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A CAGE ~囚われた4人の少女~  作者: 7%の甘味料
少女たちの罪と鳥籠からの解放
15/28

第13話

完結しました。

最終話まで公開できることが確定しましたので報告いたします。


登場人物紹介 


青山 輝樹 平凡な人生を歩んでいた社会人だったが

      痴漢冤罪により人生が崩壊し、少年院の特殊な教育施設の教師になる。


進藤 傑  警察の人間で本人曰く上層部の人間らしい。

      見捨てられたプロジェクトの後片付けとして施設の責任者になったが目的は謎に包まれている。


鮎川 茉莉 施設の生徒、未成年にして国内最強のハッカーにして重度のオタク。

堅剛エリカと仲が良い。


堅剛エリカ 施設の問題児、敵の組のヤクザ20人を殴り殺したヤクザの組長の娘。

      学力が低く単純だが根は優しい、鮎川茉莉と仲が良い。


山本 椎  施設の生徒だが体調不良でほとんど休んでいた。罪状は毒物による大量殺人。

しかしそれは冤罪である事が判明した。

      料理が得意で怖がりな性格


NO.7080  施設の生徒、自分の身元に関する情報を日本人である事と

(ユエ) とある組織にいた番号と愛称の「ユエ」しか分かっていない。

      組織では殺し屋として数百人の人間を殺害したと思われる。

      施設では他人と距離を置いている様子である。

青山輝樹に関する事件の登場人物


鰆田 桜 青山輝樹を痴漢の罪で告訴した人物で、豊鏡女子高の3年生。

    バイト感覚で援助交際や痴漢の冤罪を着せる仕事もしている。


青山 美代子 青山の妻であったが痴漢の罪で逮捕をされた事で離婚。

       大学のバトミントンサークルで知り合う。

       現在古山と結婚して古山美代子となった。


古山 竜 青山と同僚で美代子と共謀して青山を痴漢の罪に陥れた。


山本椎に関する事件の登場人物


好村 香苗 椎と同じバイト先で働き、椎とは仲が良かった。

      椎が冤罪を受けた事件の真犯人で

      現在は行方不明。




事件・出来事


重罪少年・少女社会復帰プロジェクト


警察の上層部の間で計画されたもので

実験として40人の少年院の中でも重い罪を持つ子供たちを

森の隔離された空間でできるだけ現実の学校に近い様なスタイルで教育すると言った計画である。

しかし後述する事件により計画は凍結。

36人が辞退し、辞退しなかった4人については進藤傑氏が後片付けとして本来の予定通り1年間教育を続けることになった。


無法地帯化事件


最初の頃は真面目にやっていた40人の生徒も。

少年院より規制が厳しくなくなっている事に気づくと一部が調子に乗り始め。

生徒が教師に暴力行為を働き、それを上に報告するはずの警備員を口封じした事により。

事件の長期化と更に悲惨な事態になる事になった。

生徒同士の暴力行為が盛んになり。

喧嘩、虐め、略奪、強姦行為が当たり前の光景となる無法地帯と化した。

これにより34人の生徒が脱臼、骨折、ノイローゼ、性病感染等様々な問題を起こし

大きな問題のなかった6名の生徒の内2人もプロジェクトを辞退。

これにより警察内で上層部の管理能力の甘さと無計画さが露呈する事になるが。

警察は事件を隠蔽し、世間にこの事件が報道されることはなかった。


青山輝樹の痴漢


真宿駅行きの電車において青山輝樹が女子高生に痴漢行為を行った事件。

青山は逮捕され有罪判決を受けたがしかしそれは誤った判決であり

被害者は青山に痴漢の冤罪を掛け、賠償金を支払わせた。

被害者は真宿にある裏社会のグループの一員でグループのメンバーもサクラとして青山が有罪になる様な状況に仕向けた。

裏社会のグループは一連の犯行を依頼されてやったことが判明しており

その依頼者は青山 美代子と彼の同僚の古山と言う男であった。



第13話


「こいつ何時もそのコーヒー飲んでんなぁ」

「行き成り何なんだよ、茉莉......」


今日は日曜で学校が休みなので校内の休憩スペースでコーヒーを飲んでいたら。

何時もの茉莉、エリカ、椎のトリオと出くわしたのである。

椎と親密になってから1ヶ月くらいの時が過ぎた、僕がここに来て2ヶ月半くらいの時が流れた事になる。

あの後特に何も出来事は起こらず平和な毎日を過ごしていた。

「んでそのソックスコーヒーって旨いのか?」

「僕は至高のコーヒーだと思うね」

そういって僕は残ったコーヒーを一気に飲み干しそのまま休憩スペースのゴミ箱に放り投げた。

「確かそのコーヒーって恥馬県と井原鬼県で限定販売されていたコーヒーだよね。

 でも当時は確かシックスコーヒーって言う名前だったんだけど

 業者が全国販売する時に間違えてsixをsoxと間違えたせいでソックスコーヒーで人気になったんだよね」

「そうそうよく知ってるね」

やはり流石茉莉はハッカーと言っただけあっていかにもネットに書いてありそうな情報にはとても詳しいようだ。

僕自身シックスコーヒーを飲んだことがあるので全国販売された時に商品名が変わった事に疑問を感じて調べたら

彼女が今簡潔に述べた事を長々しく公式サイトに載っていた事を覚えている。

「シックスとソックスとか全然違うじゃねーか!スックスでも良かったんじゃないか」

「それじゃ意味が通らないだろ、間違えるにしてもサックスだ楽器でもあるし」

「セッ.....えっ...いや何でもないです...」

椎が何か言いだそうにしていたが、茉莉、エリカには聞こえなかったらしく

そのまま別の話に変わっていった。


その次の次の日の事僕は何時もどおり読み終わった週間少年JMSCを茉莉に渡すため

コンピューター室を訪ねた。

彼女は相変わらず作業に熱中しているようだが僕が来る時は流石にこちらに顔を向けてくれるように最近はなったようだ。

「何時もありがとう、先週は初焔ピンチだったし打開できてるかなぁ....」

今回の話は僕も衝撃を受けたので彼女の独り言に答えない様注意した。

僕もそうだが基本的に話のネタバレをされるのは大嫌いなタイプだ。

彼女にネタバレをして怒られた事はないがネタバレについての話をした時するやつは論外と話していたので間違いなくしたら怒られるだろう。

彼女は作業を一度止め白テニのページだけ探しそこだけを読んでいく。

作業をしていても必ず白テニだけは優先的に読み後は作業が終わった後部屋で別のものと2回目の白テニを読むんだとか。

彼女は集中しているみたいだし帰ろうかと思った時。

ふとUSB端子に見慣れないUSBが付いていることに気づき。

そのUSBはよく見ると塗装が剥がれ緑色のカラーから銀色の元の金属がむき出しになっている。

しかしもっと目の付く物がありUSBの逆の先端に穴がついておりその穴に熊のストラップがついている

その熊も古いことが分かり、所々黒くなっていたり目のビーズが半分に割れて欠けていたりするのが分かった。

「ああー読み終わった!すっごく吃驚したぁ!やっぱり白テニ最高」

「もう読み終わったの?速いね?」

「私読むの速いからね、でも内容は肉に染み付くくらい分かってるし部屋に戻ったらもう一回読むからね

 なんなら内容とついでにそこから妄想した展開とか色々話そうか?」

何だか彼女の妄想は怖そうなので丁重にお断りさせて頂いた。

「んでさっきからそのUSB気にしてるみたいだけどどうしたの?」

「いや随分昔から使ってるんだなぁと思って、塗装とか剥がれてるしストラップもかなり古いし」

「ストラップはお母さんが私に残した最初で最後のプレゼント.....

 私が生まれてすぐお母さんはお父さんと離婚しちゃって家を出て行ったから

 そしてそのUSBはお父さんが私にくれた唯一の誕生日プレゼントなんだ....」

お母さんは離婚してその後一度も会っていなかったのか。

それに彼女調書によると彼女のお父さんは国よって殺されて事故死扱いに....。

「ごめん......変な事聞いちゃって..」

「何で謝るの?お母さんは一応ネットで話そうと思えば話せるから。

 一度も会ってない訳でもないんだよ

 それにお父さんは確かに無口で基本的に冷たかったけど

 それでも私をちゃんと育ててくれたし、あの時は特別だったけど誕生日プレゼントももらったもん」

お父さんの事を話す茉莉は白テニを語るときみたいな興奮している感じはないが。

何か暖かい想いのようなものを感じた。

「素敵なお父さんなのかな?」

「どうだろ?でも私は唯一一緒に暮らしている肉親だし 

 お母さんが出て行って男手一つで育ててくれて、良い事をしたらしっかり褒めてくれたし

 絶対見つけたいと思ってるんだ、今行方不明だから」

僕が質問をすると彼女はさっきと同じように答えてくれたが僕は彼女の話に矛盾がある事に気づいた。

行方不明?確か調書には国家に殺され事故死扱いになったと書いてあるはず。

「行方不明ってどういうことだい?」

「そう、日本の○×商社のデータベースをすべて初期化した時に

 私は捕まったんだけど、お父さんは逃げ延びて今も行方不明って警察の人が言ってきたの。

 それで今ある探偵にお父さんの捜索を依頼してお父さんの行方を捜してもらってるの

 明日はその探偵との情報交換の日だから楽しみでしょうがないの」

僕は彼女の話を聞いているときにある一文が頭の中を離れることがなかった。

その技術を海外に売ろうとした鮎川 憲吾は国により殺害(世間には事故死扱い)

もしかすると彼女は警察に嘘を吐かれ騙されている.......。

言うべきか言わないべきか迷ったが僕は今の彼女の笑顔を潰したくないし

実は本当に逃がしていて進藤さんが恥ずかしいと思って嘘を書いたとも取れる。

調書の内容が嘘と言うのはかなり信じがたいことだが

僕はそれを信じて彼女に不必要な情報を漏らしてしまう事をやめたのであった。


次の日僕は茉莉に情報交換の事話したんだから立ち会ってほしいと言われ

立ち会う事になった。僕も気になってはいたので願ってもない申し出であった。

彼女はビデオ通話で情報を交換しているらしく。

skaskaと言うネットのアプリを使っているそうだ。

彼女がリプライを送った数秒後ビデオ通話が始まり40代くらいのおじさんが椅子に座っている様子が表示された。

「久しぶりだね、茉莉君そっちの生活はどうだい?」

「楽しくやってますよミスター大木、後ろにいる新しい先生のおかげで皆仲良くなって良い感じです」

「.....ほう、君が楽しいと言うとは思わなかったな。

 皮肉で聞いたつもりが環境が変わったって所か....まぁ1ヶ月前から少し明るくなった気はしていたが....」

独り言を言ってるつもりなのか全て丸聞こえである。

ひとしきり独り言に満足すると目の前の探偵、恐らく大木と言う人物は

再びまじめな顔になり口を開いた。

「調査結果の発表だ、客人もいる中ですまないが....私の調査は残念な結果に終わった」

「また見つかんなかったって言うんですよね!大丈夫大丈夫また来月探せば良いんだから気を落とさないでください」

しかし目の前の大木と言う人物は深刻そうな顔つきを解く事はなかった。

そして次に口を開くことを躊躇している様子まで見られた。

茉莉もその異様さを感じたのか何時もの真面目な顔つきに戻っていく。

「単刀直入に言おう、君は二度とお父さんに会えることはない」

目の前の大木と言う人物の言葉に茉莉は一瞬青い顔をするがすぐさま

「どういうことですか見つけたけどお父さんが私に会いたくないって言ってるんですか」

「........君の父親は死んだ」

その言葉に茉莉は衝撃を受け目を見開き突然の告白に体が震え始めた。

「これは証拠写真だ、手に入れるのに苦労はしたから受け取って欲しい」

それは男が椅子の様なものに縛り付けられ、体中から体内にあった液体が拡散して飛び散り

昇天している姿だった恐らく電気椅子による処刑後の姿だろう。

これを見て茉莉は今まで以上に衝撃を受け、ただ虚ろにPCの画面を眺めている事から

これは本当に茉莉の父親の変わり果てた姿なのだろうと確信した。

「君の父親は国によって抹殺された、彼は君の技術を外国に売ろうとしたんだ。

 そして取引の前の日に彼は捕まりその後殺害された一般の死亡理由としては事故死として

 私も....事故死となってる事を疑い本当は生きていて今の逃げ延びている事を推測して調査をしていた

 調査した方針は正解だったが.....まさかこんな残酷な事実だったとは....すまない」

それを虚ろな目のまま聞いていた彼女は彼のすまないと言う言葉に対し

「いえあなたはじぶんのしごとをはたしたのだからきをやむひつようはありません

 ちょうさありがとうございましたまたなにかあればれんらくします」

彼女の声には最初の時の様な真面目な声も、白テニの事を語る興奮した声も

そして父親について語る明るく暖かい声もなく、虚ろな目のまま感情の篭らない機械のような声で彼に話した。

「君には前の事でとても感謝している、気にする必要はない

 ではまたいずれ.....」

ビデオ通話が終わった瞬間彼女は突然頭を抱えそこにも僕は今まで見たことがない彼女がいた。

「嘘!!嘘!!全部嘘!!

 お父さんが死んだなんて私は信じない!!

 何で!どうして!どうしてお父さんが殺されるの!!

 何で!ふざけんな!ああああああああああああああああああ!!!!!」

彼女はそのまま椅子から離れ床を思いっきり叩きながら叫び始めた。

こんな冷静さを欠いた彼女を僕は今まで見たことがなかったし

ここまで苦しんでいる彼女を僕は見たくなかった、それは見苦しいと言う意味ではなく

彼女には皆と遊んでいる時のように明るい雰囲気でいて欲しかったと言う意味だ。

あの探偵もトドメを刺すように父親が死んだ画像を出すのはどうかと思うのだが。

それは彼なりに父親が死んだと言う事をはっきり茉莉に自覚させたいと思った一種の優しさなのか

ただ自分の手柄を見て欲しいと思ったのかそれは分からないがそのせいで茉莉は今酷く苦しんでいる。

いや僕にだって探偵は攻められない、僕は彼女の父親の情報について知っていた。

なのに僕はそれを黙っていたんだ、彼女の事を傷つけないと言うために。

はっきり言って進藤さんが書いた調書が間違っているなんて考えられない。

僕は彼女を傷つけないと言う名目の元自ら汚れ役をかって出ることを恐れただけ。

探偵に対して悪いとなんか言えるはずもない。

その罰が当たったのか彼女は今とても苦しんでいる姿を僕に晒している。

僕が罪悪感に苛まれていると彼女はそのまま立ち上がり僕に対して冷たくこう言い放った。

「みぐるしいところをみせてごめんなさい.....

 でもいまはひとりにしてください....おねがいします」

僕は言葉も出ずそのままコンピューター室を後にした。


続く


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