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INVADER  作者: 青髭
異世界漂流編
77/90

装備について

ナオヤは三人を連れて転移を行う。

因みにこの転移は一日の使用回数が5回と決められている。

ゲームでは良く戦闘中に使っていたのが懐かしい。


四人が転移したのはエスクド領内にあるシェイファードの館だ。

どうやら強制捜査などはされていないらしく静かなものだった。

とりあえず今日は四人とも寝ることにした。

奥にある部屋に各々が入っていく。


ナオヤは倒れこむようにベッドに入る。

服が皺になると思うかもしれないが今装備しているのは見た目は簡素でもそこそこ丈夫なので問題はなかった。


それに正直な話ナオヤの体は疲労で一杯一杯で何も考えたくなかった。

急激な体の変化に戦闘と色んな事があったからだと思う。


ナオヤはうつ伏せのままゆっくりと目を閉じた。

その日ナオヤは夢を見た。

ゲーム内の夢だ、ギルドメンバーと今月は何をするかと話し合っている。

けど、それがどんな内容だったかまでは聞こえてこなかった。

口は動いているのに聞こえない。

次第にその光景はぼやけていき最後には消える。


ふと目を覚ます。

記憶が曖昧な寝起きに見知らぬ部屋、しかし今まで見知らぬ部屋なんてことはしょっちゅうだったので瞬時に自分が何処に居るのか思い出した。

ナオヤはベッドから出ると一度伸びをして体を解す。

背骨や関節が音を鳴らしていく。

これが気持ちいい。

そんな事を思っているとノック音が部屋に響いた。


「ヤオか?」


そうして扉を開けて入ってきたのは勿論ヤオだった。

どうやらヤオ達は一度王城へ挨拶に行くということだ。

こんな時に大丈夫なのかと聞いたが一応王族だから問題はないとのことだ。


あまりに楽観的で無用心だったので二つ程ヤオにアイテムを渡すことにした。

一つは剣だ、ゲームでは自身の種位より二つ上までしか装備はできなかった。

ヤオは上位種(アルマエノルメ)なので装備できる武器は超位武器までである。

しかしここでもそうとは限らないので物は試しと神位武器である八咫烏を持たせてみた。


すると持った瞬間ヤオの手が勝手に動き自分自身を斬ろうと動いた。

慌ててヤオの手から八咫烏を奪い取る。

流石のヤオも目を丸くして冷や汗をかいていた。


神位武器は危険なので極位武器を今度は持たせてみることにする。

両手持ちの大剣、弩粉裂刕(ノコギリ)だ、これは片方に刃が付いた大剣で刃先が肉を細切れに切り落とすために特化した形状になっているのでえげつない。

成人男性二人分はある身の丈に超重量の大剣だ。

一度振るったら柄の下に付いている紐を下に引っ張る。

すると細かな刃先にこびりついた肉片が落ちるという仕組みだ。

ゲームでこの武器を好き好んで使うプレイヤーは少なくずっと御蔵入りしていた武器だ。


それをヤオに持たせる。

すると今度は重さに耐え切れずに地面に落としてしまった。


これでナオヤは武器や防具の装備方法が同じであると確信する。

違う所といえばゲームでは装備できない装備を装備しようとすると装備不可と出てそもそも手に取ることができなかった。

しかしこの世界では様々な形でそれが阻まれるようだ。


そう言えば八咫烏は説明欄に生きた刀とか持ち主を選ぶとか書いてあった気がする。

もしかしたらそこら辺が起因しているのではないだろうかとナオヤは思った。


とりあえず確認に協力してくれたヤオにはご褒美に超位武器の破邪聖獣剣をプレゼントした。

白金や金等で施された神々しい西洋剣だ。

ヤオもその刀身に見惚れている。

満足したようで何よりだった。


では次のプレゼントだ。

それは一枚のスクロールだ。

ヤオがそれを広げてみるとそこにはヤオでは読めない言語で書かれた文字と魔法陣が描かれていた。


「これは?」


「聖獣召喚陣・極」


「聖獣召喚陣・極?」


「そう、聖獣召喚陣・極。これを使うと極位種(アルマスプレモ)の聖獣が召喚できるんだ。他にも魔獣の召喚陣があるんだけどこっちのほうが後々都合がいいと思ってね」


無論こちらも扱うのに武具と同じ制約がある。

しかし召喚だけなら下位種(アルマミニモ)でもできる。


ナオヤが召喚すれば背に乗って使役できる。

しかしヤオが召喚すれば言うことは聞かずに暴れまわるだろう。

多分、良くもこんな所に召喚してくれたな。と怒って暴れ狂うだろう。

緊急事態の時は使用してその隙に逃げて欲しい。


これで安心できる。

ヤオもその凄さに驚きながらも受け取った。

そこへデクスとフォルーダが来たので四人で玄関を出て門の前まで行くことにした。


その道中で二人がジロジロと見てくる。

何かと聞くと本当にナオヤ…いやナオヤ様とか聞いて来たので元に戻ってみせた。

神威溢れる姿に二人共改めて畏敬を覚えたようだ。

直ぐにトランスボールでヒューマンに変わる。


すると溢れ出す神威や威圧感が消える。

二人共間抜けな顔をしていたのが面白かった。


門に到着するとヤオ達三人はそのまま王城へ出向くために馬車の停留所に向かって行った。

ナオヤはまず最初に先日の戦闘地に赴くことにした。

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