ひまきょくち
何かすごいことが起きないかな
そんなことを考えながら自室の窓から空を眺める
雲一つない見事なまでの五月晴れの空だ
ふと思った
もしもあの空から飛行機が突然落ちてきたらどうなるんだろうか
きっと住民はパニックを起こして慌てて逃げ惑うだろう
しかし間に合わず熱と爆風に蹂躙されるのだ
想像してみたら実に愉快だ
いつも不愛想な顔でぎゃーぎゃー喚く煙草屋のばばあも元気に通りで遊ぶ小学生も道路工事をしているがたいの良いおっちゃんも皆皆吹っ飛ぶ
愉快愉快
何か悪いことをしたわけでもない人間がどうすることも出来ずに死んでいくのだ
なすすべもなく終わりを受けいれるのだ
これを愉快と言わずにどうしろというのだ
あ、でも自分も死んじゃうな
死ぬのは嫌だ
面白くない
楽しくない
飛行機墜落はやめておこう
もっと長生きしたいし
他に何か起きても死なずにすんでなおかつ見ていて面白いことを考えなくちゃ
考えろ
考えろ
考えろ
動け脳みそ
熱でとろけて耳から流れ落ちるくらい
この暇を打ち消してくれる何かをひねり出せ
寝るくらいしかやることが無い暇の極地から救い出してくれ
ああ、でも駄目だ
何も思いつかない
この役立たずの脳みそめ
もういいさ
だったらやることはひとつだ
寝る
眠る
寿命の99%を消費するまで眠る
そして残り1%になったら
死ぬ直前になったら
お願いなんだけど起こしてほしいな
それくらい待てば何か起きてるだろうからね
おやすみ




