水で固めます
戦闘が始まると同時にナオヤとクロウが飛び出す。
ナオヤが真っ直ぐに突進をし、クロウが飛んで空中から攻撃を仕掛ける。
更にジャーフルが敵の後方に周り攻撃を仕掛ける。
「マジックブースト!」
紫鬼がナオヤに強化魔法をかける。
ナオヤ達の剣がエヴィルラーヴァゴーレムを襲う。
しかしその三本の腕で剣を受け止められてしまう。
挙句には残っているもう一本の腕がナオヤを殴りつける。
ナオヤは咄嗟に剣から手を離して避ける。
ナオヤの目の前を拳が横切る。
「おっと!」
ナオヤは【硬拳】をすかさず発動してエヴィルラーヴァゴーレムに一撃を与える。
攻撃は通ったがあまり聞いている様子が無い。
やはりゴーレム系だけあって防御力が高いらしい。
これは噂で聞いたことだが普通のゴーレムは泥の体をしていて、魔法職の何かにはゴーレムを召喚できるものがあるらしい。
とまあ、その話はまた今度、今は戦いに集中をしよう。
クロウとジャーフルも武器を離して後退したようだ。
何せ全く離そうとしないのだ、予備の剣は勿論あるのだが果たして持って行かれた剣は帰ってくるのだろうか。
と、掴んでいた剣を思いっきりフルスイングで投げつけていた。
しかもナオヤに三本とも投げつけてきた。
もしかしたらレベルが一番高いプレイヤーが集中的に狙われるようになっているのかもしれない。
確定では無いがそれならそれで戦い方がある。
ナオヤは敵の側面に走る。すると敵も体を回してこちらを見る。
掌から出した溶岩の玉をこちらに投げつけてくる。
バカめ、所詮は九層の敵だな。
「紫鬼!特大のをお見舞いしてやれ!」
「おうよ!」
紫鬼は大盤振る舞いで魔力を消費する。
「アクアショット!」
エヴィルラーヴァゴーレムの倍ほどの水の弾が出来上がる。
それは一直線に敵にヒットする。
むしろこれで外したら目も当てられない。
だがそんな心配は他所にアクアショットは炸裂する。
側面に当たったアクアショットは弾けて辺りを水浸しにする。
近くにいたナオヤも巻き込まれるがスキルのおかげで大したことは無い。
エヴィルラーヴァゴーレムもラーヴァゴーレムであるのなら水で固まるのだ。
エヴィルラーヴァゴーレムの体が固まっていく。
これでは真っ黒な石像である。
「今だ、畳み掛けろ!」
ジャーフルがナオヤの剣を投げる。
剣はナオヤの後ろの壁に刺さる。
ナオヤは直ぐに引き抜き構える。
「行くぞ!」
ナオヤの掛け声と共にアビリティを発動させる。
「気合の一撃!」
「気合の一撃!」
「ロブアタック!」
「サンダショット!」
四人の攻撃がエヴィルラーヴァゴーレムに炸裂する。
勝った。
僕たちの勝ちだ。
ニヤリと影で顔を歪ませる。特に意味はない。
エヴィルラーヴァゴーレムはバラバラに砕け散り四散する。
今の自分達では余裕でした。
一応ファンファーレとかも流れるが無視して階段を上がる。
既にクリアしたプレイヤーがいるのに悠長にしてはいられない。
階段を上がり終わると十層が現れる。
前のエリアと特に変わった様子は見られない。
「即効で行くぞ、宝箱は今回に限り無視!」
「えっマジっすか?」
「マジ、迷宮のモンスターを倒すのもいいけどボス倒したほうが速い。それに他のプレイヤーに取られる心配もないしな」
「ま、僕は別にかまわないよ」
「右に同じ」
ジャーフルは驚いているが他の二人は大丈夫らしい。
ならば満場一致と言っても過言ではない。
そのまま足を進めることにした。
結局、二十層に行くまで新しいモンスターも階層ボス的なモンスターもいなかった。
しかし、ここでついに他のプレイヤーと出会ったのだった。




