第22話
登場人物紹介
青山 輝樹 平凡な人生を歩んでいた社会人だったが
痴漢冤罪により人生が崩壊し、少年院の特殊な教育施設の教師になる。
進藤 傑 警察の人間で本人曰く上層部の人間らしい。
見捨てられたプロジェクトの後片付けとして施設の責任者になった。
鮎川 茉莉 施設の生徒、未成年にして国内最強のハッカーにして重度のオタク。
堅剛エリカと仲が良い。
堅剛エリカ 施設の問題児、ヤクザの組長の娘で母の罪を自分で被り警察に捕まった。
学力が低く単純だが根は優しい、鮎川茉莉と仲が良い。
山本 椎 施設の生徒だが体調不良でほとんど休んでいた。罪状は毒物による大量殺人。
しかしそれは冤罪である事が判明した。
料理が得意で怖がりな性格
NO.7080 施設の生徒、自分の身元に関する情報を日本人である事と
(ユエ) とある組織にいた番号と愛称の「ユエ」しか分かっていない。
進藤由絵 組織では殺し屋として数百人の人間を殺害したと思われる。
施設では他人と距離を置いている様子である。
本名は進藤由絵で進藤傑の実の娘である。
青山輝樹に関する事件の登場人物
鰆田 桜 青山輝樹を痴漢の罪で告訴した人物で、豊鏡女子高の3年生。
バイト感覚で援助交際や痴漢の冤罪を着せる仕事もしており、月守聖とは敬遠の仲。
青山 美代子 青山の妻であったが痴漢の罪で逮捕をされた事で離婚。
大学のバトミントンサークルで知り合う。
現在古山と結婚して古山美代子となった。
古山 竜 青山と同僚で美代子と共謀して青山を痴漢の罪に陥れた。
山本椎に関する事件の登場人物
好村 香苗 椎と同じバイト先で働き、椎とは仲が良かった。
椎が冤罪を受けた事件の真犯人で
現在は行方不明。
鮎川茉莉に関する事件の登場人物
鮎川 憲吾 鮎川茉莉の父親、ある会社のデータを娘のウィルスを使い初期化し
その技術を海外に売ろうとした所国によって殺害される。
大木 保則 そこそこ名の知れた探偵で今年に入って大木探偵事務所を開業。
茉莉には恩があり父親の行方に関して無料で調査を行った。
堅剛エリカに関する事件の登場人物
堅剛 芳香 堅剛組の組長、堅剛虎鬼門の妻。
虎鬼門が行方不明のため現在彼女が組を仕切っているが
その事実は組全体にしか知られていない。
堅剛 虎鬼門 堅剛組の組長、十数年前から姿を消し今も行方不明。
月守 聖 堅剛組の事務所の隣の麻雀店で働いている、鰆田とは敬遠の仲。
作者の前作「The Reverse Side」の登場人物。
進藤由絵に関する事件の登場人物
進藤 梨花 進藤傑の妻、由絵の母親である。
夫の無愛想な態度に嫌気が差して娘を連れてフリーターの男の元に逃げた。
進藤が23歳の時トラベリンの幹部により射殺された。
野木 大祐 フリーターで中卒の典型的な駄目な男だが女を口説く事の天才。
最終的にトラベリンの幹部に殺害される。
妹は倒産したニノミ屋の社員だったが真宿で風俗嬢になったらしい。(The Reverse Sideネタ)
第22話
「まさか..........僕が今までやってきた事は.........
全て進藤さんの計画を成功させるための下準備だった.......」
「正解だよほら最後まで言って、満点回答まで後ちょっとだよ!」
僕は進藤さんに急かされながら頭の整理をし
次の言葉を発した。
「進藤さんの最終的な目標はユエさんの手綱を握れる人間を作り
その人にユエさんと一緒に脱獄をさせて遠くへと行き
その場所でユエさんに自由な一生を送らせてあげるため.......
混乱してて説明できてるか分かんないですけどどうですか?」
「正解」
そうか確かに今の状況はユエさんが暗殺組織にいたのと同じで幸せとは言えない。
そのため娘の幸せを願った進藤さんは自分が人の感情を理解できないことを自覚していて
自分の娘に父親面をする事も罪の意識があってできなかったので
別の人間にそれを任せた。それならば僕が教師をしているこの学校のプロジェクトの後始末を引き受けたのも。
「自分の娘がそこにいたから.....あのプロジェクトの後始末を請け負い
そこに自分が選んだ人間を送り込み親密になってもらう
後は自分が用意した脱獄のプランで僕達を遠くに導き自由に暮らしてもらう
それが貴方の立てた計画」
「大正解.....まぁあのプロジェクトが駄目になるのはわかってたよ
と言うかあの事件自体僕は起こることを予期していたよ、他の人間が馬鹿なだけなんだけどさ
被害者や心に傷を負った人間には申し訳ないけど僕はそれを利用して後からそのプロジェクト請け負う事を計画した
そして娘が無事であることは僕は確信していた
元暗殺者だからね彼女から見れば周りの人間が僕が周りの人間を見るようなもので見下す対象でしかなかったし
あいつらに遅れを取るわけはないと信じていたからね」
しかしそうだとするならば椎、茉莉、エリカを助けた理由は何なのだろうか。
彼の理論なら他の人間はどうでも良いって事になるし。
僕にも最初からユエさんだけど仲良くなれと言うだけで良かったはずだ。
「じゃあ何で他の人も助けようと思ったんですか」
「うーんそれはねやっぱ由絵にもね友達を作ってあげたいと思ったんだよ
同姓の友達だ、僕にはいなかったものだ........。
それで生き残っている6人の人間のうち由絵を除いて3人が罪の意識がないと知ったんだよ。
山本椎は君は知らないかもしれないけど彼女の親友である好村香苗は現在行方不明なんだ
親友が姿をくらまし、彼女は自分はやってないとだけ言い何かを隠そうとしていた
これだけで後は猿...いやエリカでも解けるよね......
そうそう堅剛エリカ考えてもみれば君に手紙を読むよう指示をしたのは俺だ
俺が真実を知らないはずがないよね手紙を確認してるのは俺なんだから
そして茉莉彼女はある意味生まれた所が悪かったから犯罪者にされただけで
実際法的にも罪を問われてはいないしある意味彼女は由絵に似ている状況だからこの中では一番助けたい人間だったかもしれないね
残りの2人はどう考えても黒だったから辞退を促したそれだけだ
後君がうちの娘と仲良くなるならこの娘達の心すら掴めないなら無理だと思ったからだよ」
今までの事をまとめると進藤さんはユエさんを助けたいと思っていて。
ユエさんと他の少年院の子供達があるプロジェクトに参加することを彼は知った。
そしてそれを利用して彼女を助ける事を決意し生き残った他の冤罪の娘も助けることにした。
しかし進藤さんは他人の感情に対して不器用だ、恐らく脱獄の用意や後始末の準備はできても
肝心な彼女達と仲良くなる事ができなければこの計画は成立しない。
その為に痴漢冤罪で途方に暮れている僕を見つけ僕に莫大な報酬を設ける代わりにこの計画を成功させる重要な任務を命じたのだ。
そして彼女達と仲良くなるために奮闘したのがこれまでの半年間の出来事だ。
僕は最後にこれまでで一番重要な仕事をしなければならないようだ。
「ここまで働いてくれて有難うそれは感謝している俺には絶対にできない事だったからね
でももう一つ任務....いやもうここまできたら進藤傑と言う1人の男からのお願いとして聞いてくれないか
娘は若い頃の俺とそっくりだ何でも自分でできると思い今まで1人で生きてきた様に錯覚している。
確かに俺は付き添った相手は死に娘とも離れてまた付き添う相手を探すことはせず独身で生きるだろうな
でも俺はそれが1人で生きているとは思わない、俺は正直沢山の人間に支えられて生きている、無論君もだ。
だからこそ娘に今まで1人で生きてきた訳ではない事、今も1人ではない事を彼女に教えてやってくれ」
考えてみればユエさんはどことなく進藤さんに似ている。
やけに人の情報に詳しい所、知識も豊富だし、進藤さんも彼女も僕を驚かせてきたしな......。
「今回の話を娘に話すのは構わないが俺が言ったとは言わないでくれ
後俺が隠したそうにしてるし別にそれで彼女に恩を着せるわけでもないが
俺が本当の父親であること言っても構わないぞただし後で本当は俺から口止めされていたと娘に伝えてくれ」
「良いですけど......なぜ.....」
「別に....君が上手くやるならば俺に遠慮をする場面が来るかもしれないから
先に釘を刺したまでさ君が迷わないように.....」
言っている意味がよく分からなかったご心に留めておこう。
しばらくすると話すことは全て話したかなと言いため息を付き
ゆっくりと立ち上がり僕より先に会議室を出ようとすると.....
「健闘を祈る......」
とだけ言って去ってしまった。
ユエさんの過去、進藤さんの思い僕には伝わった。
後は彼女の心を変えて僕と一緒にここを出るように促すだけ.......。
最後のミッション.....伝える相手は今まで暗殺組織と言う組織に身を囚われ
今も刑務所と言う檻に囚われた、囚われの人生を送った少女進藤由絵.......。
彼女を助けることで"囚われた4人の少女"を救う事ができる......。
次彼女と話す時この時彼女の心が変えられなければ失敗だ。
僕は握り拳を作り気合を入れ深呼吸をすると僕は明日全てを終わらせると誓い
会議室の扉を開き自室へと帰っていくのであった。
続く