表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
A CAGE ~囚われた4人の少女~  作者: 7%の甘味料
少女たちの罪と鳥籠からの解放
18/28

第16話

今回の話は案内役が必要だと思いましたが

設定の都合上生徒は学校を出る事ができないので。

今回案内役として前作の「The Reverse Side」のキャラが出演しています。

小ネタは少し出てくるので気になれば前作を読んで欲しいですが

物語の大筋に前作の内容が関係してくると言う事はありませんので

前作を読んでいなくても安心してお読みください。


登場人物紹介 


青山 輝樹 平凡な人生を歩んでいた社会人だったが

      痴漢冤罪により人生が崩壊し、少年院の特殊な教育施設の教師になる。


進藤 傑  警察の人間で本人曰く上層部の人間らしい。

      見捨てられたプロジェクトの後片付けとして施設の責任者になったが目的は謎に包まれている。


鮎川 茉莉 施設の生徒、未成年にして国内最強のハッカーにして重度のオタク。

堅剛エリカと仲が良い。


堅剛エリカ 施設の問題児、ヤクザの組長の娘で母の罪を自分で被り警察に捕まった。

      学力が低く単純だが根は優しい、鮎川茉莉と仲が良い。


山本 椎  施設の生徒だが体調不良でほとんど休んでいた。罪状は毒物による大量殺人。

しかしそれは冤罪である事が判明した。

      料理が得意で怖がりな性格


NO.7080  施設の生徒、自分の身元に関する情報を日本人である事と

(ユエ) とある組織にいた番号と愛称の「ユエ」しか分かっていない。

      組織では殺し屋として数百人の人間を殺害したと思われる。

      施設では他人と距離を置いている様子である。


青山輝樹に関する事件の登場人物


鰆田 桜 青山輝樹を痴漢の罪で告訴した人物で、豊鏡女子高の3年生。

    バイト感覚で援助交際や痴漢の冤罪を着せる仕事もしている。


青山 美代子 青山の妻であったが痴漢の罪で逮捕をされた事で離婚。

       大学のバトミントンサークルで知り合う。

       現在古山と結婚して古山美代子となった。


古山 竜 青山と同僚で美代子と共謀して青山を痴漢の罪に陥れた。


山本椎に関する事件の登場人物


好村 香苗 椎と同じバイト先で働き、椎とは仲が良かった。

      椎が冤罪を受けた事件の真犯人で

      現在は行方不明。


鮎川茉莉に関する事件の登場人物


鮎川 憲吾 鮎川茉莉の父親、ある会社のデータを娘のウィルスを使い初期化し

      その技術を海外に売ろうとした所国によって殺害される。


大木 保則 そこそこ名の知れた探偵で今年に入って大木探偵事務所を開業。

      茉莉には恩があり父親の行方に関して無料で調査を行った。


堅剛エリカに関する事件の登場人物


堅剛 芳香 堅剛組の組長、堅剛虎鬼門の妻。

     虎鬼門が行方不明のため現在彼女が組を仕切っているが

     その事実は組全体にしか知られていない。


堅剛 虎鬼門 堅剛組の組長、十数年前から姿を消し今も行方不明。


事件・出来事


重罪少年・少女社会復帰プロジェクト


警察の上層部の間で計画されたもので

実験として40人の少年院の中でも重い罪を持つ子供たちを

森の隔離された空間でできるだけ現実の学校に近い様なスタイルで教育すると言った計画である。

しかし後述する事件により計画は凍結。

36人が辞退し、辞退しなかった4人については進藤傑氏が後片付けとして本来の予定通り1年間教育を続けることになった。


無法地帯化事件


最初の頃は真面目にやっていた40人の生徒も。

少年院より規制が厳しくなくなっている事に気づくと一部が調子に乗り始め。

生徒が教師に暴力行為を働き、それを上に報告するはずの警備員を口封じした事により。

事件の長期化と更に悲惨な事態になる事になった。

生徒同士の暴力行為が盛んになり。

喧嘩、虐め、略奪、強姦行為が当たり前の光景となる無法地帯と化した。

これにより34人の生徒が脱臼、骨折、ノイローゼ、性病感染等様々な問題を起こし

大きな問題のなかった6名の生徒の内2人もプロジェクトを辞退。

これにより警察内で上層部の管理能力の甘さと無計画さが露呈する事になるが。

警察は事件を隠蔽し、世間にこの事件が報道されることはなかった。


青山輝樹の痴漢


真宿駅行きの電車において青山輝樹が女子高生に痴漢行為を行った事件。

青山は逮捕され有罪判決を受けたがしかしそれは誤った判決であり

被害者は青山に痴漢の冤罪を掛け、賠償金を支払わせた。

被害者は真宿にある裏社会のグループの一員でグループのメンバーもサクラとして青山が有罪になる様な状況に仕向けた。

裏社会のグループは一連の犯行を依頼されてやったことが判明しており

その依頼者は青山 美代子と彼の同僚の古山と言う男であった。



第16話


「ここが真宿の裏通りか....」


エリカの話を聞いた次の土曜日、僕は進藤さんに遠距離の外出許可証を貰い

堅剛組のアジトの周辺である統京の真宿の裏通りにやってきたのである。

進藤さんが警察に戻る前に事情を話すと二つ返事で良いよと言われ

遠距離の外出許可証を手配してくれた。

場所の関係は僕たちが今いる学校は等北と間東の境目ちかくにある場所で

服島、兄型、土地戯、未開乃地の県境の辺りにある場所で

一応住所としては兄型県にある。

ちなみに近くの未開乃地県は昔群馬県と呼ばれていたらしいが

数年前テロリストが襲来し建物を爆発させ多数の死者を出し

その後発展が遅れたこの県だけは民族踊のようなものが流行る様になり。

ネットでは未開乃地県と呼ばれるようになり元の名前は教科書や授業でしか使われなくなったそうだ。

と言う事で久しぶりの統京だったのでついた時には。

皆へのお土産のお菓子を買ったり、色々な所巡り夜になるのを待ったのである。


裏通りは人生で初めて行ったが。

いかにもお金持ちと言った服装をしているおじさんが

露出度の高い格好をした女の子を沢山連れていたり。

眼鏡をかけたインテリ風の男が一生懸命自分の店に勧誘をしていたり。

建物も見渡す限り、ラブホテルやソープ系風俗店

他にも賭け事を推奨する店やゲーセンなどもあり

色々な人々が色々な目的でここに集まり町が賑わっている感じだった。

その中でも僕はヤクザの事務所を訪ねに来たと言うこの中でも変わった理由で来ていた。


住所を確認するとこの辺だろうか。

そう思っていると近くの建物の2階に堅剛組と木彫りをされた看板がドアの上に貼り付けられていたので

ここだと思い僕は心の準備をしようとした。

エリカのために来たもののヤクザの事務所に入るだなんて相当勇気がいるものだ。

もしかしたら門前払いをされてしまうかもしれないしそれで済むならまだしも

殴られて怪我をさせられてしまうかもしれない。

僕は深呼吸をしてその建物の階段を上がろうとすると後ろから大きな声で呼び止められた。

「おい!おまえ死にたいのか!ここは堅剛組の事務所だぞ」

僕は突然後ろから掛けられた声に驚き振り向くと

そこには綺麗な金髪の髪の色をした女子高生の制服を着た女の子が立っていた。

「全く....呼び止めても反応しねーしおまえは何とかごうちとか言う奴の息子か!

 耳聞こえてるのに聞こえない振りして商売しやがって....」

「えっ...いや違うんだ、僕は堅剛組のトップの方にお話があって.....」

彼女は堅剛組の関係者なのだろうか。

彼女は一見ただの美人に見えるがなんと言うか言葉遣いや雰囲気がエリカに似たものがあり

戦闘能力がかなり高いのではないのかと僕の勘が告げていた。

「おまえ...ここはな怒龍組の果たし状を届けにきた者

 そして堅剛組にちょっかいを出すチンピラしかこの入り口からははいらねーんだよ

 もしここから入ればおまえは確実に半殺しだ.....客の入り口は裏の通りからだ」

つまりこの入り口はダミーでこの入り口から入るものはアポもないチンピラか

敵の組と判断されて物凄いお・も・て・な・しをされるのか........。

よ...良かった入らなくて......でも彼女は何でその事を知っているのだろう。

「失礼かもしれないけど君は堅剛組の人間なのかな?」

そう聞くと彼女は首を横に振りこう答えた。

「違うさアタイは横の麻雀店で働いてるだけだ

 勿論堅剛組だかしらねーけどアタイにかかれば数秒で干物にできるけどな

 ただ客で堅剛組の人間が来て話を聞いただけさ」

と言うと彼女は隣にある麻雀店を指差した。

小さな麻雀店だがある程度は賑わっているようで店の密度が高いように見えた。

「んであんたはヤクザに用事があるなんて変わった奴だな....事情はまぁ聞かないけど

 アタイは月守 聖ってんだ!ひじりで聖って書くんだ変わってんだろ?おまえは?」

「えっ....青山ですけど...」

「名前!」

彼女はちょっと半切れした様子で名前と言ってきたので

僕はて、てるきです!とちょっと噛んで名前を言ってしまった。

「じゃあ輝樹、ここからもうひとつ向こうの通りは抜け道がなくて

 遠回りして回っていくしかない、ここはひとつアタイの気まぐれに感謝して

 甘えとくんだな!」

「えっ?どういうことですか?」

「案内してやるって言ってんだよ!アタイがな

 ついてこい!」

と言うと彼女は勝手に歩き始めてしまったので僕は早歩きで彼女に追いついた。


こんな感じで見ず知らずの人に案内を頼んでしまったが。

彼女は話していて中々面白い人で本来女子高生くらいの年齢なのだがわけあって中卒で麻雀店で働いているそうだ。

そしてエリカと似ている所もあったので彼女の事を話してみると。

「はっはは、アタイは因数分解もできないからそっちの女のほうが頭良いかもな

 中学とかほとんど行ってなかったし高校は入ってないしな

 アタイにできるのは喧嘩と麻雀と一気飲みくらいかな」

上には上がいるんだな........。

一気飲みって彼女まだ未成年だよね...酒ではないのかと信じて聞き流すことにした。

しばらく歩いていると2人の取り巻きを連れた思い出したくもない人間が向こうから歩いてくるのに気づいた。

僕は無視をしようと下を向いて歩こうとするが、しかし向こうが気づいたようで僕の所に寄って話しかけてきた。

「貴方もしかしてこの前の痴漢じゃ」

忘れもしない僕に冤罪を着せ人生を台無しにした女、鰆田 桜。

あの時は女子高生の制服を着ていて今は随分胸の露出の高く服の構造上背中が全部露出した服を着ているがこの顔を忘れるわけがない。

痴漢と言う言葉に隣の聖さんが僕を一瞬睨んだが鰆田を見た瞬間敵意が全てそちらに向かったようだ。

僕は白々しい顔でいる彼女を睨み続けていた。

「もしかして気づいたのかしらまぁ気づくわよね

 だってあんた痴漢してないもんね!全て私のお芝居だもの」

あっさりと彼女は僕に痴漢の罪を着せたことを認めた。

まぁ今更ここで彼女を訴えたとして僕の社会的地位が回復するとは思えないし

せいぜいお金が余分に増えて返ってくるだけだろう。

「てかさぁ聖もすみにおけないよねぇ、こんな若い男とこれからラブホでしょ

 あんた男には興味ないと思ってたけどあんたもやっぱ雌なのよね」

鰆田の挑発に聖さんは冷たく且つ威嚇するような口調で言い返す。

「はっ?俺はこいつが道に迷ってたから案内してるだけだ!

 てめぇみたいに男に媚びた品のない生き方をしている女が俺は一番大嫌いだ!」

聖の言葉が聞こえなかったかのようにヘラヘラしている彼女は

興味がなさそうにこう言い放つ。

「品だとかプライドだとか男みたいな事言って恥ずかしくないの?

 男っぽい女とか男ならちょっとこっちが気あるように言い寄れば一発だけど

 こういう女はそうはならないから本当腹立つのよね.....」

聖さんと鰆田の間には割って入ることのできない冷戦が繰り広げられていた。

女性の喧嘩って恐ろしいなと今一度再確認した瞬間だった。

「まぁこんな女どうでもいいわ!

 それより青山くんだっけ?冤罪にして泣いた男なんていっぱいいるから名前とか忘れちゃうのよねー

 私にとってはあんたみたいな奴とかゴミに見えるし、あっははは!

 世の中なんて簡単なもんよちょっと男に罪着せただけで契約している会社からお金入るわ

 あんたから賠償金ぼったくれるわで、まぁ賠償金は会社の手数料でちょっと取られちゃうけど

 横のあんた!財布!」

僕に対してまた心を抉る様な発言をした後横で待機していた眼鏡を掛けた少しメタボ気味の男に

財布を要求した。

「10万!」

メタボ気味の男にそう告げるとメタボの男は.....。

「でどぅぇもさくらたん...今日の分のお金は払っているしもう許してほしいんだな」

すると鰆田はメタボ気味の男に胸の谷間を見せ付けるような位置にしゃがみ

「後でいっぱいサービスするから....お・ね・が・い」

すると男はデュフフと言う気持ちの悪い声を出しながら諭吉10枚を躊躇いもなく鰆田に渡し

そして鰆田は受け取った10万円を僕に目掛けて投げつけてきた。

僕の前でひらひらと舞う1万円札に僕はひるんで少し下がると。

「あっははははははははははははははははははは!!」

鰆田と取り巻きの男が声を揃えて笑い、そして鰆田があの顔見たマジ受けるー!

と僕を中傷し3人で笑いながらそのまま別の場所へと向かっていった。

僕はそのまま諭吉を拾いあげると聖さんが思いっきり舌打ちをし電柱を蹴った。

「あのクソアマッ!金をなんだと思ってやがる!」

彼女はとても悔しそうに拳を握り締めていた。

「この10万円どうするべきだろう?」

「おまえが貰っとけ、話を聞く限りおまえがあいつに金とか色々取られてるみたいだし

 あいつが使うよりおまえが使うほうが世のためになんだろ」

と言い機嫌悪そうにそのまま目的地へと向かった。


目的地はエリカが言っていた公園だと思われる大きな公園が見えて

小さく堅剛組と書かれた立て札がおかれた建物を見つけることができた。

2階に一つ扉があるのでここが堅剛組のお客様用の入り口だと判断した。

「ごめんね僕のせいで嫌な気持ちにさせて」

「おまえのせいじゃないしあいつはアタイにとって天敵だ

 何時かその根性を叩き直してやる!

 今回は何か用事があるみたいだったけど次はアタイの麻雀店に来い

 アタイが相手しても良いし、今研修中のおまえみたいななよなよした男もいっからそいつと勝負すんのも面白いかもな!」

麻雀店か何時か僕のミッションが全て終わったら来てみるとするかな。

そんな事を考えていると向こうから眼鏡を掛け髪を後ろに結んだ男が

聖さんに話しかけてきた。

「ここにいましたかヒジリン!

 今日は我がフォールンアントラーズの定期飲み会と約束したじゃないですか!

 どこをほっつき歩いてたんですか!皆もう飲み始めていますよ!」

ヒジリン.....聖さんの事だろうか。

フォールンアントラーズ......直訳で落ちた蟻の集団。

まぁ向こうにも色々事情があるんだろう。

「げっ!!そうだった!はやくいかなきゃ!ビールなくなっちまう!

 そういうわけだ!また何時か会おうぜ!」

そう言って聖さんは凄い勢いで走り去ってしまった。

彼女の事はよく分からないけどまた麻雀店に行った時にでも聞いてみよう。


そして僕はもう一度気を取り直して階段を上がり

2階のドアの前まで辿り着く。

さっきの話を聞いて安心はしてるがアポはないしあるのは彼女から預かった手紙だけ。

手紙は彼女がもう伝わることは伝わったからもう良いと言って僕に渡してしまったので。

これだけで入れてもらえるのかは分からないが一応彼女の関係者である証明は持ってきている。


僕は勇気を出してドアノブに手を掛け。

ヤクザの事務所への扉を開くのであった。



続く


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ