多摩力、お借りします!
『あらすじ』の注意に目を通してからお読みください。
―序―
柴崎栄は神智学の研究者だった。多摩市を中心として多摩地域全域に枝分かれしながら伸びる“気力の河“の末端にあるものを調査し記録していた。柴崎の神智学は科学的に解析されている物質のほかに、神のように極めて抽象的で実体のない上位の概念から与えられている領域が存在するという考えを前提としている。つまり世界には説明できるものとできないものとがあるということで、前者を物質界、後者を神智界と呼ぶ。医学で原因不明とされた体調不良は人体に纏わる神智界に原因があるとすれば、神智学を極めることでそれを治療することが可能になる。オカルティックな分野で現在では観測不可能であることから多くの人から白い目で見られる柴崎だが、あらゆる多摩の名所を訪れて記録―写真を撮ることを含む―しているから、多摩地域に密着した雑誌の一部分を任されている。彼は多摩愛に溢れ、その雑誌が多くの人の手に渡ることを喜んでいたし、地域の外の人にも多摩のことを知ってほしいという上位の欲求が出てきた。どうしてこの場所に名所があるのか、ということを調べる考古学や歴史学的な立場に立つこともあるが、その二分野にも神智学が絡んでいる。たとえば聖武天皇が天然痘の流行や飢饉などの難を退けんと仏教に帰依したのは、教えに沿う=上位の存在との対話を試みるという神智学的な解釈ができる。神智学の発展はあらゆる他分野に貢献する可能性があるのだ。
仕事が軌道に乗ってきて生活が安定した柴崎は気力の河の末端にある名所に共通することを探ろうと、撮った写真をパソコンに取り込んで並べていた。彼が撮影した画像をまとめて雑誌の担当者に送って以降、彼の動向を知る者はいない。記事の納期に間に合っていないことで彼に連絡を送った担当者は異変に気付くと彼の家に急ぎ、管理会社を通して部屋を見た。一見すると外出しているような内装だったが、きつい臭いに誘われて見た机の上に置かれた汁の残った缶詰とその上の割り箸が彼の異常を示していた。捜索が始まり、報道もされた。しかし一週間が経過しても、彼は見つからなかった。仕事が嫌になって自殺を試みたという憶測が飛び交い、雑誌の売り上げが落ち込んだ。後任を立てて回復を図ろうにも、彼ほど多摩愛に溢れた人はいなかった。そこで編集部は彼が没頭していた神智学に足を踏み入れた。すると、一つの仮説が生まれた。
『彼は、神に触れたのだ』
―第一章 多摩復興篇 第一話―
柴崎は壊滅的な状況の中で足掻く人の営みを見て嘆いた。
「これが多摩…?」
空は曇り、多くの建物が崩壊し、道路は横たわる電柱や逆さになった自動車で塞がれている。まるで大きな災害があったかのようだ。柴崎は立川駅前の大型家電量販店に入ってテレビを見ようと思ったが、一部の電気が通っていないようで、番組を移しているのは20型の小さなテレビだけだった。そこから得た情報は、大地震と大型台風が同時期に発生したとのこと。災害に強い立川がこのような壊滅的な状況に陥っているということは、他の地域はもはや助かっていないのだろう。多摩愛に溢れる男はこのとき、この地域の復興に尽力すると決めた。
自宅は大荒れだったが、輪郭は屋根上で支え合う鉄骨によって守護されていた。割れた窓を箒で掃き、壊れた家電を壁際に移し、充電の切れたノートパソコンを充電した。奇跡的にこの家は通電している。インターネットは使えなかった。時間は元居た世界と変わらない。世界線を移動したのだと柴崎は断定していた。これこそ神智学的だ、という喜びは、壊滅した多摩の痛みによって打ち消された。
正午を迎えたので昼食を買いに行こうとした。柴崎は会社の近くにある菓子処が作っている特製いなり寿司を好んでいたので今日もそれを食べようと思ったのだが、菓子処の看板娘はいなかった。
「おや」
「よぉ、初めてか」
「ここは菓子屋じゃないんですか」
「こんな状況で呑気に菓子なんて作れねぇだろ。武器屋だよ。丁度いい店舗だから借りたんだ。菓子屋の行方は知らん。お前、余所者か?」
「いや、立川生まれ立川育ちです。ただ、大災害の時はいなかった」
「そうか…いいか、こんな状況で自宅を自分だけのものだと思うなよ。家を失った奴が生きてる家にわんさか訪れる。鍵が開いてなくても侵入経路さえあれば入り込んで根城にしてくる」
柴崎が気になったのはどうして武器を売るのかということだ。ここは日本だし、殊に平和な多摩である。武器が必要になるほどの敵がいるのだろうか。そのことを尋ねると、店員の男が頷いた。
「得体の知れねぇでかいバケモンがうろついてやがる。ここみてぇな駅前とか人が集まってる場所は狙われにくいが、外れるとダメだ。幸町団地のあたりは奴らの巣になったと聞いた。ああ、人が集まってるから団地なんだが、地震の被害が大きくてな。連なる建物がドミノのように倒れて暗い空間をつくってる。奴らは暗い場所も好みだから、今日みてぇに天気の悪い日はこの辺りにいるべきだ」
「その武器でバケモンを倒せますか」
「わからん。なにせ俺らは扱いに長けてるわけじゃねぇ。ゴツい男じゃなければ反動で腕を痛めるぜ。お前は…大丈夫そうだな。買ってくか?」
柴崎は値札を見て首を横に振った。
「僕は食べ物を買いに来たんです」
「そうか…ここの冷蔵庫が生きてたからある程度の備蓄があったが、他はそうはいかんだろう。曙町交差点のコンビニはダメだった。辛うじて温い廃棄にありつけたが、もう残ってない。俺が高校の頃よく通ったキホーテもダメだ。こんな状況でも酒に酔える奴のための店になってる」
曙町の店は既に多くの人が殺到して食料を得た後だという。アルコール9%のチューハイしか残っていないが、それも近いうちに尽きるだろうということだ。しかし栄町より北はバケモノの巣が乱立していて危険だという。ここで柴崎は神智を使うことにした。気力の河から自分の神智界に力を取り込み、防御結界のようにして利用する。あるいは神智界の形状を変化させて、針を纏ったようになる。この術に成功すれば、壊滅した栄町以北を取り戻せる。そして気力の河の終端の名所を解放し、さらなる力を得られる。
「武器は買わないのか?」
「お金がないんです。『レポートたま』って知ってますか?」
「それって…多摩市の地域新聞だろ?それのライターだってのか?」
「いや、レポートたまは多摩地域全域にある雑誌なんですが…なるほど、早い話が、僕は別の多摩地域から来たようです。おそらくはこの状況を解決するために。さっき買わないと言いましたが、鉄パイプくらいでも役に立つかもしれません」
すると店員は黒い模造刀を棚から取って柴崎に差し出した。
「プロモだ。持ってけ」
「プロモ…僕がこれを使ってバケモノを倒すってことですか?」
「そういうことだ。俺は武蔵村山の出身なんだ。あの辺には仲間が多い。安否を確認するためにも、お客、あんたには頑張ってほしい。支払いは倒したバケモノの肉だな!」
冗談を言って模造刀の手入れグッズまで渡した店員は柴崎が希望の光になることを信じていた。柴崎は店を出ると高松駅に向かい、モノレールに沿って北上した。立飛駅前のショッピングモールには多くの人が集まっていて、不安そうな顔をしている。さらに北上すると、玉川上水駅で止まっている列車を見つけた。電気の通っていない改札を抜けてプラットフォームに移動すると、列車のドアが一つだけ開いていた。物音がしたので警戒しながら近づくと、窓越しに人の顔が見えた。
「女の子…?」
柴崎は一人でいることが危険だと思って少女を駅前に連れて行こうと思い立った。少女は迫る男に怯え、身なりの良さを訝しんだ。
「もうきれいな水なんて出ないのに…」
「最近ここに来た。君は一人?」
少女は頷き、柴崎の持つ刀を指差した。彼女は汗染みがついた白いシャツを纏っているが、血色はよい。ある程度の備蓄が奥に見える。
「大きな怪獣に追われてみんな逃げた。私は両親と医療センターに向かう途中ではぐれ、怪獣がそっちに向かったのを見て駅に逃げ込んだ。他にも数人がここに来たけど、人が多い立川駅を目指してレールを歩いて行った」
「君は移動しないの?」
「資源が枯渇するかと思ってここにいる。レールの上なら怪獣が来ないし、今は怪獣が北に戻ったから地上に降りて店を漁れる」
賢い少女だと柴崎は感心した。しかしここもいずれ資源を尽かして生存者に移動を強いる。やはり北を解放して資源を取り戻すことが急務だと判断した柴崎はここを拠点として以北の討伐を開始した。
「君が下に降りるのは危険だ。だから僕が下りる。医療センターの状況は見た?」
「うん、多くの人がやっぱり南下してた。災害用の非常食は全部なくなってたし、きれいな水も出なくなってた。あそこに住み続けるのは得策じゃない」
「そっか。じゃあ周りのスーパーの食料も枯渇したかな。人が避難する間もなく占拠された場所にしか物資が残ってないとしたら、僕がやるしかない」
柴崎はするべきことに順序をつけて計画を組み立てた。レールを歩いて桜街道駅に行き人の状況を見る。いたらさらに北上し、いなかったら怪獣を狩りながら資源を集める。ついでに拠点となる列車を充実させられるものを探せば、寝るときに満足できるだろう。
レールから見下ろす街は痛ましく、何度も自分が訪れて素敵だと思った場所はすっかり頽廃してしまっている。嘆きが脚を遅らせるが、はっきりとした使命を持つ限りはそれを果たさねばならない。ここで頑張ることが、愛する多摩を取り戻すために必要な事だ。桜街道駅を出ると、横転しているトラックから缶詰が零れているのが見えた。これは貴重な保存食だと喜んでいると、それが罠だということがわかった。鋭い爪で缶に穴をあけて中の汁を啜っているのは、四肢と背の突起が特徴的な爬虫類だ。こちらに鋭い目を向けると、涎を垂らして近づいてきた。迷わず刀を抜いた柴崎だが、自分と同じくらいの体長の獣を前に震えが出た。刀が持ち主を護るのではなく、持ち主が刀を使って自分を護るのだから、心得がない人が振っても大した脅威にはならない。ただ、奇跡的に致命傷を与える可能性がある。柴崎は先手を取って突き出た獣の口を封じるように刀を突き刺した。ズチャ、と奇妙な音がした。思わず手を離して尻餅をついた柴崎が見たのは、獣の鼻と口を刀が貫いている光景。鋭い目からは正気が失われ、四肢は力なく垂れている。柴崎は刀を抜き、缶詰を拾い上げた。水を加えて熱するタイプのパスタ缶だ。柴崎は少女から借りたスポーツショップの袋にありったけを詰めて周りを見た。
「こいつが跋扈してるのか…?」
ワニのような生物なら高い場所は苦手だろうと思い、高層マンションの扉をよじ登って入口のデバイスに部屋番号を入力した。訪問者が部屋主と話すためのものだ。虱潰しに入力して応答を期したが、どこからも返事がなかった。そこで柴崎はレセプションがうっかり手の届く場所に置いていた鍵を使ってガラス戸を開錠し、エントランスに侵入した。
「よし…」
一階の部屋から探ると、鍵のかかっていない部屋を見つけた。恐る恐る開けて中を見ると、家具だけが残って貴重品や食料はすべて持ち去られていた。ここの居住者はきっと安全で資源が潤沢な場所を求めて移動したのだろう。寝床としては申し分ないが資源に乏しいのが残念だ。人の息の聞こえないこの場所なら資源が転がっているだろうと思った柴崎は少女をここに移動させることを発想した。部屋数が多いから、この先街中で発見し救護した人を収容するには適している。柴崎はエレベーターが一つだけ動いていることを確認し、最上階の鍵のかかっていない部屋を探した。すべての部屋の通電状況を確認し、最適な場所を新たな拠点に選んで缶詰を半分置いた。
「発電所と送電設備はまだ生きてるってことだよな…地震で建物内部の線が逝ったか。ガスは…ダメだな。漏れを気にした方がいい」
柴崎はガス漏れの警報器の電池がまだ切れていないことに気付き、この場所はガスについても安全だとした。駅から3分くらいの高級マンションの場所を記憶した彼は一旦玉川上水駅の少女のもとへ戻り、移動を提案した。
「両親のことが気になるから南に行きたい。そこまで連れて行ってくれるだけでいい」
「言った通り資源が枯渇しかけてる。反撃に転じて陣地を取り戻さない限り、あそこは滅びるだけだ。人が流入すればそのぶん減りが早くなるから、歓迎されないと思う」
現実的なことを言って両親の捜索を諦めてもらうと、少女は会えない寂しさから涙を浮かべて布団に包まった。
「私もうダメかもしれない…こんな世界で生きていける気がしないよ。今までずっと両親を頼ってばかりで、一人では何もしてこなかった」
三十歳の誕生日を控える柴崎は中学生の娘を持つ先輩ライターの話をよく聞いていた。可愛さが余って何もかもおぜん立てをしたくなるが、それでは自分で問題を見つけて解決する力が育たない…そんな話をつい最近聞いたばかりだ。だから彼の考えを踏まえた意見を述べた。
「それでも何もできないわけじゃないと思う。ご両親が何かをしている姿を見て学ぶことは多いし、能力の一部は遺伝してて慣れない事でもまるで慣れているかのようにできるもんだ。このままでは一人で生きていけないという問題を発見したのが一つの君の能力だ。あとは周囲を利用して目的を果たすだけさ。周りにはものがいっぱいある。僕もいる…ほら、缶詰だ。本来は水で割って食べるものだけど、濃い分には問題ない。むしろ食べすぎないようにするべきだ」
柴崎はポケットに入っていた十徳ナイフの缶切りを使って缶詰を開け、少女に差し出した。少女は口を切らないように気を付けながらスープを飲み、指でパスタを掬って食べた。
「濃いね…」
「言ったろ。薄めるんだ。水を濾過する道具は作れるし、ホームセンターに行けば置いてある。ニコリの看板がレールから見えたから、そう遠くはない。明らかにあっちのほうが安全で資源も豊かだ。慣れない環境に行くのが嫌な気持ちも理解できるけど、こんな状況だし僕と一緒に来てくれないかな」
緊急事態では人々に共通する良識が行動規範となる。それを信じるに足る相手かどうかを見極める能力が必要だが、多摩は世界屈指の治安の良さで知られている。柴崎が信頼性の担保のために雑誌の仕事をしていたことを伝えると、東大和市生まれ東大和市育ちと生粋の多摩っ子である少女は柴崎を信頼した。
「私は立野桜。二中に通ってる」
「南街のほうか。バスで行ったことがある」
「柴崎さんはどの辺の人?」
「僕は名前が示す通り立川市柴崎町。柴崎体育館から徒歩5分。高校は立高」
「バスだと遠いでしょ」
少女は親しげな態度をとって柴崎に質問を浴びせた。多摩のことが好きで仕事をしている人がここで悪いことをするとは思わない桜は柴崎の後に続いて桜街道駅に移動し、彼の護衛を受けながらマンションに入った。
「必ず鍵をかけてね…どう、地震でも崩れてないし、エレベーターも一個だけ生きてる。街を見下ろすこともできるし、最高の場所じゃない?」
「そうだね。部屋は見て回ったの?」
「うん。戻ってくることを期して鍵をかけてる部屋もある。そこはそのままにしておこうと思う。かかってない部屋は家具しかなかった。よさげなものがあったらこっちに移そう」
「そんな盗みみたいなこと…」
「こんな状況だから、もはや法律は機能しない。もし盗まれたと思うなら報復をするだけだ。そういう世界になってしまった以上、僕らは僕らの生存のためにあらゆる手段を尽くす。さて…」
柴崎はソファに残りの缶詰とコンパクトにまとめた桜の荷物を下ろすと、キッチンの戸棚を探した。するとコンロの下の収納に天然水のペットボトルの備蓄を見つけた。
「これは素晴らしい。早速スープを割ろう」
大きめのボウルに缶の残りをあけてペットボトルの水を空き缶に注ぐ。すると1対1のスープができる。
「とりあえず飢えを凌ぐことはできた。あとは…服だな。ここに残ってるのは…男女大人と幼児向けか。季節ものは持って行ってる。クローゼットの冬服だけか」
今は春なので冬向けの厚手の服しか残っていない。大人の男性である柴崎にはぴったりの服がいくつかあるが、女性服は桜の体形には少し大きい。
「洗剤は…あるな」
「でも水が汚いから…」
「その服着てて気持ち悪くない?」
「そりゃそうだけど、飲用水を洗い用の水にするのはバカだと思う。善意で言ってくれたんでしょ?私はこれを着るよ。ほら、紐で調節できるから」
桜はスウェットを持って脱衣所で着替えてきた。丸首が広くてブラの紐が見えてしまうことを除けば、そこそこ快適な装いだ。
「さて、僕は多摩復興のために獣を退けて居住圏を広げる。僕が安全を確保したら君には物資をできる限りここに運んでほしい。あとは人がいた場合だな。ここに収容するつもりだけど、それを受け入れない人がいるかもしれない。そのときは僕に話を通してほしい。同じ多摩の仲間として、最も賢い選択の助けになりたいんだ」
「私は外に出るの?」
「安全が確保されたらね。流れとしてはまず僕が獣を退けて安全を確保する。次に君が街に入って物資を集める。人がいたらここに住まわせる。人が増えるってことはその分集めなきゃならない物資も増えるけど、人手も増える。采配は…僕がいいのかな。いちおう総長を名乗らせてもらう」
桜はその活動に賛成する前に、柴崎が強くて無敵であることを前提としていることに気付いて懸念を示した。
「柴崎さんはその刀の扱いに心得が?」
「いいや、中学校の剣道をちょっとやっただけだ。だから自己流でいかせてもらう。ああ、運動はそんなに苦手じゃないんだ。僕のことは気にしなくていい」
柴崎は確かめたいことが一つだけあった。目の前のことに必死すぎて気にかける余裕のなかった神智学のことだ。神智界で内側の肉体を護ることができるなら、桜の懸念のすべてが晴れる。彼は試しに神智界にアクセスしてから包丁を腕に立てた。信じるだけでは実現せず、実現させるためには肉体界と神智界の干渉を起こす必要があることが判明した。
「つまり神智界を観測する方法だ。僕は“多摩力“を多摩に流れる気力の河から受けて神智体を構成できると思って研究を続けてきた。だがまだ至っていない。それがあるだけで僕は無敵になれるというのに…」
桜は見えないものを見ようとする柴崎の取り組みに意味があるのかわからずにいたが、彼の人としての魅力は少しだけわかってきた。だから応援したくなった。
「うまくいくといいね!」
「ああ!」
愛する多摩を取り戻す男の戦いはこうして始まった。