沈黙の騎士
4階層では敵に『コボルト・メイジ』が増えました。
複数で現れると厄介だが、なんとか対処できるまでには成長している。
当然、単体では瞬殺だ。
それにしてもダンジョンと言う割には宝箱が無い。
しかし探索不足と言われると否定もできないので、今後は積極的に宝箱を探すことにした。
その結果、初、宝箱を見つけた。
ライジオが宝箱を開けると中には剣が入っていた。
王道と言えば王道である。
『銅の剣』筋力に+20してくれる木の剣の上位互換。
多分だが次の街辺りに売ってそうである。
この中で剣を装備できるのはナオヤだけなので。
付け替えておく。せっかく壊れた時のために木の剣の予備を2本用意しておいたのに無駄になってしまった。
これは後で売ろう。
再び探索に戻るとコボルト・メイジが前衛にコボルトを2匹連れて来た。
小賢しいかなモンスターもパーティーを組んできたようだ。
前衛のコボルト2匹にはナオヤと紫鬼のキツい一撃を2、3回受けてダウン。
後衛のコボルト・メイジがマジックショットを何回か撃って来た。
ライジオが同じくマジックショットを撃って相殺したが、一発食らってしまったようだ。
レベルも上がって上々です。
現在はナオヤ18、紫鬼16、ライジオ21である。
しばらくして5階層の階段を見つける。
上がると人が数人は入れる小部屋に出た。
「豪華だな」
「ですね」
「確かに」
ライジオが呟き、紫鬼とナオヤが同意する。
その部屋には両開きの扉がありとても装飾が凝っていた。
「そういえば運営が階層は少ないって言ってたな」
「さすがに少なすぎでしょ」
「うーん」
ナオヤと紫鬼が迷っていると、ライジオが取手を掴み扉を開いた。
「開けりゃあ分かる」
それもそうだなと、2人はあとに続く。
ライジオ、ナオヤ、紫鬼の順に入り、紫鬼が完全に入り終わったところで扉が自動で閉じる。
紫鬼が試しに扉を開こうとするが開かないようだ。
辺りをぐるっと見渡す。
体育館1つ分はある大部屋だ。
壁には蝋燭の光が妖しく揺らめき、天井には巨大なシャンデリアが美しく輝く。
「やっぱりここが最上階なのか?」
紫鬼が呟く。
これだけ色々と豪華だとそう思うがナオヤは見つけてしまった。
「違う、部屋の奥にまだ階段があるみたいだ」
それを合図にシャンデリアが大きく揺れた。
「な、なんだ!?」
突然のことに3人は上を向く。
シャンデリアから2メートル程の騎士が現れたのだ。
現れたのは全身を甲冑に身を包んだ西洋騎士。
ライジオが笑う。
「なるほどな、中層のボスって訳か」
「てことは折り返しか」
「本当に低い迷宮ですね」
「まあ、詫び迷宮だからな」
「なんですか詫び迷宮って…」
ナオヤと紫鬼が漫才をする。
しかし中層ボスが鎧を鳴らすと2人の意識が切り替わる。
名前とレベルを確認する。
『クワイエットナイト』Lv.25
対応できると思える強敵に3人は知らず知らずのうちに笑っていた。




