第24話
登場人物紹介
青山 輝樹 平凡な人生を歩んでいた社会人だったが
痴漢冤罪により人生が崩壊し、少年院の特殊な教育施設の教師になる。
進藤 傑 警察の人間で本人曰く上層部の人間らしい。
見捨てられたプロジェクトの後片付けとして施設の責任者になった。
鮎川 茉莉 施設の生徒、未成年にして国内最強のハッカーにして重度のオタク。
堅剛エリカと仲が良い。
堅剛エリカ 施設の問題児、ヤクザの組長の娘で母の罪を自分で被り警察に捕まった。
学力が低く単純だが根は優しい、鮎川茉莉と仲が良い。
山本 椎 施設の生徒だが体調不良でほとんど休んでいた。罪状は毒物による大量殺人。
しかしそれは冤罪である事が判明した。
料理が得意で怖がりな性格
NO.7080 施設の生徒、自分の身元に関する情報を日本人である事と
(ユエ) とある組織にいた番号と愛称の「ユエ」しか分かっていない。
進藤由絵 組織では殺し屋として数百人の人間を殺害したと思われる。
施設では他人と距離を置いている様子である。
本名は進藤由絵で進藤傑の実の娘である。
青山輝樹に関する事件の登場人物
鰆田 桜 青山輝樹を痴漢の罪で告訴した人物で、豊鏡女子高の3年生。
バイト感覚で援助交際や痴漢の冤罪を着せる仕事もしており、月守聖とは敬遠の仲。
青山 美代子 青山の妻であったが痴漢の罪で逮捕をされた事で離婚。
大学のバトミントンサークルで知り合う。
現在古山と結婚して古山美代子となった。
古山 竜 青山と同僚で美代子と共謀して青山を痴漢の罪に陥れた。
山本椎に関する事件の登場人物
好村 香苗 椎と同じバイト先で働き、椎とは仲が良かった。
椎が冤罪を受けた事件の真犯人で
現在は行方不明。
鮎川茉莉に関する事件の登場人物
鮎川 憲吾 鮎川茉莉の父親、ある会社のデータを娘のウィルスを使い初期化し
その技術を海外に売ろうとした所国によって殺害される。
大木 保則 そこそこ名の知れた探偵で今年に入って大木探偵事務所を開業。
茉莉には恩があり父親の行方に関して無料で調査を行った。
堅剛エリカに関する事件の登場人物
堅剛 芳香 堅剛組の組長、堅剛虎鬼門の妻。
虎鬼門が行方不明のため現在彼女が組を仕切っているが
その事実は組全体にしか知られていない。
堅剛 虎鬼門 堅剛組の組長、十数年前から姿を消し今も行方不明。
月守 聖 堅剛組の事務所の隣の麻雀店で働いている、鰆田とは敬遠の仲。
作者の前作「The Reverse Side」の登場人物。
進藤由絵に関する事件の登場人物
進藤 梨花 進藤傑の妻、由絵の母親である。
夫の無愛想な態度に嫌気が差して娘を連れてフリーターの男の元に逃げた。
進藤が23歳の時トラベリンの幹部により射殺された。
野木 大祐 フリーターで中卒の典型的な駄目な男だが女を口説く事の天才。
最終的にトラベリンの幹部に殺害される。
妹は倒産したニノミ屋の社員だったが真宿で風俗嬢になったらしい。(The Reverse Sideネタ)
ミハイル アリャドフ トラベリンの教官で由絵の担当官を勤めた人物
ロリコンであるが故に実力はあるのに周りから尊敬されない人物
第24話
ミハイルはこの組織に入ってからの初任務であり。
その内容はトラベリンの幹部であるジョージと言う男を護衛し取引を成功させる事だった。
取引内容は人身売買で取引相手はミスターダイスケとミセスリカで私の両親だったと言う。
この時点で私は自分が取引された話にミハイルが関わっていた事を感づいた。
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「警察だ!動くな!」
初任務が無事に終わろうとしていたその時僕の期待を裏切るように
隠れていた4人の警官が現れ銃を僕たちに突きつけてきた。
確かに銃は本物だろうがおまえらは的や動く物しか撃った事がないらしいな。
おまえらには人を撃つ覚悟がなってない.......。
銃は本物であろうとそれを使う人間が本物でなければそれはおもちゃに過ぎない。
相手の力量を一瞬で判断すると
僕はジョージを庇うように立ちそのまま凄まじいスピードで一人の警官にタックルを仕掛けた。
「ぐあああああ!」
思ったとおりだ銃口が震えて真っ直ぐ向かっている俺にすら撃つ事すらできず
まんまとタックルを食らっている。
僕はそのまま首を絞め警官を落とすと横にいた警官が銃を発砲した。
しかしそれは威嚇射撃の様な物で当てる気すらない事が銃口の向きで読めたので
気にする素振りすら見せず別の警官を落としていく
しばらくすると4人の警官がその場で倒れ意識を失っている状態になった。
「何故殺さない.......」
幹部のジョージはイラついた顔で僕を見るが
僕は澄ました顔でこう言った。
「トラベリンは日本の警察の一部から援助を受けております
もし殺せば向こうはその分金を払えとか面倒くさい事を言ってきますよ......」
ジョージは舌打ちをすると真っ直ぐ見た先にいるリカとダイスケを見てこう言った。
「ミハイル!タイミング的にこいつらが完全に仕組んだことは間違いないだろう
こいつらを殺せこれは命令だ!」
するとリカとダイスケは恐怖に取り付かれながら否定を続けるが。
僕から見てもこいつらが仕組んだとしか思えないし幹部の命令だ逆らえない。
僕はリカを捕まえリカに銃を突きつけた。
「ミハイル裏切り者に制裁を加えろ
増員の警官が来るのはまだ先で今君の担当官によってここにある隠しの抜け道の安全を調べてもらっている所だ
君の好きな様にやりたまえ」
ジョージは無線に耳を傾けながら僕とリカとダイスケを交互に見て
それを聞くと命乞いをするカップルや夫婦にしたらジョージにも喜ばれるような
ある殺し方を思いつき僕はダイスケに話しかけた。
「選択肢をやるよ!
お前が助かる代わりに今からこの女をレ○プした上で殺すか
今お前を殺すがこの女の無事と命は保障してやる
どっちだ!」
ダイスケは恐怖の余り泣きながら僕を凝視し
震えながらこう答えた。
「梨花に何しても良いから俺を助けてくれ!!
お願いだ!!俺は死にたくない!」
「大祐さんっ!.......そんな.....」
僕は不適な笑みを浮かべそうかとだけ告げると
突きつけていた銃を突然発砲しリカの命を奪った。
リカの頭に弾丸が貫通し声を上げることなく彼女は生き絶え
ダイスケは何が起こったのか分からない顔をしている。
「馬鹿が!俺にとってはこんな女ババアでしかねーんだ!
それに俺はおまえが命乞いをして女を売る様を見せて女を絶望させ
そして約束を破られたおまえが絶望して死んでいく姿を見たかっただけさ
裏切り者制裁としては最高のショーになっただろう!
おまえも一緒に逝くんだよ!あの世で喧嘩でもしてるんだな」
やめてくれ死にたくない!と言いながら逃げようとするダイスケに俺は後ろから弾丸を放ち
彼の命を奪った。
ジョージはその様子を見て笑顔を浮かべ拍手をしていた。
先に裏切った人間が裏切られた人間に約束を守るように求める方がおかしいのだ。
しばらくすると隠し扉からの安全性が確認されジョージと僕と売られた赤子はそこから脱出したのだった。
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この話を聞けば私の両親を殺したのはミハイルと言う事になる。
しかし私はそれでミハイルに怒りの感情が浮かぶことはなかった。
任務は絶対だし取引先が裏切り上司が殺せと言ったのなら殺すのは当たり前。
そして両親は私を売ろうとしたのだそんな両親に同情の余地すらなかった。
私はミハイルから最後に自分の生い立ちに関する唯一の情報を受け取ると
これが私とミハイルの最後の会話となった。
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「ミハイルはこの後死んだのかい?」
「今は分からないけど
最後になったのはこの後私が最後の任務に向かうからよ」
今までの話を聞き傍から見れば現実感のない話だが
彼女の話すときに時折現れる黒い殺気。
彼女の今までの状況を見て信じざるを得なかった。
けれども僕にとっては世界が違い過ぎて彼女の言葉だけでは理解が及ばなかったかもしれない。
それでも彼女が話してくれたおかげで彼女の事が少しだけ分かる事ができたと思った。
「そしてこれは私の最後の任務の話......」
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任務が終わろうとした時張り込んでい4人の警察に邪魔され
その4人の警官はそのまま気絶をして床に散らばっている。
ミハイルの任務の場所も内容も同じ違うのは人だけ。
この状況に私は作為的な何かを感じながらも解決策を探していた。
「警察の増員がすぐ来るだと!ふざけるな!
しかもあの時使った隠し通路の先に警察が大量に張りこんでいるだと
なら私はどうすればいいんだ!この役立たずが!
おいそこの女何か解決策はないのか!ここで捕まる男ではないのだワシは!
ふざけるな早く考えろ早くだ!早急に!」
ゲルヴァエと言う年を取ったトラベリンの幹部はパニックになりながら私を急かす。
この男はとても臆病で私が戦っている間裏切ったと思われるカップルを殺すことができず
ただ縄で縛るだけしかできない正直何故幹部になれたのか分からない無能な男だった。
ゲルヴァエは無線の先の私の担当官と私に怒りながら自分は考えることもせず叫ぶだけだった。
「一つだけあります恐らくかなり大変な脱出となりますがよろしいですか
そして取引した赤子を恐らく回収できません」
「何でも良いからワシを脱出させろ!
こんな状況じゃ命に換えられるもんはない!はよいえ!
いいからはやく!」
私はせっかち過ぎるこの男に嫌気が差しながらも
男と一緒に脱出の準備をはじめた。
私はこの部屋から下水道に脱出するための経路を知っていた
右の壁の端から繋がっており人間がぎりぎり入れる大きさの扉だ。
しかしここから下水道まで高さとしては相当ありそのままジャンプをすれば確実に死んでしまう。
なので私は男にカップルを縛ったロープを解くよう命令して
そのロープを使い逃げる事を考えた。
ロープを上から垂らしロープを私が支え彼がそれを使って下に下りる。
所が..........
「よくやった!もう少しで地面に降りれそうだ!感謝.....
ぐわあああああああ!!」
突然ロープから重力がなくなり悲鳴が聞こえてきた。
暗くて彼がいる場所が分からなかったので
彼に一つ渡した暗視スコープで確認すると尻餅をついた彼を見つける事ができ
ロープが半分の地点で切れてしまった事に気づいた。
「いてててこの糞ロープが!!
しかし有難う!助かった!ではワシは失礼するあとは脱出がんばるんだぞ!」
無責任な事を言って一人だけ逃げ出してしまった。
このままロープを固定して脱出を考えていたがこれでは不可能だ。
もうロープの代わりになるものはなく出てくるのはあのカップルを先に落としてクッションにすると言う
訳のわからない策しか出てこなくて万事休すといった状況。
ここまできたら自分ひとりで警官を大量に相手にして強行突破を狙うしかない。
そう心で決め愛用のナイフを取り出し部屋から出ようとした時突然異様な音が鳴った。
プシュウウウウウウウウウ!!
突然異音がなりガスが部屋の中に入ってきた瞬間反射的に鼻と口をふさぐ。
カップルがぐったりして動かなくなったのを見て推測するにこれが警察の仕業だとしたらこれは催眠ガス.......。
ガスマスクを用意していなかった私は.....少しずつ意識が薄れてきた.....
生きて戻らなきゃ.....アジトに.........
しかし私はもう長く意識を保ってられないことを悟っていた。
最後に幹部を逃がすことができたのだから......駒としての役割は果たせただろう.....
ここで私の人生が.....終わる.....私もいよいよ死んだ仲間の元に行くのか....
任務のことしか考えることはせず死について考える事をやめた私が....
唐突に任務で死んでいった仲間や豚小屋で過労死した仲間の顔が浮かんでくる....
私は自分の最後と知り.......そのまま意識を失い.....床に突っ伏した。
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「その後私は警察の病院で目を覚ました
実際死んだ訳ではなかったけど暗殺者としては私は死んだも同然
そして今に至るわけ.......分かったでしょ....
貴方程度に私のことが理解できるはずがないって......」
続く




