戦闘準備
話を終えた後、ナオヤ達はギルド楽園傭兵団と一緒に円環の迷宮の入口まで来ていた。
直ぐに入らなかったのは入ったとしてもクロウを除く楽園傭兵団のメンバーは一階からのスタートだからだ。
「とりあえずクロウは引き続きナオヤ達とパーティーを組め、いいな?」
「ああ、賢明だろう」
残念ながらクロウが他の楽園傭兵団のメンバーとパーティーを組んでも一度扉を潜れば最上階と一階で引き離されるだけである。
つまりまた四人パーティーである。
次にライジオは他のメンバーの編成をするとナオヤは思っていたがライジオは何も言わなかった。
「ライジオ、パーティーの編成は良いのか?」
「何言ってんだナオヤ、ここで編成しても結局最上階まで一緒なんだから編成なんて後でいいんだよ」
「それもそうか」
「んじゃ、最上階着いたら連絡する」
「ああ、了解」
ナオヤは門に向かうライジオ達を見送った。
なるほど、確かにライジオの言う通りである。
普通はパーティーを組んでから冒険するのが普通だったので思い至らなかった。
ライジオはギルドメンバーを連れて迷宮の門へと入っていった。
ナオヤ達はと言うと今一度装備とアイテムのチェックをしていた。
先に最上階へ行って待っていても良かったのだがそれだとだいぶ暇を持て余してしまう。
かと言って下に降りることも出来ないので結局は暇を持て余していたのだった。
「ナオヤさん!ナオヤさん!」
チェックを終え、後は連絡待ちだったので迷宮の少し離れた所に座っていたナオヤの元にジャーフルが近づいてくる。
「どうかしたか?」
「ギルドの名前考えたっすよ!」
「気が早いなお前…」
まだ結成もメンバー集めすらしてないのにギルド名を先に考えてきたジャーフルに呆れるナオヤ。
まあ気持ちもわからんでもないが、こういうものは格好良く付けたくなるのが男という生き物である。
ナオヤにも経験があった。
一応聞いてみてやろう。
「で、その名前ってどんなのだ?」
もし変な名前つけたら火山に落としてやろう。
ギルド名は変えられると分かってはいるがだからといって変な名前をつけていい訳ではない。
仮にデッド・オブ・マーダーズとか命名したにも関わらずプレイヤーの大半が補助系の職業やヒーラーだった時など「紛らわしい」「中二乙」「お前たちは何処を目指してるんだ?」等と軽くクレームを入れられた時などぐうのねも出なかった。
いや、仮にの話だからな!
ナオヤがジャーフルに聞くと自信たっぷりに答えてきた。
「青龍組」
「何処の極道だよ」
「ダメっすか…」
「いや、ダメじゃないけど…まぁ、いいんじゃない?」
「ほんとっすか!?よかったっす!一生懸命考えた甲斐があったっす!」
はしゃぐジャーフルを唯々見つめるナオヤ。
まあこれといって考えていなかったし最初はそこらへんでいいだろうと思ったから許可を出したのだ。
今後ギルドの方針を決めた時にまた変えるかもしれないがな!
その後、何故かリザードマンのプレイヤーしか入ってこなかったのは不思議でたまらない。
それはまた未来の話。
ギルドの名前が決まって一時間弱ほど過ぎた頃、ライジオから到着したとメールが届いた。
四人とも流石に早すぎると思ったが到着したと書いてあるし嘘を言う理由もないので信じることにした。
ライジオならやりかねないと言う根拠に基づいてそう思ったからだ。
ナオヤ達も門を入って最上階へ進んだ。
すると本当に居たので驚きである。
しかし無傷とは行かなかったらしく二人ほど男のプレイヤーが居なくなっていた。
「ああ、残念なことにアルドとサスケがやられちまってな、もう間に合わないから他の迷宮に偵察に行かせた」
抜かりない男である。
流石ライジオさんである。
「では編成をするぞ!トルペ、レント、オルディナ、レフィナド、グラシアが一班!ペルセ、ベランシア、チャルラタ、アドミラ、シオンが二班!俺はナオヤ達のパーティーに加わる、以上!」
「了解!!」
メンバー十人の声が重なる。
既に完璧な団結と統率である。
五人編成のパーティーが三つ。
その一人は中位種である。
レベルもここまで来る間に少し上がっている。
ナオヤは本当に倒せる気がしてきた。
そしてナオヤ達は二度目の迷宮ボスに挑むのであった。
本編で書いていないライジオのギルドメンバー補足です。
トルペ・ドワーフ・男・戦士
レント・ヒューマン・男・僧侶、学徒
オルディナ・ヒューマン・男・戦士、魔術師
アルド・ヒューマン・男・戦士、学徒
サスケ・ケットシー・男・戦士
ペルセ・クーシー・男・僧侶
ベランシア・ヒューマン・男・戦士、泥棒
チャルラタ・ハーピー・男・戦士
アドミラ・ピクシー・女・僧侶
シオン・ヒューマン・女・魔術師、学徒
レフィナド・ヒューマン・女・僧侶、魔術師
グラシア・エルフ・女・魔術師
因みにアドミラとシオンは姉妹設定です。
アドミラが姉でシオンが妹。




