一章 二十話 少女からの捜索届
二十話目です。新キャラ登場です。
ついに本作も二十話となります。これからもマイペースになりますが、頑張りますのでよろしくお願いいたします。
それでは今話もよろしくお願いいたします。
夜中のファーネリア王国、その街道をファーネリア王国騎士団数名が重武装で馬に乗って駆けていた。市民の捜索願が騎士団に届出られたためだ。
夕暮れの少し前に一人の少女が、共にシレミの森に入った少年が戻って来ないと助けを求めてきたのだ。
事情を少女に確認すると、二人は森の中で特訓中に喧嘩になり、少年は森の奥に入って行ってしまったらしい。辺りが暗くなるまで少女は少年を探したが見つからなかったため、騎士団に助けを求めてきたようだ。
シレミの森は奥までいかなければ比較的安全な場所だが、森奥には魔物が相当数いるとされているため危険度は大幅に上昇する。少女の話によれば少年と喧嘩別れをしてから既に5時間以上が経過してしまっている。
魔物は夜に活発的に行動するため急いで助けなければ少年が危険だ。
しかし騎士団は早急には動けなかった。
今の時間からシレミの森に救助に向かっても、到着するのは夜になってしまう。
魔物が活発に動き始める状況で救助に向かえば騎士団員にも危険が及ぶ可能性がある。そのため騎士団内ですぐに救助にいくか、夜明けまで待つかで議論になってしまったのだ。団員だって命は惜しい、救助に反対の声が出るのも当然のことだった。
最終的にすぐに救助に向かうと決定したが、その時には辺りは暗くなってきてしまっていた。
「・・・急げシルヴィア!!早くせねば少年が危険なのだ!!」
「はいっ!!兄様!!」
「仕事中は団長と呼べ!」
「すみません!!団長!!」
銀髪の男女がそんな会話をしながら馬を全力疾走させている。二人の後ろには少し遅れて三人の団員が続いている。
「だ、団長!シルヴィア殿!先行しすぎですよ!いくら何でも急ぎすぎです!」
「急ぎもするに決まっているだろ!我々がくだらない議論で時間を食っている間にも少年が魔物と鉢合わせているかもしれんのだ!」
団員の言葉に答えながら、団長と呼ばれる長身の美男子は馬のスピードを落とさずに言葉を続ける。
「お前たち三人はこのままのペースでついてこい!私とシルヴィアは先に行く!」
「ちょっ!・・・団長!!シルヴィア殿!!」
そう三人の騎士に言うと銀髪の男女はペースさらにを上げて駆けていく。
(・・・私がもっと早く騎士団詰所に戻っていれば救助に向かうのにこんな時間までかからなかったのだ!)
団長の顔が悔しさで歪む。
少女が助けを詰所に求めてきたとき、団長は詰所を留守にしていたのだ。
詰所に帰って来たときに誰が救助にいくのか、夜明けを待ったほうが良いのではないかというくだらない議論で動けずにいた騎士団を見て団長は激怒した。人一人の命が掛かっている中で、すぐに救助に行かないのは騎士の名折れだと団員に言い聞かせた。
それから団長の判断ですぐさま救助に向かうことを決定、団長自ら救助に向かったのだ。
(必ず少年は助け出す!このファーネリア王国騎士団団長、クライブ・シュバルツの命に代えても!)
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