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世界で2番目の強者  作者: 麗奈@Word
始まりの島国=プラル=
9/48

第九話


<大会内容>


24名出場


予選

6人×4グループ


本戦

4人


※予選は勝ち抜き戦、本戦はトーナメント方式

※予選・本戦共にルールは場外負けと殺害禁止のみ。武器等の使用制限は無し。


審判役であろう白ポーン兵が大会内容を説明する。

予想以上に人数が集まったのでまずは数を減らす為に6人ずつのグループに分かれて残った者を本戦に参加させるようだ。


「グループ分けは受付番号を元にランダムで作成している。自身のグループはこちらの張り紙で各自確認し、会場に入場。前グループが終わり次第、次のグループの試合を開始する。なお、その場にいなかった者は不戦敗となる為注意するように。試合までは観戦するのも、出歩くのも自由である。」


もらったバッチには25。

張り紙には自身がⅢのグループという事と21が欠場の記載があった。


「紫翠はⅢか…俺はⅠだから本戦に進んだら戦うかもな!絶対負けん!じゃっまた後で!」


元気よく走り去ったランスを見て少し呆れた笑みを浮かべていると、不意に背後に気配がした。

振り返ってみれば金髪美少女の顔をもった強固な肉体の女性が立っていた。


「わたしと同じⅢグループですね?宜しくお願い致します。」


深々とお辞儀されたのでこちらこそよろしくとお辞儀し返していると周りから騒めいた声が聞こえた。

ロルカム家のご令嬢…という単語が聞こえたので、とても有名な名家なのだろう。


「試合、楽しみにしております。ではまた会場で…」


金の縦ロールの髪を翻しながら観戦席側へ歩いていく。

彼女の後ろには執事のような男性が2名ついている。

その姿を目で追っていると、


『黒騎、ランスの戦いぶりを見てみたい。それに観戦席ならウィルにも会えるだろう。』


炎砡からの提案に小さく頷いて観戦席に移動を始めた。


**************************


観戦席に近づくに連れて、人は多くなる。

ウィルに会えるかどうか、いささか不安になってきた。


すでにⅠグループの試合は始まっているようで、歓声が大きい。


「ランス!臆せず突っ込め!背中の傷は恥と思えぇ!!」


「いけぇー!お兄ちゃーん!!」


どうやら先ほどの不安は杞憂に終わったようだ。

だがこのままでは近づけない。


『わたくし、あの男嫌いですわ。炎砡、出番です。』


『ココで騒ぎを起こさせるつもりか?自分でやれ。』


昨晩の出来事でウィルの横に居る彼は海砡からかなり嫌われている。

仕方ないから少し離れた席で観戦しよう。


Ⅰグループは

【 1、8、12、14、17、22 】

の番号を振られた6名での戦い。

1、12、14、22、そして8番のランスは全員、剣や斧、槍という武術系の戦士なようだが、

たった一人、17番の男は魔術師のようだ。

魔石を埋め込んだ指輪を使い、つむじ風をおこして戦況を有利に運んでいるが_。


『クズ石だな。』


炎砡の言葉通り、魔石は精霊が生み出した失敗作。

しかもあの魔術師が使用しているのは魔石の中でも相当出来の悪い代物。

魔術師自身の使い方が上手いのでそこそこ戦えているが、

使える術はきっとつむじ風をおこす程度だけ、それ以外の事はきっと出来ないのだろう。

現に彼はつむじ風でバランスを崩した相手をナイフで負傷させている。


22、14、1、と戦闘不可や場外と落選し、残りは8、12、17の三名。


12の槍使いの男がつむじ風の合間を狙って魔石を破壊しようとしている。

それを見たランスが同じように魔石を狙い始めた。

二人同時に責められ焦りを見せた魔術師。


(あれはもう無理だな)


紫翠の予想通り、

焦りから隙を見せてしまった魔術師はランスに指輪を破壊されそのまま押し出されるようにして場外となった。


「あと、ひとぉぉり!」


ランスは気合いを入れて猛攻撃を始めた。

12番は防いでいるが、ランスから振り下ろされる剣は遠心力を利用している為、

一撃一撃が重い上に早い。遂には槍にヒビが入った。

これ以上使い物にならないと判断したのか、槍を捨てて腰に装備していた短剣を2本取り出してランスに立ち向かった。


だが、剣と剣が触れあった瞬間、12番は顔をしかめて剣を2本とも手放してしまった。


「それで武器は全部かよっ!!」


ランスの飛び蹴りにより、12番までも場外に吹き飛ばされてしまった。


「それまで!勝者、8番!」


審判の声と共に雄たけびを上げるランス。

ウィルとロドリーの喜びの声も聞こえる。


「海砡…」


『あの脳筋にはもったいない代物ですわ』


紫翠の小さな呼び声に反応した海砡が気付いた事を述べる。


『ランスの持っている剣には精霊石が埋め込まれております。ですが、持ち主の魔力が無能レベルなので、

あの程度の力しか出せません。むしろ仕方なく力を貸してあげてる感じに受け取れましたわ。

それ以上の力を貸すつもりは無いようですわ。ま、魔力が無能レベルなので貸したくても貸せませんけれど。』


12番が顔をしかめて短剣を手放してしまったのは、予想していなかった衝撃と痛みが手に走ったせい。

そして、それはランスが使える唯一の魔術。




静電気。

あれは不意にくると結構な衝撃である。


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