表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
INVADER  作者: 青髭
プロローグ
10/90

ピンチはチャンス

林に逃げ込むと再び地面に腰を着く。

恐怖からかまだ手足が震えているのを感じた。

いや、武者震いだ。

僕はこの状況を楽しむのだ。

と、意気込んだ矢先に林の奥がガサゴソと動く。


「ッ!?」


「ヒッ!?」


ナオヤは息を呑み、紫鬼が小さな悲鳴を上げた。

奥から現れたのは金髪ロングヘアのプレイヤーだった。

鋭い目つきにギザギザした歯。

荒々しさが際立っている。


「なんだ貴様ら、こっちに逃げてきたのか、少しは考えたじゃねぇか」


「そ、その声!」


「あっ、さっき助けてくださった!」


「おう!」


男は腕を組んで仁王立ちのポーズを取る。

紫鬼と同じ見習いのローブを来た男。

見た限りヒューマンのプレイヤーだ。


「先程は助けて下さりありがとうございました」


「ご、ございました!」


ナオヤに続いて紫鬼も頭を下げて礼を言う。


「気にするな」


ナオヤは男の名前を確認する。

ライジオと表記された。


「ライジオさん」


「なんだ?」


思い切って質問をしてみる。

内容はもちろんさっきのことだ。


「さっきのモンスターってなんなんですか?」


「俺が知るか!」


怒鳴られた。

この人何なんだろう。

いい人なのは間違いなさそうだが絡みづらそうである。

さて、困ったことになった。


「だが、情報がないわけではない」


「それって!」


「慌てるな!まずは自己紹介だ、俺はライジオだ」


「ナオヤです」


紫鬼(しき)です」


ライジオは頷くとそこにあぐらをかいて座る。

どうやら情報を教えてくれるようだ。


「まず奴の名前、知っているとは思うが一応言っておく、奴の名前はオーガロード・リッチ。レベルは常軌を逸して50」


「50だって!?」


やはり見間違いではなかったようだ。

紫鬼は気づいていなかったようだ。

しかし、本当にわからない。

なぜ、何のためにあれほどの高レベルのモンスターが最初の街の入口を見張っているのか?


「奴は門を出て来たプレイヤーを襲う。そのプレイヤーが門から離れたところで戦闘していても他に門から出て来たプレイヤーが居ればそっちにテレポートするようだ。体力などのステータスもその時リセットされる」


なんだそれ、ただでさえ初見殺しなのに。

仮に倒せそうだったとしても他の場所で戦っていたら最悪の場合完全回復されて消えるという鬼仕様。


「ところで貴様ら、回復アイテムを持ってないか?」


「え?」


「いやな、奴から逃げたのはいいが他のモンスターと戦ったりもしたのでもうアイテムがないのだ。」


確かにライジオの体力ゲージは黄色を通り越して橙色だ。

このゲームでの体力は緑、黄、橙、赤の順番で表示される。


「分かりました。助けてくれたお礼です。少ないですがどうぞ」


2人は持っているアイテムを全てライジオに渡した。


「悪いな」


早速使ったようだ。

特に意味は無いが手を開いて閉じてと確認している。


「ところでライジオさんは」


「ライジオでいい」


「じゃあ、ライジオはヒューマンですよね?」


「そうだが?」


「じゃあ職業は…」


魔術師(マジシャン)学徒(スクール)だ」


やはり2つとっている。

しかも学徒だ。名前の横のレベルを見るとライジオのヒューマンレベルは5。

加えて2つの職業も上がっていてかなり強いはずだ。

このゲームでの種族は経験値を得てレベルアップした際、そのプレイヤーの行動で多少成長が上下するのだ。いわゆる努力値のようなものだ。

剣や槍を使っていれば筋力が良く上がるし、魔法スキルを使っていれば魔力がよく上がる。

細かく動いたりすれば敏捷、盾でガードをすれば耐久が、である。

職業は一律で決まっているので説明は置いておく。


故にオーガロード・リッチが門前を陣取っている今、ライジオがトッププレイヤーの1人なのは間違いない。


「レベルを聞いても?」


魔術師(マジシャン)…面倒だ!」


ライジオはメニューをいじるとステータス画面を可視状態にしてこちらに向ける。


名前『ライジオ』

種族『ヒューマン』Lv.5下位種

性別『♂』

ステータス

体力76 魔力110 筋力22 耐久30 敏捷44 幸運25

ジョブスロット『魔術師(マジシャン)』Lv.4『学徒(スクール)』Lv.8

スキルスロット『マジックショット』『ファイアショット』『急所鑑定』

装備 木の杖 見習いのローブ 革の靴 速さのミサンガ


「ライジオ、一緒にアイツを倒さないか?」


ナオヤは自信満々に言った。

驚きのあまりこちらを凝視する2人。

しかし直ぐにライジオは口元を開きギザギザの歯を見せて笑う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ