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INVADER  作者: 青髭
異世界漂流編
70/90

フィナール樹海

最初の三日間は平原や川沿いを走行していた。

途中魔物、いわゆるモンスターを退治したりしていた。

ふと魔物と魔獣の違いが気になったのでデクスに聞いてみた。

すると「聖龍騎士様なのに知らないんですか?」と言われてしまった。

まあ本当に知らないし、実際は騎士でも何でも無いので正直に知らないと答えた。

デクスはちょっと驚いてはいたものの教えてくれた。


「えっとですね、魔物と魔獣の線引きはその種位によって決まっているとされています。下位種、中位種、上位種が魔物、それ以上が魔獣と、我々が倒せるのが魔物ですね」


「ふーん、意外と簡単に決めてるんだな。でも出会ったら一々確認できないだろ?」


遭遇してからそのモンスターの種類や種位を確認していたら殺されてしまう。

そんな間抜けなことが現にあるとも思えない。


「そうですね、一番簡単なのは戦ってみるですが、広く知られているモンスターは多いので予め覚えておくのが一般的です。後はマジックアイテムを使うか、そう言ったスキルがあると聞いたことがあります」


「なるほどね」


「先程戦ったゴブリンなんかは下位種で倒しやすいですね」


そう言われてナオヤは先程遭遇した額に目の様な模様を描いたゴブリンを思い出す。

数が少し多かったが四人だけで倒せた。

種位的にもこちらが上だったので圧倒的だった。

ナオヤに関しては模造刀で一振りで終了だった。


「そうだな、あれは弱かった」


「ゴブリンや他の種族でも魔物扱いされるのは額に刻印の入った者だけです」


「あれは何なんだ?」


「それが詳しくは解らないそうなんです。何かの呪いではないかと言われた時もあったのですが知能あるゴブリン種の村や町から失踪した者も出ておらず。本当にどこからか湧いてるのではと言われています」


どうやらゴブリンも普通に暮らす所があるみたいだ。

一度行ってみたいものである。


そして五日目、ナオヤ一行は森の入口まで着いた。

天まで届くのではないかと思わせる木々が見渡す限り存在し、奥へ行けば行くほど太陽の光りは届かず昼間でも暗闇である。

とは言ってもエスクドまでの鋪装された道があるため迷うことはまずない。

一行はその道を真っ直ぐと進む。

道は広く馬車が四台一度に通っても大丈夫だろう。

ここからでもエスクドと言う国の強さがわかるというものだ。


「そう言えば五年程前にこの森で魔獣が二匹発見されてます」


突然デクスがとんでもないことを口走った。

魔獣、もしかすると自分と同じものかも知れない存在。

本当にそうかは確認のしようがない、記憶が思い出せないのが忌々しい。


「そいつらは倒されたのか?」


「いえ、それがまだ戦っている最中だと聞いてます。何でもその内の一匹は再生を繰り返すらしく大国の討伐隊でも手を(こまね)いていると」


もしかしたらその二匹の魔獣もナオヤと同じなのかもしれない。

しかし五年も前から戦っているのならその線は薄いだろう。


「一度見てみたいな」


「やめてください、流石の聖龍騎士様でも死んでしまいますよ。まあ、大国の聖騎士団が倒した後の死体ならもしかすると見れるかもしれませんね。大国は倒した魔獣を一度自国へ運びますから」


「そんなことをしてどうするんだ?」


「決まってますよ、魔獣は体の大きなものが殆どですから武器や防具といった物に使う素材や肉といった食材、しかも最上級のものが手に入りますからね。それだけじゃありません。国には他国からの間者や使者が大勢来ています。その方達に我々はまだ健在だぞと宣伝もできますからね。パレードすら開催していますよ」


なるほど今回はこいつを倒しました。

あなた方は倒せますか?もしこちらに敵対するのなら覚悟してくださいね。と言っているのだ。

魔獣とはそれ程に強く恐ろしい存在で、その魔獣をいとも簡単に倒す大国(エスクド)は最強である。

なんということだろうか。それを見せられた他国の間者と使者達はきっと恐れたであろう。

これで何故天下統一をしていないのかが不思議である。

きっとその国の王様は嫌な性格をしているに違いない。


そうこうしているうちに日が沈み始めた。

あれから丸一日ほど走っている。

なので今日は道を少し逸れた森の手前で休むことにした。


手馴れた手つきで連れてきた兵士達が支度をする。

彼らは道中の夜間警備等をしていた。

夜に何かあればヤオ達騎士を呼ぶことになっている。

森に入る前なら一緒にモンスターと戦うこともあるが森に入るとモンスターの強さが格段に上がるそうで一般の兵士では足止めにしかならないらしい。

それでも上位種であるヤオと神らしいナオヤは問題ないようだ。


そうして張られたテントに入るナオヤ、一人用である。

聖龍騎士となると扱いが違うらしい。

ヤオのは更に豪華さがあった。

流石は王族、ブルジョアなことで。

とりあえず、明日には着くことになるのでめいいっぱい寝ることにした。

シェイファードからは見てきて欲しいと言われているが正直どうなるかはわからないのが現状だ。

まあ、あそこまで頼られたら引けないというものである。

それと記憶。


といかんいかん、考えすぎると目が冴えて眠れなくなってしまう。

ナオヤは無心になりながら眠りについた。


次の日、ナオヤ達は昼には大国の首都シュナイデンに着く。

そして、そこであるものを見るのだった。

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