第19話
登場人物紹介
青山 輝樹 平凡な人生を歩んでいた社会人だったが
痴漢冤罪により人生が崩壊し、少年院の特殊な教育施設の教師になる。
進藤 傑 警察の人間で本人曰く上層部の人間らしい。
見捨てられたプロジェクトの後片付けとして施設の責任者になったが目的は謎に包まれている。
鮎川 茉莉 施設の生徒、未成年にして国内最強のハッカーにして重度のオタク。
堅剛エリカと仲が良い。
堅剛エリカ 施設の問題児、ヤクザの組長の娘で母の罪を自分で被り警察に捕まった。
学力が低く単純だが根は優しい、鮎川茉莉と仲が良い。
山本 椎 施設の生徒だが体調不良でほとんど休んでいた。罪状は毒物による大量殺人。
しかしそれは冤罪である事が判明した。
料理が得意で怖がりな性格
NO.7080 施設の生徒、自分の身元に関する情報を日本人である事と
(ユエ) とある組織にいた番号と愛称の「ユエ」しか分かっていない。
組織では殺し屋として数百人の人間を殺害したと思われる。
施設では他人と距離を置いている様子である。
青山輝樹に関する事件の登場人物
鰆田 桜 青山輝樹を痴漢の罪で告訴した人物で、豊鏡女子高の3年生。
バイト感覚で援助交際や痴漢の冤罪を着せる仕事もしており、月守聖とは敬遠の仲。
青山 美代子 青山の妻であったが痴漢の罪で逮捕をされた事で離婚。
大学のバトミントンサークルで知り合う。
現在古山と結婚して古山美代子となった。
古山 竜 青山と同僚で美代子と共謀して青山を痴漢の罪に陥れた。
山本椎に関する事件の登場人物
好村 香苗 椎と同じバイト先で働き、椎とは仲が良かった。
椎が冤罪を受けた事件の真犯人で
現在は行方不明。
鮎川茉莉に関する事件の登場人物
鮎川 憲吾 鮎川茉莉の父親、ある会社のデータを娘のウィルスを使い初期化し
その技術を海外に売ろうとした所国によって殺害される。
大木 保則 そこそこ名の知れた探偵で今年に入って大木探偵事務所を開業。
茉莉には恩があり父親の行方に関して無料で調査を行った。
堅剛エリカに関する事件の登場人物
堅剛 芳香 堅剛組の組長、堅剛虎鬼門の妻。
虎鬼門が行方不明のため現在彼女が組を仕切っているが
その事実は組全体にしか知られていない。
堅剛 虎鬼門 堅剛組の組長、十数年前から姿を消し今も行方不明。
月守 聖 堅剛組の事務所の隣の麻雀店で働いている、鰆田とは敬遠の仲。
作者の前作「The Reverse Side」の登場人物。
事件・出来事
重罪少年・少女社会復帰プロジェクト
警察の上層部の間で計画されたもので
実験として40人の少年院の中でも重い罪を持つ子供たちを
森の隔離された空間でできるだけ現実の学校に近い様なスタイルで教育すると言った計画である。
しかし後述する事件により計画は凍結。
36人が辞退し、辞退しなかった4人については進藤傑氏が後片付けとして本来の予定通り1年間教育を続けることになった。
無法地帯化事件
最初の頃は真面目にやっていた40人の生徒も。
少年院より規制が厳しくなくなっている事に気づくと一部が調子に乗り始め。
生徒が教師に暴力行為を働き、それを上に報告するはずの警備員を口封じした事により。
事件の長期化と更に悲惨な事態になる事になった。
生徒同士の暴力行為が盛んになり。
喧嘩、虐め、略奪、強姦行為が当たり前の光景となる無法地帯と化した。
これにより34人の生徒が脱臼、骨折、ノイローゼ、性病感染等様々な問題を起こし
大きな問題のなかった6名の生徒の内2人もプロジェクトを辞退。
これにより警察内で上層部の管理能力の甘さと無計画さが露呈する事になるが。
警察は事件を隠蔽し、世間にこの事件が報道されることはなかった。
青山輝樹の痴漢
真宿駅行きの電車において青山輝樹が女子高生に痴漢行為を行った事件。
青山は逮捕され有罪判決を受けたがしかしそれは誤った判決であり
被害者は青山に痴漢の冤罪を掛け、賠償金を支払わせた。
被害者は真宿にある裏社会のグループの一員でグループのメンバーもサクラとして青山が有罪になる様な状況に仕向けた。
裏社会のグループは一連の犯行を依頼されてやったことが判明しており
その依頼者は青山 美代子と彼の同僚の古山と言う男であった。
第19話
「今までどこをほっつき歩いてたのかしら.....」
僕が日曜の夜に学校に帰ってくるとそこには
学校の前の花壇の淵に座りぶどうジュースを飲んでいるユエさんの姿があった。
「ちょっと用事があって遠くにね」
そう言うと彼女は興味なさそうにぶどうジュースを啜り
そっと口を開きこう言った。
「統京の真宿で何してたの?」
「えっ?何で知ってるんだい?」
「図星みたいね」
僕はこの時彼女に鎌を掛けられた事に気づいた。
しかしある程度確証がなければ遠くに行っただけでは
鎌をかける事すらできないはずだ、彼女が何故僕の行き先について知っていたのか疑問だが
彼女は僕に考える暇を与えず再び口を開く
「何しにいってたの?日ごろのストレス解消のため風俗にでもいったのかしら」
「ちっ!違う僕はエリカのために...あっ!」
風俗に行っていた事を否定したい気持ちが強くてつい本当の目的を話してしまった。
それを見るとユエはあの時のようなクスッと言う彼女特有の鼻で笑う攻撃をされ
僕の精神力を削っていく。
「あなたって単純なのね、風俗行ってるような教師に教えられてると思うだけで
虫唾が走るからそんな事思うわけないでしょうに
ただ貴方が男として否定したい事を言ったら本当の事を言うと思ったらまさかね...」
彼女には相変わらず一本取られっぱなしだな。
青酸カリの一件にしてもそうだった。
「まぁ貴方がもっと馬鹿な男だって事が分かったから十分よ
それと私の半径50cm以内に近づくなって命令あったでしょ
初めて会ってから律儀に無意識のうちに守ってたんでしょ単純だから
あれはもう撤回で良いわよ、貴方に興味がなくなったわ、貴方は害にならない事を今判断したし」
そう言うと彼女は数ヶ月僕に会うときだけ発していたむき出しにしていた殺意を収め
そのまま去っていった。
数ヶ月前の命令だが僕は律儀に従い、配布物は茉莉に手数を掛けていたが
これからはちゃんと配れそうだ。
よく考えたら当たり前の事を許されただけなのだが彼女に少し認められたと思うのはかなり思い上がりなのかもしれないが
少しだけ嬉しい気持ちになりながらそのまま自分の部屋に戻った。
次の水曜日僕はエリカを教員室に呼び出した。
「むしゃむしゃ....話って何だよセンセー」
僕が彼女達のお土産に買ってきた雀サブレを食べながら僕の所に彼女はやって来た。
「ちょっとね!見せたいものがあるんだ
そろそろ時間かな、ちょっとついて来てくれないかな」
すると僕は立ち上がり教員室を出ようとすると
「えっちょっおい!はむっ!いてっ舌噛んだ!
ちょっと待てよ!何があんのか教えろよ!おい待てって!」
彼女は急いで僕の後を付いて来た。
思えば彼女と決闘をする事になった時も、僕が勝手に勝負のルールを決めて
僕が勝手に教員室に向かい彼女がついて来ると言う今の状況とよく似ているので既視感を覚えた。
僕が向かったのはここの食物等を管理する倉庫だ。
流石にここに向かうのは彼女も意味が分からないせいか。
「おい!何なんだよ!ここ倉庫じゃん!」
「心の準備をしたら開けてごらん、今君が一番心に願っていることがそこにある」
エリカはまるで吹き出しがあったら?を浮かべてるような顔をしながら、しばらくすると観念して深呼吸をして
ゆっくりと倉庫の扉を開けると。
「おっ!お袋!!」
「エリカ........」
倉庫の中には僕にとっては白々しい言い方だが
驚く事に芳香さんがいたのだ。
種明かしとしては、あの後僕は芳香さんにエリカに会うように頼み
進藤さんに連絡しかなり無理を言って何とかできないかお願いし
唯一この施設に外部から入れて特に身分の検査されない
食料の運搬業者に彼女を化けさせる事で、彼女にこの施設に進入させる事に成功したのだ。
勿論彼女には小川急便の制服から和服に着替えてもらったりかなりお手数を掛けたが
彼女は嫌な顔は何ひとつせず受け入れてくれたのだった。
エリカはそのまま芳香さんの胸に飛び込み
感動の母と娘の再会を果たした。
この様子なら二人の間にすれ違いも解消してくれるだろう。
二人は積もりに積もった話をずっとしていた。
「ごめんね、エリカ....今まで本当のお母さんじゃないって黙っていて
その上何もできなくて逆に貴方に与えてもらって......」
「何言ってんだよ!俺は甘えっぱなしだよ!
本当のお母さんじゃないってのは攻めないで欲しいけど部下の一人がわざとじゃないけど漏らしちゃって...その...
でも物心ついた時から俺を一生懸命育ててくれてこんなにも色々な人から愛情を貰えて俺は本当に幸せだよ!
本当のお母さんとかそんなの関係ない!俺にとってのお袋は堅剛芳香ただ一人なんだ!」
「エリカ.......」
エリカも芳香さんも涙を流しながらお互いにすれ違った感情を確認しながら
誤解を解いていった、僕も釣られて涙が流れていた事に気づいた。
しばらくすると完全に存在を忘れかけられていた僕だがふと芳香さんが僕を見ると。
「め..目が赤くなってらっしゃる。
やっぱり青山先生は優しい人なんですね。」
「そういうお袋もそうじゃねーか!」
「エリカも人のこと言えないわよ!」
そう言ったやり取りをすると僕達は何だかおかしくなって一緒に笑い始めた。
すると芳香さんがエリカに対してこう言った。
「エリカ、ここからは組長として話すわね。
貴方は出所しても組からは破門そして除名です。
理由はあっても私の命令を無視した上に私の手紙にも返事もしない
組の人間としては判断力も欠如しています」
エリカはその言葉を聞くと先ほどまでとは違い悲しそうな雰囲気になる。
僕も行き成りの手のひら返しに驚いていた。
「でもそれじゃ堅剛組は.....
俺も悪かったけど怒龍組を倒すために力にな...」
「大丈夫、先日行方不明だった夫から連絡がありました
数ヶ月以内に帰ってくるそうです、夫は更に実力をつけ世界の実力者まで従えて
戻ってくるそうです、怒龍組は私達だけで何とかします!」
そう言うとエリカはそれでも納得がいかない様子で。
「で.....でも」
彼女が言葉に困っていると芳香さんは彼女の肩を掴みこう言った。
「だからこれからは青山さんについていきなさい!
私は確信しました青山さんなら貴方を幸せにしてくれます」
「青山さんこれからも娘を宜しくお願いします」
突然僕の方に向き唐突に肩をたたかれそう言った。
僕とエリカは向き合いそして声を揃えて。
「えええええええええええええええええええええええええ!!」
その後芳香さんは破門にするけど何時でも遊びに着なさい
ここは貴方の実家なのだからと言い去っていった。
正直最後に彼女の将来を任されたのは言葉が出なかったがその後
エリカも俺みたいな可愛くもない女で悪いけどこれからもよろしくと言われ
椎、茉莉、エリカ、3人もの人生を任されてしまい随分責任が重大な事になってしまった。
後の事は分からないし今後の事は今後考えれば良いだろう。
それよりも残りはいよいよ後一人未だに誰とも付き合いを持たないユエさん。
今日のひょんな事ですこし認められたのか認められてないのか分からない事は言われたが。
進展と言えるものが半分の月日が経ってないのは非常に不味いと言える。
そう言えば3人と親密になったら進藤さんから話があると言っていたな。
進藤さんは他の生徒とは違いユエさんの話になると少し雰囲気が変わるし
その理由やそしてそもそも彼は何故この廃棄されかけたプロジェクトの後片付けを始めたのかも僕の気になる点だ。
いよいよ僕の任務も終わりに近づいていることを感じつつ。
僕はもう一度気を引き締めたのであった。
続く




