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KA・HA・TA・RE

まるくなるとき

作者: 木野晴香

送電線ゲーム/ キャンプファイヤー/ フォークダンス/ ばばぬき/ 鍋/ ハンケチ落とし/...

大きな輪になって“体育座り”する。みんな中心の方に向いてニヤニヤしている。

ひとりが白いハンケチを丸めて握り、輪の外側を走り出した。

走りながら笑っている。

座っているものは背中に神経を集中させ、目でハンケチの所在を追う。

どこかで白いハンケチはそっと落とされ、走っていたものはニヤニヤのままさらに嬉しそうな顔になり輪の切れ目に腰をおろした。

みんな体育座りのままヒラヒラと自分のおしりのあたりを探り、何も見つからなければほっとした顔をし、背後にハンケチを落とされたものは「あっ」と嬉しげに立ち上がり、ニヤニヤになっ て走り出す。

何人かのニヤニヤを見物した後、ヒラヒラさせた手に布の感触があった。

わたしはハンケチをつかんで立ち上がった。そしてなんとなくその時の思いつきで、反対方向に走り出した。

さっきまでは全員時計と逆に回っていたのだが、私は時計の針と同じ方向に走り出したのである。

体育座りのみんなは、わははと笑った。よしウケた。さあ、だれにハンケチを落とそうか。

私は走りながらひとりひとりの顔を見た。

40人の輪は大きい。知らない顔もある。知らない顔もある。知らない顔も・・・。

知らない顔ばかりがそこには並んでいた。

1周走っても、ハンケチ投下の目標に決めたKさんの顔が見つからなかった。

Yさんもいない。Tさんも。丸めた白いハンケチが汗で湿っていくような気がした。

何周回っても、知らない顔だけが歯を出して笑っている。

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― 新着の感想 ―
[一言] 冬の山小屋もこっくりさんも、輪をつくって何かするってのは、どこか儀式めいていて、異形のものを呼び出しやすい形なのかも知れませんね
2016/08/05 08:25 退会済み
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