ビー玉
僕は道を歩いている途中にビー玉を見つけた。子供が遊んでいるときに落としてしまったのだろうか。僕はビー玉を拾い、覗き込んでみた。
青いガラス玉は世界を反転させ、僕が今まで歩いてきた道を真っ逆さまにしてしまった。それがまるで夢の中を覗き込んでいるようで、僕はビー玉を覗き込みながら道を歩いた。
僕は夢の中を歩きながら、このビー玉を落とした子供について考えた。子供はどうやってビー玉で遊んだろうか、転がしただろうか、投げたのだろうか、はたまた僕と同じように覗き込んで逆さになった夢の世界を見たのだろうか。夢の覗き穴を落としてしまった子供はどうやって夢を見るのだろう。そんなとりとめのないことを考えていたら、家についてしまった。
ああ、帰ってきてしまった。僕はビー玉を道端に投げ捨て、家の中に入った。