ネットの友達
人ごみの中ナオヤは辺りを見渡す。
するとこちらに近づいてくるプレイヤーを見つけた。
認識するとそのプレイヤーの名前が上に表示される。
紫鬼、この名前は間違いない。
紫鬼さんが話しかけてくる。
「おひさです。ナオヤさん」
「こちらこそおひさです。紫鬼さん」
互いに挨拶を交わす。
ネトゲーの基本、挨拶だ。
紫鬼の選んだ種族はゴブリンのようだ。
肌の色は濃い紫で、瞳は澄んだ青。
体格は小学生ぐらいの大きさに設定してあるようだ。
まあ、そのほうがゴブリンらしくていいか。
「ナオヤさんはリザードマンを選んだんですね。かっこいいじゃないですかー」
「いえいえ、そんなことは…って紫鬼さんはなぜにゴブリンを?」
聞いてみると紫鬼は少し項垂れる。
「まあそう思いますよね普通、何のメリットもないですし」
「まさか、アップデートとかにかけてます?」
「…じつは」
そう言いながら紫鬼は頬をかく。
『アレ』はただの噂であって事実では無いというのに。
「あっ、フレンド登録しましょうか」
「ええ」
メニューウィンドウを開き、紫鬼にフレンド申請を送る。
紫鬼の視界に通知が表示され、それをタッチして開く。
通知には『ナオヤ様からフレンド申請が来ております。承認しますか?Yes/No』と書かれている。
紫鬼は直ぐにYesを押す。
ナオヤの方に承認されたと通知が届く。
「紫鬼さんはジョブ何にしました?僕は戦士です」
「自分ですか?自分は魔術師です。最初の個体値で魔力が一番高かったので」
「そうなんですか!そうだ、お互いのステータス見せ合いっこしましょうよ!」
「いいですよ」
再びメニューをいじりステータス画面を可視モードにする。
どれどれ、どんな感じかな?
実はSSSが表示されるかのテストも兼ねている。
名前『紫鬼』
種族『ゴブリン』Lv.1下位種
性別『♂』
ステータス
体力15 魔力24 筋力3 耐久4 敏捷6 幸運11
ジョブスロット『魔術師』Lv.1
スキルスロット『マジックショット』
おお、確かに魔力がデカイ。
しかしながらゴブリンなだけあって基礎値が低い。
魔力と幸運は僕より上だが他がだいぶ心もとない。
それにしてもSSSは他人には可視モードにはできないみたいだ。
もしくはまだ何も入っていないから見えていないだけか。
いや、だったらシークレットスキルスロット『空き』でいいはずなので他人には見えない仕様なのだろう。
「ナオヤさん凄い耐久じゃないですか!」
驚きの顔を見せる紫鬼。
「実は僕自身も驚いてました。いやー奇跡ってあるんですねー」
「じゃあ早速武器と防具揃えてフィールドに参じますか!」
「ええ!」
二人は武器屋へ入っていく。




