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INVADER  作者: 青髭
三大迷宮編
29/90

ミスター・レディ

キュトスの街はネーデよりも職人の街といった感じである。

NPCもドワーフが少し多い。

マップを見ていみると全貌が分かる。

中央の大通りを真っ直ぐに行けば目的地の神殿がある。

大通りの両端には店があり、右に道具屋、魔法道具屋、鍛冶屋。左に武器屋、防具屋、宿屋といった感じである。

個人的には新しく現れた魔法道具屋が気になる。

そして街の右サイドは工房エリアとなっている。

全部空家となっているがその内埋まっていくだろう。

左側は住居エリアとなっている。


とりあえずの目的はクエスト、組合講習会なので全てスルーして神殿を目指す。

中に入りクエストが受注できるNPCを探す。


「あれじゃないか?」


ナオヤが窓口の隅に立つ男のドワーフが居た。

名前を確認してみるとドーギルと出る。

このNPCで間違いないだろう。

3人はドーギルに近づく。


「組合講習会はここで受けれるのか?」


ライジオが話しかけるとドーギルに反応があった。


『なんじゃ?お前さんらもギルドを作るのかい?』


「そうだ」


そう答えると3人の目の前にクエスト受注しますか?と選択ウィンドウが現れる。

はいと選択するとドーギルが説明を始める。


『では夕方の4時になったらまた来てくれ、組合講習会は毎日3回、朝昼晩とまとめてやっているのじゃ』


時間指定があるのか。

それなら仕方がないので暇をつぶすことになった。

2人はまだ職業と進化を確認していないので見てみることに、結果はナオヤと変わらず何もなかった。

次は大通りの店を物色することにした。

結果はまあまあである。

ネーデよりはいいがその程度であった。

上位装備は無かったしね。

ポーションも今は足りているので買わなかった。


そして最後に魔法道具屋に入る。

魔法道具屋はなんとも怪しい雰囲気の店で受付には老婆が座っていた。

フードで顔が見えないがきっとヒューマンである。

棚を見てみると怪しい色をした薬品がズラッと並んでいる。

眺めているとライジオが老婆に話しかける。


「ここはどんな物を売っているんだ?」


『ここかい?ここは見ての通り魔法道具を売っているんだよ』


「例えば?」


『そうだねぇ、ここで売っているのはスクロールやエンチャントされた装備だよ』


「スクロールってのは魔法陣のやつのことか?」


そういえば迷宮の戦利品の中に召喚陣なるものがあったな。

効果もモンスター召喚とピンチの時に使えそうだと考えていた。


『ああ、その通りだよ。スクロールにも種類があってね、大まかには二種類で魔力を消費するものとしないものかね』


「他には?」


『他だとモンスターを召喚するものや魔法を発動するものなんかがあるね』


「なるほどな、じゃあエンチャントされた装備とは?」


『エンチャントされた装備っていうのは付与術師(エンチャンター)が強化付与した装備のことだよ魔法武器、魔法防具、魔法道具なんて呼ばれてるね。普通の道具の効果を強化付与したのが魔法道具だよ。簡単に言えば普通のポーションより回復量の多いポーションってことだね。ここでも売ってるよ』


なるほど、付与術師(エンチャンター)か、新しい職業が出てきた。

解禁条件はまだ分からないが紫鬼かライジオは取るのだろうか。

まあ、戦士(ファイター)である自分には関係ないだろう。


結局魔法道具屋でも冷やかしだけで終わった。

なぜかというと住居エリアの相場を見てみたいからである。

ギルド設立条件にもあるようにギルド拠点の購入は必須である。

金はある。金額は秘密だが一般プレイヤーよりかは持っていると言っておこう。


住居エリアには同じ形をした家がいくつもあった。

種類は3種類だけのようで上中下と値段と豪華さが違うといった感じである。

空家の前に来るとウィンドウが現れて金額と維持費が表示される。

下が10万ギル、維持費月1万ギルの木造の家、少しボロい。

中が25万ギル、維持費月5万ギルの石造の家、普通。

上が50万ギル、維持費月10万ギルの石造の家、ちょっとした屋敷。


一番安くても10万、しかも維持費がかかるとは…。

流石に今の自分でも50万ギルは無理です。

しかし10万か…うーん。

2人を見てみると同じような感じであった。

と、1番高い空家の前に集団が現れた。


「あれは…」


ナオヤは直ぐに思い出した。

いや、忘れるはずもない。

エルとライカが門番と戦っていた時にこちらと同じように戦況を見ていた変態集団である。

男のアバターであるのにスカートや煌びやかな装飾品を付ける集団。

数は10人。

その中でも人一倍煌びやかな装備を身に付ける男がいた。

名前を確認するとプリステラと出た。

紫鬼とライジオを見るとうわっといった感じの顔をしている。


「ん?」


ジロジロと見ていたからだろうかプリステラが近づいてきた。

周りのオカマ達も一緒である。


「こんにちわ」


プリステラが挨拶をしてきた。


「こ、こんにちわ」


「こんにちわ」


「こんにちわ」


プリステラがライジオ、ナオヤ、紫鬼の順番に見てくると笑みを浮かべる。

少しだけ背筋に悪寒が走った。


「あなた達、あそこにいた人たちでしょう?」


向こうもどうやら覚えていたようだ。


「ええ、あなた達も迷宮攻略者?」


ナオヤが聞くとプリステラが頷く。


「そうよ」


「どの迷宮か聞いても?」


ナオヤがそう聞くとプリステラの顔が曇る。


「アナタ馬鹿ね。教えるわけ無いでしょそんなこと、トップシークレットよトップシークレット。良い?迷宮にも名前があってそれは既にヒントでもあるの、だから誰々がどこの迷宮を攻略したなんて情報は聞くのは失礼よ、ましてやレディに聞くなんて」


「れ、レディ?」


紫鬼が疑問符を浮かべるとすごい形相で睨まれた。


「何か?」


「い、いえ…」


「まあ、いいわ。お互い初めてなんだもの、多少の無礼は水に流しましょう。あなた達も物件を見に来たんでしょ?」


「ええ、でもどれも高いですよね」


「そうね、でも買えない額じゃないわ。けど私たちはここで買わないと決めたわ。多分次の街にもあるのでしょう?そっちに期待することにしたの」


「理由は?」


ナオヤ達と別れたプリステラ達は大通りの方へ消えていった。

ここを選ばなかった理由は美しくないからだそうだ。


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