歓喜しながら、アランの容態の確認を始める。
(酷い・・・右腹部が何かの衝撃でぐしゃぐしゃだ。この様子だと肋骨も数本逝っているな・・・)
アランの腹部は赤黒く変色している。急いで病院に運び、治療を受けさせないと命が危ない。
クライブは懐から長い紐と、小さな筒を取り出して自身とアランを紐で縛り固定する。
「痛いかもしれないが我慢してくれ・・・今すぐに病院に連れていってやるからな!」
アランを背に固定し立ち上がると、クライブは先に出しておいた筒に火を付け空へ掲げる。
ピューーーーパァン!!
音と共に黄色い煙が空に伸びていく。クライブが使ったのは騎士煙筒と呼ばれるもので、騎士が遠く離れた騎士団員に現在の状況を知らせるときに使用するものだ。いくつかの色の煙筒があり、黄色は『捜索対象確認』の意味がある。
(これで離れた場所にいるシルヴィアにも伝わるだろう・・・)
アランを背負ってクライブは来た道を戻り始めた。
◇
クライブは多くの遺体を見つけた場所まで戻ってきていた。未だに周囲は炎に包まれている為、泡沫冷装は継続中だが、既に限界は越えている。今は気力で持ち堪えている状態だ。
急いでアランを病院まで連れていきたいが、もうその体力すらない。
(くそぉ!・・・せっかくアラン君を見つけてここまで戻って来たのに・・・)
クライブの視界が霞んでいく中、何かがこちらに近づいてくるのが見えた。
(・・・あれは?)
近づいてくるのは馬に乗った複数の人物のようだ、先頭を走って向かってくる少女の声が聞こえてくる。
「兄様ぁ~~~!!」
どうやら声の主はシルヴィアのようだ。
「シル・・・ヴィア・・・アラン君を・・・頼む・・・」
クライブはこれでアランを助けられると安堵しながら意識を手放した。
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