対人始まりました
場所は現在、円環の迷宮の二十五層である。
きっと四分の一であろうと推測しているので半分も行ってない事にちょっとだけ落ち込むが実際は不明なので気にすることを止めたナオヤ。
そしてそれは訪れた、モンスターを倒して次へ進もうとした時だ、前方の十字路の左側からそいつらは現れた。
ピクシー種の女を先頭にケットシー、クーシー、ヒューマン、ハーピーの五人組のパーティーだ。
その内クーシーとヒューマンが男、ケットシーとハーピーが女である。
「おや?」
「お?」
ピクシーの女、名前をハイレーンとナオヤの目が合った。
ピクシーの特徴としては魔力の高さだが、身体的特徴はあまりなくヒューマンにとても近い。
強いて言うならば左右の目が色違いであることだろう。
ハイレーンの瞳も青と赤である。それと身長は160ぐらいだろうか。髪は銀髪で肩まである。
それにしてもハイレーンのレベルは50で装備も結構な物である。
漆黒のローブに漆黒の帽子に身を包み、青い宝石の填った杖を持つハイレーンは凄く魔女っぽい。
しかしいつの間に追いつかれたのだろうか。
そんなことを考えているとハイレーンが喋りかけてきた。
「こんにちわ。皆さんはいつから潜っていますの?」
「えーと、この迷宮が現れてすぐかな」
ハイレーンは驚いた顔をして口元を裾で隠す。
「あら、私らが一番乗りだと思ったのに違ったんですね。でも呑気にお散歩なんて随分と余裕がお有りで?迷宮攻略者とは随分といい御身分でいらっしゃるのね」
「はい?」
急に煽り始めたぞこの女。
お散歩ってあれか?自分らが一番乗りで探索してんのに後から来たハイレーン達に追いつかれてるから言ってんのか?
ナオヤ達はこれでも最速で攻略をしているつもりだ。
確かにハイレーン達の言い分が正しければ自分達は遅いのだろう。
しかしなぜ煽られなければならない。
「…待て、なんで俺たちが迷宮を攻略したことがあるって知ってんだ?」
紫鬼が疑問をぶつける。
確かに既にレベル的に見ればもうそれだけで迷宮攻略者とはわからないはずだ。
「フフフ、そんなの見れば分かること」
「もしかして」
ナオヤは自分の顔に手を当てる。
そこには攻略時に手に入れた紋が刻まれている。
これを見て言ったのだろうか。
「正解、アイテムである紋は今のところ迷宮攻略者の面々しか持っていないアイテム。それがあるってことは既に一回迷宮をクリアしているということ」
「なるほど」
「で、物は相談なのですが引き返してくれません?」
「…は?」
ハイレーンの突然の申し出に驚きのあまり固まるナオヤ。
「じょ、冗談じゃねえっすよ!こっちにも迷宮初挑戦もいるんだ!」
「私も早く名前が欲しいのです」
「みんな同じっす!」
「じゃあ力ずくで」
そう言うとハイレーンは手を上げる。
それを合図に後方に控えていた戦士であろうケットシーとクーシーが突撃してきた。
両方レベルは35である。
ここに来て初のPvPに遭遇したのだった。




