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10話

 身体は動く。立ち上がる事も出来たが、身体の節々が鈍く痛んでいる。万全とは行かないよなそりゃ。


 ていうか全裸。申し訳程度に包帯は巻かれているけど、もうほぼ全裸。誰かに見られているわけでもないし別に恥ずかしくはないんだけどさ、股間のポケットモンスターが歩くたびにぶらぶら揺れるのは落ち着かない。部屋の中を見回しても着替えは置いてないし。


 部屋はドベル族風の内装じゃない。ということは、あそこから運び出されたのか。別に牢屋って訳でもないし、窓がないってのはどういう事だろう。


 仮にここが反乱軍の本拠地である山脈の北側だとしたら、内装が違いすぎる。かといって帝国領の占領地とは考えられない。つまり帝国風の内装でもない訳だ。


 ま、考えても仕方ない。とりあえずここから出よう。



 ……まあ、鍵が掛かってるのは普通だよな。一応、俺は捕虜なんだし。


 にしてもなんもやることねえなあ。寝るか。


 まあ、寝るっつっても今まで寝てたわけだし、横になるだけなんだけど。



 †



 ……。


 …………。


 ………………。


 ひ、暇すぎて死にそう。やばい。これは精神的にまずいぞ。


 あれから数時間経つが、まだ誰も来ない。こんな時にはあのウザいポンコツでもいてくれたらいいのに、肝心な時にいねえ。やっぱりポンコツだなあいつ。ていうかあいつ、あの街から無事に逃げられたのかな? いや、心配してるわけじゃなくて、もしそうならどうやったのか単純に興味あるだけで。


 他人から認識されなくなるって聞いたから見つかる事はないだろうけど、洞窟に引きこもってたあのポンコツが人がいるところまで無事にサバイバルできるとは思えん。


 にしても暇だなあ。


 ……。


 ああ、扉なら壊せんじゃん、俺。


 というわけでガントレットを展開してみた。あまりにも暇だったから往年の変身ヒーローっぽい決めポーズもやってみた。いや、ほぼ全裸でなにやってんだよ。完璧な全裸じゃなくて申し訳程度に包帯で無くしてんのがまた変態っぽい。


 しゃきーんと自分で言って虚しくなっていると、建て付けが悪いのか、大きな音を立てて扉が開いた。


「……ッ!?」


 いやあ、中学生にはまだまだ刺激が強かったかしら。セックスアピールに溢れる俺の肉体に見惚れてる……わけないよねおかしな格好でおかしな格好してる変態がいたらそら俺でも固まるわ。


 八極中学生は静かに両腕を掲げる。両腕の周りを赤い魔法陣が……。


「待て、それは洒落にならん!」


「ひっ……!?」


 一気に詰め寄り、中学生の腕を天井に向ける。


 全裸の男が目前に迫って来た事に、八極中学生は小さな悲鳴を上げた。


 腕を掴み、脚を払う。馬乗りになり、両腕を地面に押さえつけた。


「いやぁああああああ!!!」


「バカ、暴れんな!」


 こいつの炎弾は腕を向けた方向にしか飛ばせない。つまりこうして押さえつけてれば、いくらこいつでも……。


 中学生が両腕に嵌めた腕輪が赤く光る。魔力を充填してるようだが、無駄な事だ。いくら強力な炎弾を……。


「あああっつぁああああぃ!?」


 どうやら魔術を蓄えると発熱もする仕様のようで。


 まあ、金属は熱を通すしね、ガントレット全体が加熱されてやばい熱い。熱い熱い熱い熱い熱いぃぃいいいいいい!!


「なぁあっちぃいぃいいい!?」


 あまりの熱に耐えかねてガントレットを元の形状に戻したら、今度は素手で押さえつけることになって、今度は手の平が重点的に熱い。


「ちょっと、何をして……え、ほんとなにやってんの?」


 再び音を立てて開かれた扉の向こうから、俺と中学生の声を聞いたらしいシェネルが顔を出し、そんな事を言った。


 客観的に俺の状況を見てみると、ほぼ全裸で女の子に馬乗りになり苦痛の悲鳴を上げてる男……って感じになる。なにこの訳わかんない状況。

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