エピローグ
エピローグ
関東から右に少し離れた場所にある小さな島「遠園島」。
そこは人口も少なく僕たちが新生活を始めるのに好都合な場所だった。
「....コホン!えー!体調の悪いやついねーか
溺れたやついねーか!もしいたらすぐに俺に伝えてくれよ!」
黒い水着にジャンパーを羽織り。
今日もエリカは海の平和を守る人間として一生懸命働いている。
とは言ってもこの島は人口も少なく観光客も多くないので
本当に役目がある事態は中々ないのだけれど......。
なのでエリカの本当の役目は.....。
「おい!あれ大魔王だぞ!!」
「大魔王がいる!それー!やっつけろぉ!!」
「なんだおまえら!俺はお前らに構ってるほど暇じゃねーんだ
勇者はこれで満足してとっとと帰りな!!」
するとエリカは真っ先に向かってきた男の子の足を掴んで
そのまま男の子を空中に浮かせて回し始めるいわゆるジャイアントスイングのようなものをすると。
ゆっくりと男の子を着地させた。
「すっげぇ!むっかし行った遊園地のアトラクションみてーだ!
さっすが大魔王もう一回やってー!」
「俺も!俺も!」
「私も!」
男の子女の子関係なくエリカの周りに子供が集まってきたようだ。
子供たちの間からは大魔王と親しまれ今では海の人気者に彼女はなっていた。
エリカ自身は子供の相手は疲れるとよく僕に愚痴を言ってくるが。
彼女もまんざらではないようだ。
そして堅剛組についてはこの前ようやく怒龍組に勝利し
僕らも落ち着いたら東京に行き芳香さんと初めて会う彼女の父親に会いに行こうと思っている。
聖さんがいる麻雀店で皆で麻雀をすると言うのも面白いかもしれない。
聖と言えば彼女と犬猿の仲である鰆田はこの前10万円を取られたとりまきの男に殺されたそうだ。
この前テレビを見ていたら鰆田と前見た男がニュースで出てきたので驚いてリモコンを落としてしまうくらいだった。
原因は男が貢いだ額が500万を超えた所で男は金がないと泣きついたので切り捨てようとしたら口論になり首を絞められ殺されたんだとか....。
散々人の心を弄び、人の人生を狂わせてきた女なので自業自得と言えるだろう。
かと言って殺した男を擁護する気は微塵にもないが。
そんな事を考えていると向こうの方から元気な声が聞こえてきた。
「先生!焼きそばできましたよ!」
海の家から走ってくるのは海の家で料理の仕事をする様になった椎だった。
彼女は半袖でミニスカートの涼しい格好をして僕に焼きそばを届けにきた。
その途中海水浴に来ていた老夫婦が彼女を呼びとめ
「椎ちゃん元気いっぱいだねぇ~
さっき椎ちゃんが作った焼きそば美味しかったよ~」
「はい!有難うございます!」
「ワシも食べたけどこりゃ絶品だ!
椎ちゃんは良いお嫁さんになるな!娘にも見習わせたいわい」
「そんな.....そこまで褒めて頂かれても.....」
彼女は以前のような恐怖は消え
色々な人に料理を食べて貰い喜ぶ顔を見ながら今も生きている。
それは彼女が昔語っていたあの夢を叶える光景だった。
そして夢を語った親友の香苗さんは先月とある樹海で遺体が発見され
遺書には彼氏への絶望、事件の真相、椎への懺悔と椎の夢が叶うよう願った切実な文が書かれており。
進藤さんによりその文が椎の元に届き椎は涙を流しながらそれを読み強く生きていく事を彼女は誓った。
僕が焼きそばを食べ終えると僕は相変わらず良い天気なのに外に出ない茉莉の事を思い出した。
その前に進藤さんは僕たちのために新しい住居と全く別人の戸籍を用意した。
とは言っても苗字が違うだけなので名前で呼び合えば解決する話なので
僕たち自身は呼び方をあまり気にしていない。
ただ僕はいつまでも彼女たちから輝樹さんとは呼ばれず先生と言う扱いのままだそうだ。
何でかと聞くとそっちの方が何となく良いからとだけしか答えてくれない。
後僕自身まだ気にしていた事だったが
美代子と同僚の古山は今進藤さんの差し金で逮捕されているらしい。
僕は復讐しなくても良いといったが彼らが罪を犯したのは事実だし君を陥れた罪で逮捕をする訳にはいかないが。
君と同じ様に身に覚えのない罪で捕まる理由がある事と
そもそも契約内容の時に復讐すると言ったのだから曲げることは俺が許さないと言い
彼らは今獄中にいるそうだ。
昔なら美代子の元に行って話しを聞こうとしたのだろうが
今はもう何を思って美代子がそれをしたのかは興味が既になくなっており
今はただ目の前の娘達を見守ってあげたいと思うだけであった。
さて茉莉が今何をしているかの話に戻ると
彼女のやる事は変わらない、ほとんどPCの前にいて
プログラムの作成やネットでの商売をしている。
僕のことを二人きりではお父さんと呼んでいるのは相変わらずだが
それが長く暮らしていると皆といる時に間違えて言ってしまい
かいつまんだ事情を話さずを得ない事が起きてしまったが
茉莉を皆笑うことも同情することもせずだったらいっそ皆お父さんって呼ぼうって話になり
それから3日間僕は皆からお父さんと言われ続け恥ずかしさで死にそうになった。
それから彼女は僕のことを皆の前でもお父さんと呼んでいる。
「こんなところでぼけーっとしてどうしたの?」
するとそこには冷たい飲み物を二つ持ってやって来たユエの姿があった。
エリカ、椎は海の家のバイト。
茉莉は今までどおり生きていて
僕はと言えばまた学校で教師をしていた。
ここの学校は生徒人数も少なく先生も集まらないので
特別に教員免許がなくても塾の先生になる様な筆記試験だけで決めるのだ。
なので本州の大学への受験を控えた高校生
叔母さんや叔父さん中には本州の大学に行きながらここに通ってくる地元愛のある人もいたり
色々な人が教師をしており僕もその一人として働いている。
もしかすると僕にとって教師は天職だったのかもしれない。
それを見つけてくれた彼女達には感謝しないといけないな。
しかしユエにはこれからやる事を探すと言う任務がまだ達成できていなかった。
何かをしようと思っても彼女は今まで暗殺の仕事しかしてこなかったので
料理もできないPCもできないスーパーでのバイトも失敗してしまう。
彼女には仕事と言う物が見つけられていなかった。
「どうするんだこれから......ゆっくり見つけていけばいいと思うけど
何かしたいことはないのかい」
僕はキンキンに冷えたレモンスカッシュを飲みながら彼女に話しかけた。
彼女も同じレモンスカッシュを飲むと.....彼女はこう言った。
「実は私.....本当にやりたい事分かってたの
でも何となく言うのが気恥ずかしくて.....その.....」
僕は彼女の目を見ながら彼女が口を開くのを待った。
「私貴方と同じ教師になりたい!
勉強は一応できるしその....先生みたいに好かれる教師になれるか分かんないけど.....
だから教師になれるまで手伝ってほしいの......
何時か.....貴方と肩が並べられるその時まで......」
僕は彼女の正直な思いに嬉しくなりながら。
当然のように頷きこれから彼女を一人前の教師になれるよう手伝うことを約束した。
次の日曜日海の家からも休みを頂き、茉莉を外に出るよう促すと
太陽がカンカンに照る真夏の昼、彼女達は水着姿で僕の事を待っていた。
「先生!おそーい!」
声を揃えてブーイングされしまったので僕は急いで彼女たちの元に駆け寄る。
僕たちはそのまま海へと走り笑顔のまま素敵な時間をすごした。
水を掛け合い、砂の城を作ったり、綺麗な夕方の海を一緒に見たり
そこには輝いた笑顔しかなくあの時囚われていた頃の4人の少女の
他人を拒絶しながらも本当は誰かを求めていたあの頃の悲しみは何一つなかった。
僕たちは今支えあって生きて今この場所にいる。
皆誰かを求めてお互いが支えあう事で生きている。
僕たちは決して一人じゃないし。
今ここにはいない進藤さん彼は娘と離れ新しい伴侶を作ることもせず
独身で生きることを既に決意している。
傍から見れば一人で生きていると言えるかもしれない。
けど彼だって一人じゃない。
彼にも僕らには分からない謎のコンタクトを持っていて
そこでの色々な人に助けられているだろうし
それに最愛の娘と離れていても娘も進藤さんの事を気にしているだろうし
離れていても愛情は伝わっているはずだ。
それに僕や他の皆だって進藤さんのおかげで今があるのだから
僕は感謝しているし皆も感謝しているはずだ。
この世にずっと一人で生きている人間なんていない。
世の中一人でゴールまで走る人と二人三脚でゴールまで走る人はいるけど
そこにラインを引いた人やゴールテープを作った人がいるから
人生が成り立っているのだから誰しも一人じゃないんだ。
僕たちはこれからも5人6脚でゴールラインまで走っていくだろう。
途中何かトラブルが起こったりしてしまうかもしれない。
それでも僕たちは一心同体で今までの事を潜り抜けた様に試行錯誤をして
前に進んでいくだろう。
___________結んだ足が解けないよう
転んでしまっても____________________
________ 前へと前へと進んでいける様
僕たちはひたすら最後の時まで5人で歩いていくことを_________
決してあきらめないと誓って
終わり
後書き
どうも甘(SWEETS)です。まずこの文を読んでくれてる事は
この小説を最後まで読んでくださったと判断して
まず最初にお礼を申し上げたいと思います。
最後まで読んでくださって有難うございます。
今回は少年院の学校を舞台に4人の少女を痴漢の冤罪を掛けられた男が
最終的に4人の少女を救うお話でしたがいかがだったでしょうか?
正直文章力のなさ、表現力の欠如、所々大雑把なところあったと思います。
すみませんでした。次回作を作ることになれば精進させて頂きます。
今回のメインテーマは人は誰しも一人で生きているわけではないって事が
最後のメッセージになりましたね。
主人公たちは勿論、皆を助けてくれた進藤さんも一人ではないと語り
皆で生きていく事を誓うラストとなりました。
主人公たちのように自分が信じられる人間を見つけ一緒に歩いていけるなら良いですが
本当の人生はそのように一筋縄で上手くいくようではないのは誰が言わなくても分かる事かと思います。
この小説では人間が人間を信じるシーンよりも裏切るシーンの方が多く書かれていたかと思います。
それは僕自身の経験が取り入れられてるのだと思います。
僕の数回の恋愛経験は途中までは上手くいっていましたが最後には全て裏切られてきました。
ある意味僕の考え方は物語中の進藤さんに近い物があると思います(全く同じとは言っていない)
僕も進藤さんも運が悪かっただけ次頑張れば良いと楽観的な意見も出てくるかもしれませんが。
青山君が作中で美代子に裏切られた時の様に傷は今でも癒える事はなく喉の奥に刺さってきます。
人は良くも悪くも過去に囚われるのです。
私が弱い人間だと思うならそれでこの話はおしまいですが。
深く語ることはしたくありませんが5年経った今でも僕の傷は癒えません。
裏切りで心に傷を負ってもそれを乗り越えられるのが一番良いのでしょう。
しかし引きずったまま歩いていくのも間違いではないと僕は考えます。
現代社会において人は必ずしも二人三脚をして歩くと言う事しなくても良いと思うのです。
作中の最後と矛盾していると言うかもしれませんが
そこにもゴールラインを引いた人間や給水をしてくれる人間がいるから決して一人ではありません。
心の持ちようなのです。
勿論青山君の様にきっかけに恵まれたのならば乗り越えていけるでしょう。
もしそんなきっかけもないのにもう一度トラウマを掘り返す様にきっかけを作ろうとして
同じ事を繰り返すだけならば走るのは一人でも僕は良いと思います。
少子化の観点、個人の感情を無視した国への利益を考えるなら
僕の言ってる事は言語道断、一瞬で切り捨てられますが。
結果的にそれが原因で自殺なんてことになっちゃったら
逆に迷惑になると思うんですけどどうなんでしょうね?
まぁそこは痛いところではあるので深く言及しないとして
なのでまとめてしまえばこんな物語の様に人生はそう甘くはないけど
一人で走ることになったとしても貴方は本当の意味で一人じゃないんだから
自信を持って強く生きましょう心の持ち方で変わっていきます、それが僕のこの物語で伝えたかった第2のメッセージです。
若者の戯言なので違うと思えば違うと一蹴して頂いて構いません。
しかしこの物語において起きる裏切りや不幸は大げさな様に見えるかもしれませんが。
現実でもこんな事は頻繁に起きていますこの物語の起点となる痴漢の冤罪なんてその代表的な例でしょう。
良い切っ掛けより悪い切っ掛けの方が大量にありそれが明日身に起こるのは自分かもしれない。
良い切っ掛けに巡り合う事が一番ですが悪い切っ掛けにより不幸になっても何も起こらず傍から見れば孤独で質素な生き方になっても
考え方を柔軟にして強く生きていく事が今ここを生きていくのに最も必要な事で
そしてどんな状況でも与えられた条件の中でできる限り最善を選択していく事これはどんな生き方をするにしても重要で
この物語で主人公がこの結末を導き出せたのはそれができたからです。
しかし僕は人生観講座でも言いましたが自分は違うと思ってもそれを他人に押し付けるのは筋違いだと言うこと。
ここにあるメッセージも私はこうだと思うから書いただけで
押し付けのメッセージではありませんしこの物語もこのメッセージも私と言う人間も
全て貴方の中で貴方が決めることです。
次回作は未定ですが書いてほしいと言う方がいたら一言言うだけでも良いので書いてみてください。
次回作に良いネタが浮かんで文章にできると思った時に参考にします。
一応今回物語のTNPを良くするためにカットされたエピソードがあるのですが。
作中に何度も出てきてはいるものの詳しく書かれなかったあの出来事の事です。
それをA CAGE~囚われた4人の少女~ 苦しみで塗られた鳥篭(仮題)
A CAGE~囚われた4人の少女~ エピソード"0"(仮題)とかいうタイトルで作ってみても面白いかなと。
まぁ続編期待してる人がいなければ製作意欲的に微妙ですが。
続編は特に捻り出してでも私の作品が読みたい(謎)的な事を思った人が多ければ近日中に作成できるようがんばります。
そうでなければ良いネタを思いついて製作意欲が沸く半年先1年先かもしれない未来ですね。
元々私は自分のサイトを持っていてそこで書いてたのですが私の実力不足とこの業界の厳しさって言うのかな。
1年で参照数1000くらいしか来なくてやめてしまって以来基本思いついたり作りたくなったときにたまに投稿するスタイルで数年くらいやっていますね。
最後まで読んでくださって有難う。
こっそりとでも私特有のダークな雰囲気の作品が気に入った人がいたら思い出したときにでも読みにきてくださいね。
私はここで一度ペンを置きたいと思います。
またお会いできればお会いしましょう。