17話
とりあえず気絶したエヴァニアを縛り付ける。武装解除し、使えそうなものや金目のものを手早く漁る。おお、地図があった。この世界の基準通り、精度はお察しくださいレベルだが、ないよりかはだいぶましだ。
今着ている服は返り血だとかでガビガビになっちゃってるので、死体からあまり汚れてないものを見繕って着替える。……おい、どれもくっせえし汚れてる。ここの連中は洗濯っていう文化的な行動をしたことがないのか? いや、今の俺が言えたことじゃないけど。一番まともそうなのはエヴァニアの服だけど、サイズが合いそうにない。
仕方ない、外套だけいただく。槍は使い物にならないな。剣だけもらおう。刃渡り七十センチほどの両刃の直刀だ。癖もなさそうだしこれでいいだろ。
焚き火の近くにあった頭陀袋の中から硬い黒パンとチーズを見つけた。干し肉もある。
パンを半分に割り、チーズをナイフの先に刺して少しだけ火で炙る。溶け切らないうちにパンに乗せ、薄く切った干し肉を乗せ、パンで挟む。
ちょっとしたハンバーガーのつもりだったんだけど、合わねえなこれ。パン硬すぎ。
さてと、これからどうしようか。とりあえず現在地の確認、かな。それほど時間は経ってないはずだし、帝都からはそれほど離れてはいないだろう。あんだけ目立つ塔があるんだから帝都の位置は確実にわかるはずだ。あとは周辺の地形やら何やらで現在地を特定し、軍団の集積地に戻る。
「おい、起きろエヴァニア」
ぱしぱし頬を叩いて起こす。
「え、あ……。な、うわあ!」
目を覚ましたエヴァニアが悲鳴を上げて後ずさる。おい、失礼な奴だな。
「知りたいことを教えてくれんなら殺しゃしねえよ。とりあえず、現在地はどこだ? 俺を捕まえてから何日経ってる? というかどういう経緯で捕まったんだ」
なるべくゆっくりと話す。そうするのが敵意の無いことを示す一番の方法だって誰かぎ言ってた。
「い、今はここ、ここにいる」